表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

179/484

女装が原因で色々起こった

 死んでしまいそうだ。


「ふっふっふっ、ユーリはまだ気付いてないのね」


 突然アイリスが、いたずらっぽく笑った。


 あれ、なんだろう? アイリスが悪魔の様に見えるよ?


「実は……」


「実は?」


「いたずらしちゃった♪」


 ほう、アイリスがいたずらとは珍しいな。エルフのリリンなら良くやるけど。


「その服……今日一日脱げなくしちゃった」


「はぁ?」


 俺は、確認の為に浴衣の胸倉を掴み、力を入れた。


 しかし、どんなに力を入れても少し開くだけで完全に脱ぐ事が出来ない。まるで、呪われた装備を着た気分だ。


 ちなみに、裾を捲って下から脱ごうとしたが、腰から上に上がらず無理だった。


「何してくれてるの!? ってか、どうやったの!?」


 これ、デバフだよね? 俺、デバフを受け付けないはずでは?


「ユーリに抱き着いた時に『武装固定』の魔法を……」


「あれで癒やされてたのに! 俺の癒やしを返して!」


 女装による荒んだ心をアイリス胸で癒やしていたのに、まさかそんな事をされているなんて……。


 ちなみに、これでレジスト出来なかった理由が分かった。デバフでなく、バフをかけられていたのだ。気付いていれば抵抗出来たが、気付かぬ内にかけられたのではレジスト出来ない。


「これ、知ってると思うけど『武装解除』の対策魔法だから時間経過でしか解除出来ないよ」


 魔法で定番の武装解除。相手の持つ武装を指定して吹き飛ばす事が出来る。


 ただし、実際に使う場合、相手との魔力差に勝たないと発動しない。


 複数解除するならその都度使わなければいけないので効率は悪い。また、対策魔法があるので使う者はまずいないのだ。


「リリンちゃんから教えて貰ったんだ。魔法の変わった使い方に関しては、妖精の箱庭(フェアリーガーデン)で1番じゃないかな?」


 なるほど、理解した。よ〜し、帰ったらお仕置きしよう。あの娘、今までにも色々してるしね。


 とりあえず、ロープで縛って動けなくしてから薬草の原液塗ってやる。もちろん塗ったら痒くなる奴だ。


 ふふふっ、掻きたくても掻けない気持ちを味わうがいい!


「アイリスは、帰ったら3日間おやつ抜きね」


「なんで!?」


「俺が寛容になれない事も有るんだよ」


「そっ、そんな〜!!」


 だが、アイリスの罰は、凄く甘い事に気付いていない。だって、自分で買ってくる分は含まれていないのだ。


「それじゃあ、町に行こうか」


「あっ、結局行くんですね。そのままの格好で」


「武装解除を俺にかけてもダメだったから諦めた。まぁ、堂々としていたらバレないだろ? マリーが保障してくれたし」


「ユーリさんのメンタル凄いですね」


 という訳で女装したまま町に出た。







「意外とバレないものだな」


 甘味処に寄って女性限定メニューの善哉セットを食べる女装した俺。女性限定メニューには、お団子も付いてくるみたいだ。


「そりゃあ、意外と似合ってるからね。しかも、声が高いし」


 元々、俺の声は、男にしては高い方なのだ。


「女ですと言われても信じれそうですよね」


「そうか? だったら、俺の隠し芸という事にしておこう」


 最初の頃に比べて、女装する事を気にしなくなっていた。女装した状態で町を散策したからかもしれない。


「他の人の反応も見てみたい所だ」


「如月姉さんたちなら、今冒険者ギルドにいますよ」


 冒険者ギルドは直ぐそこだったな。


「なら、1人でちょっと行って来るよ。バレないの分かったし」


「ユーリ、1人で行くの? だったら、私はここら辺の店を周っておくね」


「了解」


 俺は、女装に自信が付いたから1人で行動する事にした。






「俺と結婚してくれ!」


「何故だ!断る!」


「貴方が好きになりました!是非私と結婚して下さい!!」


「私は貴方が嫌いです。お断り致します」


「僕の子猫ちゃんにならないかい?」


「死ね。意味が分からん」


 皆聞いてくれ! 俺が1人で行動し始めたら野郎共に告白されたぜ!


 とりあえず、回れ右してから逃げる事にした。


「「「待って!」」」


「待つか、バカ!振られたんだから追って来るな!!」


 クソッ!着物だと走り難いな!


 俺は、苦労しながら冒険者ギルドに駆け込んだ。


「何の騒ぎです?」


「ラッキー! 如月助けて! 何故か追われているの!!」


 運良く、1階にいたので、彼女の背後に隠れた。


「事情は分かりませんが騒ぐのは関心しませんね。貴方たち止まりなさい!女性を追いかけるとは何事です!!」


 如月が止めに入ってくれた。


「如月様! 私は、ただその娘と結婚したくて……」


「私も……」


「僕もだよ」


「だから、嫌だと言ってるだろ!何で、野郎同士で結婚せねばならん!」


「君は男なのか!?」


「そうだよ」


「「「………」」」


 男たちは、直ぐ様お互いの顔を見合わせた。


「すまない。私たちの勘違いだ。忘れてくれ」


「同じく。済まなかった。さらばだ」


「残念だったよ。バイバイ」


 男たちは、あっさり謝罪すると去っていった。


「何がどうなってるの?」


「貴方の帯紐が原因では?」


「帯紐?」


「知らないのですか? そのピンクの紐は、処女の証。しかも髪飾りは、結婚相手募集の示すものですよ」


 なるほど。俺の服装が問題だったらしい。


 1人になった所で来たのは、大勢の前だと恥ずかしとかだろう。


「助かったよ。如月」


「お嬢さん。私はここではそこそこ立場のある人間です。なので、形式上『様』を付けてくれませんか? それに初対面の人間に呼び捨てされるほど、私は気安く有りませんよ?」


「嫁を『様』付けするのはちょっと……。ってか、気付いてないのか?」


「はい?」


「俺だよ、俺。君の旦那さんのユーリだよ」


 そう言った瞬間、視界が高速で動き出す。理由は、如月が俺を脇に抱え走り出したからだ。


 そして、誰もいない小部屋に入って降ろされた。


「ちょっ!?」


 如月が、俺の裾をたくし上げるとパンツまで脱がせた。


「ほっ、ホントにユーリさん?」


「そうだよ。だから、パンツ履かせて」


 今、俺の息子は如月の前で完全にあらわになっています。


「可愛いぃいい!」


「おわっ!?」


 突然、如月に押し倒された。


「イテテッ………」


「すみません。でも、今したくなりました。責任取って下さい」


「はっ? えっ? マジっ!? このままするの!?」


 その後、如月に女装した状態で食べられたのだった。


 後日、理由を尋ねると『女の子に犯されてみたかった』らしい。人の趣味は分からないものだと思った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ