今日から魔法学校に通います
ライカだにゃ。
語尾に『にゃ』が付く癖が有って、ニャアニャア煩いって良く言われるけど勘弁して欲しいにゃ。
一応、自己紹介すると猫型の獣人で、ユーリお兄ちゃんの嫁の1人なのにゃ。年齢14歳で、獣の血が濃くて足の一部が猫化してるにゃ。
自分で触っても足の裏の肉球はぷにぷにしていて凄く気持ちがいいにゃ。
そんな私は、昔ガーゴイルに襲われて石化してたにゃ。
動きたくても動けなくて、死にたくても死ねなくて、精神が壊れて欲しいのにそれすらも許されなかったにゃ。
そして、人を殺す所や自分の身体を少しずつ捕食される残虐シーンを永遠と見せ続けられて心が折れかけてたにゃ。
薄暗いダンジョンの奥で、何百年も開放してくれるのを待って待って待って、そして開放してくれたのがユーリお兄ちゃんにゃ。
その瞬間、恩返しをしたいと思ってベットに行ったのが、馴れ初めだにゃ。
そんな私が、今から魔法学校に通う事になったにゃ。
ユーリお兄ちゃんが知識や見聞を広げるべきだとか、外に知り合いを作るのは良い事だと話してたにゃ。
入学する際に色々あったけど、無事に入学出来る事になったにゃ。
「丁度、新学期に伴いクラス変えがあったので、皆さんを同じクラスにしておきましたよ。同クラスには、エミリアさんもいらっしゃいます」
そう言うのは、ユーリお兄ちゃんの友人で校長をしている吸血鬼さん。ユーリお兄ちゃんの要望を受けて色々手を回してくれたみたいだにゃ。
そして、エミリアは私たちの友達だにゃ。
マリーさんの姪に当たる娘で、竜種にゃ。この前も会ったらお菓子を分けてくれたし、良い娘だにゃ。
でも、元を辿ればユーリお兄ちゃんが作ったお菓子の気が……気にしない事にするにゃ。
「こちらが君たちの先生だよ」
現れたのは、金色の長髪をなびかせた魔女にゃ。確か名前は……。
「改めまして。ベルフォート・ミューズよ。いつも通り、ベルって呼んでね」
そうにゃ、ベルだったにゃ。ユーリお兄ちゃんの弟子にゃ。
最初は、この人も嫁かと思ったけど、まだ一緒に寝たことないって言ってた。なら、私の方が上にゃ。
何でも聞いて良いにゃよ? 先輩が教えてあげるにゃ。
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私は、スファレ。宝石族のスファレ。数が少ない稀少種族だよ。
そんな私は今から魔法学校の生徒になるの!
ユーリお兄ちゃんの計らいよ。私としては、お姉ちゃんやクレアちゃんみたいに、直ぐにでもお兄ちゃんの子供を孕みたかったんだけど残念。
学生の間は、妊娠しないように気をつけるからって言われたから、2年間は無理なのよね……。
一応、ニャンニャンするのは有りだから、解呪でも覚えようかな?
少しでも綻べば妊娠しそうだし。アレだけやって妊娠しない方がおかしいと思う。
でも、殆どの生徒が寮生なの。皆、遠くから来ているからね。
妖精の箱庭もここからじゃかなり遠い。もう、私も入るしかないじゃん。
毎朝、転移で送ってもらうのも大変だし。ユーリお兄ちゃんと離れるのは嫌だな……えっ?
これを使えば、妖精の箱庭から通えるの?
「俺も皆と離れ離れになるのが嫌だからな! 転移門を作るアイテムを量産したぜ!!」
お兄ちゃん、大好き!
こうして、私たちは妖精の箱庭から毎日通える様になったよ。
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ボクは、モカだよ。
アルスマグナ魔法学校に通う様になって数日経ったよ。
最初は、結構慌ただしかったけど今は落ち着いてきたと思う。
まぁ、落ち着いたきたのは良いんだけど……。
「おっ、イナホちゃ〜ん!こっち向いて〜!」
「フランちゃ〜ん!今度、デートしよう!!」
「リリン様! 踏んで下さい!!」
いつの間にか、イナホちゃんたちにファンクラブが出来てたよ。一部、ファンクラブ?って子たちもいたけど。
というか、リリンさん何をしたの?
何人か熱狂的なファンがいるけど。
でも、この子たちは知らないのかね?
ボクたちは、ユーリお兄ちゃんのお嫁さんだって。
確かに、フランちゃんやユキちゃんは、ユーリお兄ちゃんも我慢して手を出してないからワンチャン有るかもしれないけど、イナホちゃんはダメでしょ。
子持ちだよ。人妻さんだよ。
それに、手を出そうものなら一族ごと滅んでも知らないよ。
「はいはい、通行の邪魔になるので帰りなさい。見られている子たちも嫌がってるわよ。嫌われても良いの?」
ベル先生の言葉で、生徒は解散していった。流石に、嫌われるのは嫌なのだろう。
授業まで、まだ時間が有るのでボクは外に出た。少し気になる事があったのだ。
ボクは、ある子たちをつける。その子たちは、イナホちゃんやフランちゃんをデートに誘った子たちだ。
何故か、そういう事をした生徒は数日学校を休むのだ。それも、さっきと似た発言をした次の日から数日行方不明になり、帰ってきたと思ったら休む。
これは、調べるべきだろう。
そして、彼らが廊下を曲がったのを確認して、ボクも廊下を曲がる。
「あれ?」
ボクは、生徒たちを見失った。
おかしい。バレない自信はあったのだけど……。
そう思った瞬間、何かが空から降ってきた。それを拾い上げて見るとこの学校の生徒手帳だった。
手帳に魔法で書かれた絵には、先程の人物が描かれていた。
どうやら、彼の持ち物らしい。
「でも、何故上から?……はぁ!?」
ボクは、上を見上げるとあり得ない光景を目撃した。
なんと、先程の生徒たちが糸でぐるぐる巻きにされ、天井から吊るされているのだ。
「ユーリお兄ちゃん!!」
ボクは、これをしたであろう人物の名前を呼んだ。
「えっ、何でバレたんだ?」
ユーリお兄ちゃんは、何も無い空間から姿を現した。
お兄ちゃんは、本気でバレないと思ったのかな?
「バレないと思ったんだが……」
あっ、ガチだった。でも、そうだよね。
多分、さっき使っていたのは精霊魔法だと思う。前回にも使っていたしね。
「……何で居るの?」
「モカたちが心配で心配で……」
だから、来ちゃったのか〜。
「ごめんね。ちゃんと連れて帰るから」
ユーリお兄ちゃんの背後にマリーさんとアイリスさんが立っていた。
そういえば、転移魔法を習得したんだっけ?
「うう〜、だってイナホたちが〜……」
「大丈夫だって、イナホちゃんたちが他の子に靡く事はないよ」
「彼女たちを信じられないんですか?」
「うぅ……分かった。でも、手を出しそうな奴は……フッフッフ……」
あっ、これはヤバい奴だ。男性陣に同情を禁じ得ない。
ボクたちの学校生活は、破天荒な事が約束された瞬間だった。




