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初のレイドバトル

 レイドクエスト。


 それは、多数の冒険者が協力し、少人数では到底倒せない様な強大な敵たちを攻略するクエストだ。


 昨日まで生徒たちとダンジョン探索を楽しんでいた筈の俺がどうしてこんな話をするかというと。


「至急、近郊にいる冒険者たちを集めるんだ!違約金は、ギルドが持つ!!」


 ダンジョンの入口を封鎖して、陣頭指揮を取る魔族の女性がいる。


 彼女は、この町の冒険者ギルドを治めるマスターだ。名前をヴィヴィアというらしい。


 彼女がダンジョンを封鎖したのは、俺たちの報告を受けて内部の危険性を認識したからだ。


 どうやら過去にも色禍(ピンクハザード)が起こったらしい。そして、それの経験者なのだとか。


 だから、対処法も心得ていた。


「現在、この国にいる冒険者を全員集めます。総員を持ってダンジョンを攻略します」


 今回の元凶は、最下層にいるからだそうだ。時間が経てば経つ程、各階層にいる魔物たちは強くなるので早急に倒す必要が有るのだとか。


「運が良い事に、Sランクの冒険者が沢山いて助かったわ」


 つまり、俺たちに白羽の矢が立ったのだ。


 そして、彼女たちも参加する事になった。俺が連れて来たから。


「カトレアが居ないけど頑張るわよ!」


「教師生活で鈍ってない?」


「大丈夫です。やんちゃ坊な子が多かったですから」


 妊娠中のカトレアを抜かしたローゼンセフィアのメンバーだ。今回は、ベルも一時的に冒険者へ戻るらしい。


 そして、彼女たちとは別の冒険者たちも加わる。


「準備は良いか、野郎共!」


「おう! いつでも良いぜ!」


「準備よし。でもね、ソウ。私たちは、女だよ?」


「そうそう、ネモの言う通り。野郎は、アンタらだけさ」


「いや、そこは普通に賛同だけで良いから。文句言わないで」


『カルテット』と呼ばれるSランクチームだ。


 リーダーのソウと呼ばれる男性と魔導師のネモと呼ばれる女性がSランクの冒険者をしている。他のメンバーは、Aランクだそうだ。


「急で悪いけど宜しく頼むわね。他の冒険者たちは、貴方の移動したルートを辿って昇降地点の護衛に付くわ。万が一、魔物が外に出ない様にね。それと……」


 ギルドマスターのヴィヴィアさんが俺にすり寄ってきた。


「貴方には、特に期待してるわ。今までに色々したそうだしね。お礼も弾むから頑張ってね」


 ヴィヴィアさんの胸に腕が包まれた。


「分かりました。任せて下さい」


 頼まれたからには頑張ろう。……決して、報酬が気になるとかではないよ。


「行こうか!」


『おぉーー!』


 俺たちは、他の冒険者たちも連れてダンジョンへと潜ったのだった。






 数時間後。


 現在の20階層。ここのダンジョンは25階層なので、1日もせずに、5分の4を進んだ事になる。


 これは、アイリスの感知とギンカのおかけだ。


 アイリスが地図を作成して冒険者たちに配り、ギンカが魔物体で疾走。邪魔する敵は、体当たりで粉砕していった。


 他の冒険者たちは可哀想だが、ギンカに付けた荷台で引っ張った。


 途中、吹き飛んだ奴もいたけど、ポーションで回復して先を急いだ。すまぬ、許せ。


「よし、終わった〜!」


「意外に弱かったですね」


「ユーリさんの猫ゴーレムの方が強いですよ」


 そして、現在アイリスたちの手によって20階層のボスが瞬殺された。


「………あの〜、俺たち要らなくないすか?」


「あはは、俺もそんな気がしてきた」


 そう聞いてきたソウに対して、俺はそう答えた。


 だって、俺はさっきからアイリスたちの狩った魔物のドロップ回収しかしてないもん。


「これが紅蓮の実力……」


「噂に聞いてたけど凄ぇな」


「かのローゼンセフィアが認めるチームだもん、当然よ」


 やはり、何処に行ってもカトレアたちのチームは有名だな。


 特に、女性からの人気は高い気がする。女性だけで構成されているからかな?


「どんどん、行こう!!」


「はいはい、無茶だけはしないでね」


 俺たちは、脇目を一切見ず最短ルートで進むのだった。






 そして、1日かかったがとうとう最下層へと辿り着いたのだった。


「ここが、元凶のいる部屋か……。ダメだ。俺では、しっかり感知出来ない」


 俺の魔力感知では、内部の様子がはっきり見えなかった。まるで、部屋中を蠢いているかの様に。


「うわぁ……内部が魔物で溢れてる」


 アイリスの発言から間違いじゃなかった。


「どうしましょう? 入った瞬間、囲まれる様なものですね」


 マリーも困った様な表情を浮かべている。


「扉が空いた瞬間、最大火力を放り込むのは?」


「内部で戦うよりましだな。それでいこう」


 俺は、皆を扉から離れさせてからスイッチの前に立つ。


「開けたら瞬間、俺に構わず撃て!」


『了解』


 了解なんだ。少しは、気を使ってくれるかなと思ったのに。


 なんか、今日のアイリスたちは怒ってる様な気がするんだよね?


 ハッ!? まさか、ギルドマスターにデレデレしたのを怒ってるのでは!?


「ユーリ、開けないの?」


「あっ、開けるよ!!」


 なんか、アイリスたちの顔が怖い。後で、遠回しにフォローしておこう。


 そう思いながらボス部屋を開けた。


 ボス部屋の中は、ミミズの様な魔物が埋め尽くし、開けた瞬間少し溢れてきた。そして、当然ソイツらは扉を開けた俺にも迫る。


 俺は障壁を張ることによって避けた。落ちた奴らが蠢いて気持ち悪い。


「今だ!撃て!!」


 皆の攻撃が集中する。色々な魔法が入り混じり、虹の様な光景と激しい衝撃が生まれた。ボス部屋から漏れた者たちは、その余波を受けて消滅した。


 そして、ボス部屋は原型を留めない程荒れ果てて、元凶も跡形もなく消滅した。


 後で聞いた話、あのミミズ1匹1匹が元凶なのだとか。


 こうして、ダンジョンに平和? が戻った。


 これで、また、日常に戻れる訳だ。


 イナホたちの結果を聞きに行こう。そう思いながら、最下層を後にするのだった。

色々あって短くなりました。その内、少し修正するかもしれません。

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