志津 勇凛
俺の名前は、志津 勇凛という。
凛として胸を張り、どんな事にも立ち向かう子になって欲しいと願いが込められて両親に付けられた。
その名の通り、どんな逆境にも抗おうと誓い生きてきた。
けれど……結局は、勝てなかった者の名だ。
どんなに頑張っても不幸な事に巻き込まれる。
幼少の頃は、まったく自分を不幸だとは思わなかった。両親がいて貧しいながらも仲良く暮らしていた。
ある日を境に不幸だと思い始める。
それは、中学生の時に交通事故で両親を亡くしてからだ。
その日は、珍しく二度寝した。朝から頭がうつらうつらしていた。前日、テスト勉強し過ぎたのが原因だった。
そんな俺を笑いつつ目覚ましをかけ、寝かせてくれた両親が最後に見る光景だった。
その後、俺は親戚に引き取られる。
酷い家族だった。蔑まれ、暴力も振るわれた。挙げ句の果てには、違法な手段で連帯保証人にされて借金を背負わせられたりとかもある。
俺は必死にあらがった。バイトしながら、夜間の大学に通いなんとか卒業も出来た。まともな会社に就職出来た。
しかし、景気の波が会社を倒産させる。それでも、諦めず次から次へと探して再就職。
そんな折り、唐突に"余命半年"それを告げられたのだ。
最近、調子も良くて何もかもが順調に思えていたはずだった。新しい会社の仕事も要領を覚え、やっと生活も安定してきた時期だった。
分かった理由は、会社の健康診断。血液検査の結果に異常が見つかり再検査を受けたらこれだ。
結果通知に書かれた"精密検査をお願いします"に従い、県立病院へと向かった。
そこで受けた2度目の血液検査やレントゲン、MRIを受けて分かった病気は癌だった。
更に詳しく調べた結果、転移も確認された。
聞いた瞬間、世界が真っ暗に見えた。ホントにそう見える事があるんだな。
今までは、法に対しては法律を暴力に対しては暴力で乗り越えてきた。だが、こればっかりはどうしようもない。
投薬。手術。最新医療。使える手は、色々試したが芳しくない。
そして、気付けば副作用も重なって、ベッドから動けなくなっていた。
ああ、もう直ぐ自分は死ぬのだろう。今日はいつも以上に意識が遠のく感覚が長い。機械から聞こえてくる脈拍の音も弱まってきている。
……このまま意識を手放そう。未練は……ないな。
普通はあるはずだろうに俺にはない。人生が人生なだけに寧ろよく生き抜いた気がする。褒めて欲しいものだ。
だから、次があるなら楽しく生きよう。
そう思って意識を手放した。
…………
………
……
…
重かった身体が軽い。その閉じていた目をゆっくり開けた。
その眼に映る光景は、まさに宇宙。
果て無き地平線を基準にして、天と地では星々の光が輝いていた。
……普通、宇宙に地平線や空は無いのでは?
そんな疑問はどこ吹く風。ただ、この美しさにどうでもよくなった。
「ようこそ。最果ての地へ」
声がしたので振り向いた。視線の先では一人の少年が佇んでいた。
この日、俺は神に出会った。