マリンの1日
こんにちは。私は、宝石族のマリンです。
嫁の中で最も影が薄いのでは? と思う今日この頃です。
なんせ容姿は普通、胸も普通……よりは少し大っきいです。ここかなり重要。嫁テストに出ます。
また、服装に関しても普通ですね。
「いや、今日もスカートを履き忘れてるからね! 黒のガーターストッキングとパンツがエロス!!」
通りすがりのエロースさんが鼻血を吹いて倒れました。
ユーリさんの好みで私はガーターストッキングを愛用しています。
でも、今日は妙にスースーして開放的だと思ったらそれが原因でした。
…………ちょっと着替えてきます。
「あっ、そうだ。マリン。その状態で上着を脱いで長手袋を付け加えるとユーリ君喜ぶよ。血走った目をして襲ってくるくらいに」
「……参考にします」
エロースさんの前にユーリさんから預かっている造血剤を置いて去ることにしました。
彼女の助言は今日にでも実践してみましょうか?
同族のガーネットには先を越されましたしね。
最後にしたのは……3日前ですか。色々と溜まってきた所です。夜の事を想像するだけで下半身がキュンとしてきます。
さて、それでは気を取り直して仕事に移りますか。
まず、起床した私たちは洗面所に張ってあるシフトを確認します。今日は一番大変な洗濯のようですね。
私はユーリさんのポーション作製のお手伝いがメインなのですが、それが毎日有るとは限りません。なので、無い時は家事を手伝う事になっています。
そもそも治療用のポーションというのは戦争でもしない限り冒険者にしか売れませんからね。月に一度卸せば十分こと足りますよ。
それ以外で作るものだと媚薬関連ですかね?
アレはいつ如何なる時代でも売れる商品ですから。
ただ、それの作製にはあまり関わらせて頂けません。
「媚薬の作製途中で欲情した人に何度も押し倒されたからね。特にリリィとか。あの状態になると意識の枷が飛ぶし、俺は腰が痛くなるしね」
まだ、俺は若い筈なんだけどと苦笑いを浮かべるユーリさん。
あれだけやれば当然だと思いますがね。
しかも、次の日が休みじゃないと辛いです。
でも、優秀な薬師さんでもそうなんですね。まぁ、彼女は色好きですから仕方ないですよ。
「覚えてないのか? マリンもだぞ?」
私もだったそうです。わぁ〜ぉ、全く覚えてません。
この件は問い詰めると墓穴を掘りそうなので放置しましょう。
さて、私は洗濯に移るとしましょう。
「あっ、マリンお姉ちゃんおはよう!」
「おはようございます、マリンさん」
洗濯物が置かれた場所に行くと今日の洗濯担当になっていたフランとエフィメラがいた。
洗濯は人数が多いので毎日てんこ盛りの山が出来て大変なので基本3人組で行います。
「フランちゃん。もうご飯食べたの? 今日も学校に行くのでしょ?」
うちの学生組は、仕事より学業優先となっている。
「これを起動したら食べに行くよ。でも、ごめんなさい。干すのはお願いします」
そう言って頭を下げるフラン。
「えぇ、大丈夫よ。お姉さんたちに任せてね。その代わり、しっかり魔法を勉強してくるのよ」
「うん!」
「2人共、そろそろ服を洗濯機に入れましょう?」
「そうね。フランちゃんがご飯食べる時間が無くなるかもしれないし」
私たちは、ユーリさんが作ったマジックアイテム『洗濯機』と呼ばれる箱に服を入れていく。
「水は私が魔法で用意するわ」
「私もするよ」
「それじゃあ、お願いします。私は魔力結晶を取ってきますね」
少しして帰ってきたエフィメラが結晶を洗濯機に付けると内部が回転を始めて水が渦巻き始める。
そして、側に置いてある砂時計をひっくり返すのだ。この砂時計が洗濯を行う時間を示している。
ここまですれば私たちは一旦暇になります。
「朝食を食べに行きましょうか?」
「うん!」
「はい!」
その後、美味しい朝食タイムを過ごしてきた。運が良い事にユーリさんと一緒の時間だった。
皆は朝が苦手だからね。一部疲労や休みで遅くなる人もいるけど。
「これでよし」
食後に戻ったら砂時計が落ち終わっていた。私は洗濯機につけられたレバーを引くと脱水に切り替わる。
今はこんな簡単な洗濯だけど昔は一枚一枚を手で洗っていた。家事で一番大変なのは洗濯と言っても過言ではなかった。
全く凄く便利になったものね。
「脱水も終わったみたいですね」
脱水が終わると魔力結晶を外し洗濯機を止める。
「うん、しょっと!」
流石に量も量だが水分を吸った服は重い。それを持って私たちは外へと運ぶ。
「おっ、大変そうだな」
外に出た瞬間、ユーリさんに遭遇した。
その後ろにはダフネさんたちがいた。おそらく移住者を迎え入れる準備をしていたのだろう。
「手伝うよ。フランが学校で抜けてるしな」
ユーリさんはそう言うと洗濯物を持ってくれる。
元々良く手伝ってくれるけど年少の子達が学校に行くようになってからは特に気を使ってくれるようになっていた。
「お礼は夜に返しますね」
「マジか。期待します」
ユーリさんが嬉しそうにしていたので、めっちゃウキウキしながら干しに行きました。
何だかんだ言ってユーリさんは色事が好きですよねぇ〜。
そして、洗濯が干し終わると希望者による模擬訓練。
この森で暮らす以上逃げる為にも最低限の戦闘力が必要になるので結局ほぼ全員参加する。
エルフ組とかは、狂乱の小世界を使って内部で丸1日鍛錬してきたりする。
そんなにやると寿命がどんどん減りますよ。
なので、私たちは普通の訓練で十分だ。
「ここの戦力は、一国の軍隊に匹敵するのよね……」
なにか如月がぼやいていたのが聞こえたましたが気のせいにして置きましょう。
訓練が終わると晴れの日には外で昼食を食べます。
「デザートはセリシールの新作お菓子だよ。……もう完全に俺を超えてるよな?」
わざわざセリシールから持ってきたそうだ。
休みの日にたまに行くけど日々お菓子が進化しています。ユーリさんがとっくに自分を超えたと良く言いますが、私たちからすればまだまだと思っています。ちなみにそれは店員たちも同じなので今日も精進している様です。
そのおかげでレパートリーは勝っていると思います。だって、毎日違うデザートが食べれるのですから。
午後からする仕事と言ったら基本有りません。大抵の事が午前中に終わります。なので、各自自由に過ごします。
仕事をいい感じに分担しているからですね。ただ、仕事次第では昼以降にも有りますがそれは当番の人に任せます。大変なら応援を要請しに来るでしょうし。
昼の過ごし方でオススメなのはボードゲームです。
ユーリさんが趣味で買って来るので色々と種類が有ります。2人っきりでやるのも良いけど、皆でやった方がかなり盛り上がります。そのせいで気付いたら夜だって事もしばしばです。
夕食は全員参加。食堂のテーブルに並んで皆で食べます。
各自が自由な時間に食べる朝とは大違いで大体決まっています。
そして、席位置が毎回変わるのが面白いです。ランダムに名前プレートが置かれて、そこが今日の席になるのです。
「いただきます!」
『いただきます!』
ユーリさんを真似て合掌し、夕食を食べ始める。
食べる度にこんなに裕福で良いのかと思うけど、今までの境遇を考えると開き直ったわ。
夕食が終わると風呂の時間。温泉の為、広いし時間を気にせず入れるのが良いわね。
しかし、皆、身体のお手入れは念入りに行っている。
なんせ、ここを出たら戦いだからだ。
今度こそ孕んでみせましょう!
ちゃんとエロースさんのアドバイスも受けて装備は十分だ!
いざ、ユーリさんの部屋へ!
チュンチュンという鳥の声と陽光の眩しさで目が覚めました。
場所はユーリさんの部屋のベットの上。周囲には肌色に溢れ折り重なる様に寝ています。
どうやら、昨日も限界を超えたらしい。やってる最中からの記憶がとても曖昧になっていました。
私は服を軽く羽織ると温泉へ。
お湯に浸かって身を清める。風呂から上がったらメイド服兼私服に着替えて準備よし。
「さて、今日も1日。快適に過ごしましょう」
そして、今日も私の幸せな1日が始まるのだ。




