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採用された人たち

「ーーという訳で、彼ら合格にするから」


「ユーリが、良いならいいのでは?」


「この人たちの職業経験は、酒場の店員、露店、娼婦ですか? なんだかんだで接客経験が有るようですし、私も問題ないと思いますよ」


 面接官をしていたアイリスとマリーに少し呆れられた。


「所で、ユーリに質問が有るんだ」


「ナニナニ」


 アイリスが横に来て腕を抱き締めると聞いてきた。


「娼婦と聞いて買ってみたいとか思ったでしょ?」


「ぶふっ!?」


「アイリス。ユーリさんの反応は、どうです?」


「うん、ビンゴ。路地でとかのワードに惹かれてた」


「あっ、アイリス!?」


 やべぇ……気を抜いてたから、アイリスに心を読まれた。簡略読みだからさっきイメージしたワードを読み取ったのだろう。


「そうですか。なら、後でしっかり絞るとしましょう」


「そうだね。反省するまでしっかり絞ってあげる」


「それ、どっちの絞る!?」


「でも、磨けば光るねぇ……」


 アイリスは、娼婦をしていた少女を見ると頷いた。


「分かる分かる。今作ってる店の制服とか似合いそう!」


「……確かに似合いそうです。痩せられていますが、寮の食事で戻られるでしょう」


「「「寮?」」」


 採用した3人は首を傾げた。


「あれ、ユーリ。まだ、話してないの?」


「この後、採用者を集めて話すから別に良いかと思って」


「寮というのは、うちの会社持ちの宿舎です。家族で住むことを考慮した部屋を用意する予定です」


「でも、一時は研修で妖精の箱庭(フェアリーガーデン)に住む事になるけどね。終わる頃には造るよ」


 家族も加えるから人数を把握出来ず、作ってないんだよな。どうせ、直ぐに作れるし。


「あの、フェアリーガーデンとは?」


「俺の領地……だな。村みたいなものさ」


「そこに数日住むのですか?」


「正しくは、家の敷地に作った空き家だわ。寮の試作品を作ってみた。それに住んで貰い、要望を聞く予定だ」


 一応、試作品は2LDKで作った。家族が入る予定な訳だし。各家族で計算するとこれくらいだろう。


「私も見ましたが、そこらの家より立派なので安心して下さい」


「「「はぁ……」」」


 3人共、よく分かってないみたいだ。まぁ、実物を見せれば納得するだろう。


「とりあえず、他の面接が終わるまでゆっくりしよう。食事も途中だったし。それとさっきも言ったけど、好きに持って帰って良いよ。アイリスたちもどう?」


「行く行く!私の分の面接終わったし!」


「行きます。他のメンバーが決まるまで時間掛かりそうですし」


 1日計画で日程を組んでたから仕方ないよね。


 俺たちは、食事を楽しんだ。






「はい、皆さん。採用おめでとうございます」


 全部で7名の募集だったが、結局12名の採用になった。


 内訳は、男性3名で種族は、人間1名、獣人1名、竜種1名。


 女性は9名で種族は、竜種2名、エルフ2名、獣人1名、人間3名、小人族1名となった。


「それでは、皆さんに雇用形態の説明をさせて頂きます。

 まず、気になっているだろう給与ですが、基本月に金貨25枚での雇用となっています。超勤や休日出勤の場合、追加の給与を支払います。

 労働時間につきましては、開店から閉店までの10時間勤務です。その上、週休2日制の導入と有給休暇が有ります。

 業務内容は、主に調理、配膳、会計がメインです。男性の方には、それに加え、トラブル処理もお願いする予定です。

 ここまでで質問は有りませんか?」


「すみません!そんな高給で良いんですか? 後、有給休暇とは?」


 そういえば、こっちに有給休暇は無かったわ。


「給与に関しましては、それだけの利益が見込めると思われますので、こうなってます。また、有給休暇とは、給与が支払われる休暇日だと思って下さい。半年後より支給し、希望日を休みにします」


『おぉ〜!』


「他には?」


 質問には、沈黙で返された。今の所、特に無いようだ。


「無いようなので、続けます」


 俺は、リリスたちに指示を出し、店の服を着たメンバーを連れて来て貰った。その後、皆の前で回転して並ぶ。


「皆さんには、これを支給しますので、店ではこれを着用して働いて貰います」


『きゃあ〜〜!』


 女性陣からは、黄色い歓声が上がった。うちの嫁たちも納得の可愛い服だから当然だ。


「また、皆さんには、我が社の寮での生活を希望します。もちろん、家族や共同生活者同伴で構いません。

 家賃は、原則金貨5枚。大浴場と3食付きです。各部屋にキッチンが、有るので自炊されても構いません。その場合は、家賃を金貨2枚とします。

 ただし、衛生面の観点から風呂だけは毎日入って下さい。寮以外に住む人も無料で利用して構いませんので、使用して下さい」


 大体、言い終わったな。後は、実物を見せて契約書を交わすだけだ。


「それでは、店に移動しましょう」


『!?』


 皆の目の前で転移門(ゲート)を創ると相変わらず驚かれた。


「こちらが店になります」


「すっ、凄ぇ……!」


「まぁ〜!」


「最新の設備まで有る!?」


 ゲートを超えて店を見る度に感動された。昨日、頑張って作ったかいが有る。


 店の入り口には、焼き菓子製造コーナーを設置。甘い匂いと作る様子が人を呼ぶ様に工夫した。また、隣のカウンターから購入して帰る事が出来る。


 内部には、カウンター席と通常席を用意した。基本長居する人用だ。焼き菓子以外のメニューも注文出来る。数量限定だが、こっちのメニューも一部持ち帰りが可能になっている。


 後、BGM用に数曲だけ登録したメロディノーツを設置した。コレも人を惹き付ける術の1つだ。


 ただ、周囲から許可を得るのに苦労した。お金を渡し、文句を言わない様に契約書にサインして貰った。だから、たぶん問題ないだろう。


「試作品の寮へと案内します。研修期間は、こちらに住んで下さい。その後、要望を聞きますので、それを元に寮を建設します」


 彼らを王宮に入れるのは問題なので、店に臨時ゲートを設置した。店とフェアリーガーデンの寮とを繋ぐゲートを通って移動する。


『………』


 試作寮の一室を見せたら皆から唖然とされた。何故だろう? 狭かったかな?


 まぁ、研修期間は、同居人無しで住むし、大丈夫だろう!


 後日、その理由をカリスさんから説明されて知った。


「普通は、あのサイズの部屋だと2家族から3家族暮らします」


 なるほど、広過ぎてびっくりした訳か。俺は、異世界の一般的な部屋の大きさを今頃知ったのだった。

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