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お嬢さん方、正気ですか?

 騒がしかった1日が終わり、和国は平穏を取り戻した。


「観光をしよう!」


『お〜〜っ!』


 なので、アイリスたちと町へ買い物に出かける事にした。


 案内を卯月にさせる。如月は、昨日の後始末を手伝っているので、無理だった。


「まずは、和服を見に行こう」


 和国に来たときからずっと思っていた。うちの娘たちに卯月たちの様な着物を着せたい。出来れば浴衣も買おう。


 最近、思考がエロ方面に行ってる気がするけど、男なんだもん。是非も無いよね!


「なら、少し値は張りますが、我が家が愛用している店が有りますよ」


「よし、そこに行こう。お金に余裕が有るし。卯月も選んで良いよ」


「やったー♪」


 そして、案内された場所は、時代劇等で見るような呉服屋だった。


「あらあら、卯月様じゃ有りませんか。ようこそお出で下さいました」


 店の奥から着物に身を包んだ上品なお婆さんが出てきた。


「お久しぶりです、色音さん。突然、大勢でお仕掛けて申し訳有りません」


「いえいえ、大丈夫ですよ。昨日の騒ぎが原因で誰も来やしませんから」


「そういえば、人通りも少なかったな」


 なるほど。昨日の今日だから皆外出を控えているのだろう。


「こちらの方は?」


「私の夫になります。そして、後ろの彼女たちも彼のお嫁さんになります」


「おや? 最近、和国に居ないと聞いていましたが、嫁がれたのですね? おめでとうございます。して、今日はどの様な御用で?」


「ありがとうございます。今日は、私と彼女たちの和服を買いに来ました。ユーリさんが買ってくれるそうなので」


「……そうですか。なら、色々見繕いましょう」


 話を聞き、俺の服装を上から下まで見るや否やお婆さんの目がキュピーと光った……気がした。


「では、皆様奥へどうぞ」


 靴を脱ぎ、一段上がった店内へと進む。


「我が店では、既製品は少なく、布から直接お選び頂く形となっております。直接触れて質感を見て貰っても構いませんよ」


『ほわぁ〜♪』


 並べられた生地たちを前に、アイリスたちが色めき立つ。


「おっ、これとかアイリス似合いそうだな。こっちはマリーに……」


 俺も誰に何が合いそうか比べていく。


「でも、浴衣がメインになりそうだよね。寝間着だし」


「いや、アレは素肌の上に直接着るけど、日常使いでも大丈夫な服だから」


「えっ、そうなの?」


「寧ろ、ちゃんとした和服の場合は、卯月たちみたいな重ね着になる。専用の下着の上に羽織る形だな」


 素肌の上に肌襦袢(はだじゅばん)と裾よけと呼ばれる和装用の専用肌着を着て、その上に着物を身に着ける。


 ちなみに、ノーブラにノーパンだった。


 一応、制限はあるが普通の下着を身に着けても良いそうだ。


 なるべくボリュームがでない柔らかいブラやカップつきのキャミソールなどなら構わないらしい。スポーツブラとかは完璧だとか。


 下は、ラインのでないシームレスやバックレース、Tバックがオススメと言っていた。


 結局、色々気にしないといけないので、ノーブラにノーパンになるらしい。


 どうして俺がこんなに詳しいかは、脱がせたり着付けしたりしたからだとだけ言っておこう。


「ねぇ、これとか良くない?」


「う〜ん、こっちの方が良くないですか?」


「私は、アイリスさんの方を推します」


「でも、マリーさんのも良くない?」


「私は、マリーさん派なのです!」


「なら、直接比べて見てはどうです?」


 アイリスたちは、欲しい生地を選び終わったらしく、既製品の浴衣を物色していた。


「ユーリ。ちょっとこれを持って」


「うん? おう」


 アイリスから空色の浴衣を渡されたので右腕に掛ける。


「ユーリさん、これも」


「おおう」


 マリーからは、ピンク色の浴衣を渡されたので左腕に掛けた。


 俺の腕にぶら下がった左右の浴衣を見ながら、アイリスたちが吟味する。


「多数決!右と左。どっちが似合うか指さして!」


『こっち!』


 最も支持を集めたのは、空色の浴衣だった。


「はい、マリーの方を受け取るね。じゃあ、代わりにこれ」


 マリーの選んだ浴衣をアイリスに渡すと代わりに肌襦袢と帯を渡された。


「それじゃあ、ユーリ。それに着替えて」


「…………はぁ?」


「ユーリが着たところを見せて」


「いや、これ女物なんだけど……」


「そだよ」


「そだよじゃないよ!? なんで俺が着ないといけないの!?」


「誰に何かと選んだ時、ユーリ女版にどれが似合うかなと? 前に見た時、意外と可愛かったから着せてみようとなって。卯月とかは、見た事ないしね」


『うんうん』


 アイリスの言葉に頷く女性陣。


「そんな軽い気持ちで決めないで!? 今ポーション持ってないからただの女装だよ!? それにこの髪型だと違和感有り過ぎだろ!!」


 俺の髪は短く、ツンツンしており、女性の髪型には全く見えない。


「ウイッグなら有りますよ。着物に合わせて髪を弄る場合が有りますので」


 色音の婆さんが、色々なウイッグを持ってきた。


「それに化粧でもしないとーー」


「それも有りますよ。ここでは、化粧品も取り扱っておりますので」


 更に、化粧道具を持ってきた。


「良い品揃えですね!!」


「お褒め頂き光栄です」


 褒めてねぇよ!! 退路を防ぎやがって!!


「さぁ、ユーリちゃ〜ん。お着替えしましょうねぇ〜」


 アイリスたちがじりじりと寄って来る。


「あはは……」


 俺は、乾いた笑いを浮かべ、全てを委ねるのだった。だって、転移妨害の魔法までしてたし。






「うう……穢された。お嫁にいけない……」


 結局、着せられた。俺は、脱力して座り込む。


「私たちのお嫁さん……じゃなかった。旦那さんだから大丈夫!」


 アイリスが抱き着いてきて、少し癒やされる。


「これは、なかなか……下手したら私たちより可愛いのでは?」


「卯月さんの意見も確かですね。私たちは、危険な物を呼び起こしたのかもしれません」


 卯月さんとフィーネさんやい。一体君たちに、俺はどう見えてるいるんだい? 鏡ない、鏡?


「ユーリさん……」


「お兄ちゃんがお姉ちゃんになった!」


「綺麗なのです!」


 イナホたちは、興奮して見ている。


「ユーリさん。旅行用に改良したカメラ貸して貰えませんか?」


「えっ? あっ、うん」


 アイテムボックスからカメラを取り出して渡す。これは、旅行用に改良したもので、その場で写真が出来上がる。


「アイリス。ユーリさんをちょっと立たせて貰えませんか?」


「うん、良いよ」


 アイリスに引っ張られ、立たされた。そして、カシャと連続して音が鳴る。


「ん?」


 更に、カシャカシャカシャと連続して聞こえてた。


「んんっ!?」


「良い物が撮れました」


 マリーの手には写真が握られている。そして、数枚虚空へと消えた。たぶん、自分のアイテムボックスに入れたのだろう。


「何してんの!?」


「ユーリさん、写真の1枚や2枚変わりませんよね? 皆で記念撮影でしませんか? 今のユーリさんを中心で」


「あっ、それ良いね!やろうやろう!!」


「嫌だよ!」


「……ダメですか?」


「……私も一緒に撮りたいです」


「かふっ!?」


 マリーとイナホの上目遣いによるダブルお強請りが炸裂。これは、相変わらずズルい。俺がそれに弱いと知ってやっているな!


 そして、ちゃっかりイナホの手にも今撮った写真が握られている事を見逃さ無かった。たぶん、マリーに買収されたみたいだ。


「……やってやる。やってやろうじゃないか!」


 俺は、開き直る事にした。


『やったー!』


 その後、集合写真を撮った。それを皮切りに俺の写真撮影会が始まるのだった。


「きゅぴん♪」


 開き直った以上、全力で色々なポーズ決めてやったよ。


 ユーリのメンタルアップ♪


 後日、俺の知らない所で写真集が出来ており、嫁たちの間に出回っていたんだとさ。

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