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娘がアレなら母はそれ以上

「うふふ、これは親愛の印です。それより慣れてらっしゃいますのね」


「えっ? ええ、そうですね。嫁たちとよくしますし」


 アディさんは、長かったキスを終えて離れていく。そこで、彼女から薄紫色の何かがひらりと落ちた。


「何か、落としましたよ」


 俺は、直ぐにしゃがんでそれを拾う。手の触覚からそれが布で有ることが分かった。


「何故、布?」


 紙や小物ならまだしも布であった事に違和感を覚え、広げて見る。俺は、それを良く知っていた。


「こっ、これは!?」


 それは、とても良く触れているし、見てもいる。夜に脱がすのも1つの楽しみだからだ。


 これは、サイドが細い紐状またはリボンなどで結ぶデザインになっている。


 つまり、その薄紫色の布地の正体とは、紐パンだった。


「あら、やだ? 私ったら、いつもの癖が出たのね?」


 そう言って、アディさんが前屈みになった所で、急に肌色が増えた。


 意識したのか、本能なのか、思考加速が起こる。その為、視界の光景をしっかり認識出来た。


 アディさんが前屈みになった事により、たわわに実ったおっぱいの重さで、首のリボンが解け、上半身が裸になったのだ。


 当然、ピンク色の突起も……見えなかった。これは確か、ニップレスだっけ? エロースもしてた。ブラだと形が出るからと。それのおかげで見る事は叶わなかった。残念だ。非常に残念だ。


 その気持ちの影響か、思考加速が解けて現実に戻る。


「見ちゃ、ダメぇええーー!」


 エロースに頭を抱き締められて、視界を塞がれた。


 そこは、普通手じゃないでしょうか、お嬢さん。まぁ、柔らかくて気持ち良いから寧ろグッジョブ。


「お母さん、はやく服を着て!」


「あらあら、恥ずかしいわ〜。こんなおばさんなんて嫌よね?」


 声に出さないけど、嫌じゃないです。それに凄くぴちぴちしてました。


「何処がよ!下手したら私より若く見られる癖に!それに、しょっちゅう歩きながら露出して、見られてるでしょ!」


 なんだと!? 歩く18禁さんだとでも言うのか!?


「これでも、町中は気を付けているわよ。ただ、何故か、気付いたらいつも下着が無くなっているのよ? 落としているのかしら?……これで良いかしら?」


「うう……気を付けてよね」


 エロースが大丈夫だと認識したらしく、開放してくれた。


 もう少し抱いていても良いんだよ? 少し名残惜しい。


「今のは、何?」


「アディさんは、脱ぎ癖ならぬ脱げ癖が有るんです」


 マリーが説明してくれた。だから、変わった人って言ったのか。


「問題は、コレを男性の前で何度も起こすので……」


「確実に間違いが起こるな」


「あら、大丈夫よ。天使は、竜以外だと滅多な事では妊娠しないのだから。それに相手から求められてると実感出来るわよ」


 本人は、意外に満更でもない様だ。


「はぁ、それも問題なんですよ。こんな風に、性も緩いんです。ホントに気を付けて下さい、母さん」


「は〜い」


 アディさんは、無邪気な子供の様に軽く笑った。


「とりあえず、少し席を外します。直ぐに戻るので、母さんは待っていて下さい」


 エロースは、そう言うと俺の手を引いて外に出た。それにアイリスやマリーも同行する。


 談話室から少し離れた廊下でドンと音がなる! エロースに壁ドンされたのだ。


 女の子からの壁ドンも意外にドキドキするな。


「エロース?」


「上書きします」


「はい?」


「母さんとのキスを上書きします」


「ん!?」


 目の据わったエロースが、舌を使って念入りにキスしてきた。それが終わるとアイリスに変わる。


「次は、私ね。……所で、ユーリ。キスを避けれたのに、避けなかったでしょう?」


「…………ッ!?」


 満更でも無かったと言えなかったので、答えなかった。そしたら、アイリスに下唇を噛まれた。甘噛みでは有るが、いつもより強い。そして、最後はマリーに回る。


「私も言いたい事が有ります。ユーリさん。アディさんの胸をガン見し過ぎです」


「痛い……んっ!」


 マリーからは足を踏まれた。その後、キス。マリーは、キスを堪能したら離れた。


 これで、俺の上書きは終わったらしい。しかし、3人からキスされるとムラムラくるのは当然だと思う。


平穏なる小世界(イレーネコスモス)に行こう」


 とりあえず、中で半日程過ごして帰ってきた。賢者モードなので、誘惑には乗らないだろう。







「お兄ちゃん!天使のお姉さんがっ!?」


 談話室に入るとローシュの叫びが聞こえてきた。


 ローシュが談話室にいるのは、おそらく授業を受けに来たからだろう。あの子は、真面目だからいつも早く来る。


「どうしたんだ、ロー……」


 ローシュと呼ぼうとして現状に気付いた。彼の前に血溜まりが出来ていた。そこには……。


「アディさん!?」


 エロースの母親が血溜まりに沈んで、ピクピクと痙攣している。


「どうしよう!お姉さんに抱き締められたから、ボクもお礼に抱き締め返したら鼻血を出して倒れたの!お姉さんは、何かの病気みたいなの!?」


 どうやら、ローシュも俺と同じ事をされたらしい。だが、幼いからキスは無かった様だ。


「あ〜っ、起こってしまったか。病気と言えば病気ですね。傍から見るとこんななんですね」


 エロースの悟った様な呟きが聞こえてきた。


「ユーリ君、造血剤頂戴」


「はい、造血剤。それと、これはどういう病気?」


 エロースは、俺からポーションを受け取るとアディさんの身体を起こして飲ませた。それからこの状況について話出した。


「簡単に言うと私の反対バージョンね」


「……美少年好き?」


「そう……というより男性全般が好きね。でも、その中で特にショタは、ドストライク。半ズボンなら尚良しだって」


「だから、こうなったのか?」


 今日のローシュは、暑いから薄着に半ズボンの出で立ちだった。


「ううぅ……」


 どうやら、アディさんが目を覚ました様だ。


「お姉さん!」


 ローシュが、アディさんに駆け寄る。アディさんは、目を開けると真っ先にローシュを見た。


「……ここは、天国?」


「いえ、私の家です」


 エロースの冷静なツッコミが入る。


「エロスちゃん。……何故かしら? 身体が重いのだけど?」


「それは、血を流し過ぎたからです。それと名前はちゃんと伸ばして下さい。お母さんが言うと卑猥に聞こえます」


 娘の母親に対する態度が辛辣だな。


「お母さん。この際だから言いますけど、ローシュ君は、目を瞑ります。でも、ユーリ君を取ったら一生恨みますからね」


 いや、ローシュもダメだろ! 彼女は、雰囲気がフィーネに近い。俺の経験上、こんな人に依存したら抜け出せないぞ!


「え〜っ、天使を孕ませるくらいだから食べてみたいのに……ダメ?」


「ダメです!それに沢山食べたんでしょ? 国を2つ潰すくらいに」


「はい? それは、どういう……」


「さっき、彼女を取り合ってと言ったでしょ? それは、自分の女にしたくてよ」


「悲しい争いだったわ。精魂尽きた状態で見栄張って大規模魔法使うものだから死ぬのよ」


「精魂尽きた原因は、彼女が絞り取ったからね」


 この人、天使の皮を被ったサキュバスさんだった!


「そういう訳で、長期仕事が終わったので、今度は長期休暇に入りま〜す。お世話になるわね」


「帰れ!」


 こうして、アディさんの押し掛け滞在が決定した。

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