増えた小悪魔たちといつもの日常
俺は、エロースに用があって授業を行っている教室へ行く。その教室は、授業を受ける人数が増えた為に、隣の部屋と合体させて広くした。
いつも通り、何かを期待してノック無しで扉を開けた。
……エロースが、裸とかいう事は無かった。非常に残念だ。
黒板に文字を書いている途中で、普通に授業中だった。どうやら、読み書きの勉強中だったらしい。
おや、獣人組の中にマリエルの姿だけが無いな。警備中なのかな? まぁ、彼女は読み書き出来るから良いか。
「なぁ、エロース。なんか、増えてねぇ?」
俺の目に飛び込んで来たのは、大量の子供たち。特に、目立つのは現在過半数に達している悪魔族たちだ。
全部で6人、歳はばらばら。エリーが年長さんで、一番下が7歳になる。最初は、2人だったのに増えている。
「えーっと、どうしてこうなったんだったっけ?」
まずは、エリーが幼馴染のローシュっていう男の子を連れて来たんだよな。構わないので許可した。
そしたら、エリーたちを付けて2人男の子がやって来た。何でも2人がこそこそしていて気になったそうだ。
更に、仲間外れにされたと思ったのか、4人の子供たちを付けて男の子と女の子が1人ずつ来た訳で、計6人という流れだったな。
一応、これ以上は増えないだろう。ここにいる子が、悪魔族の村の子たちの全てだから。……誘拐したと思われないよな?
「なぁ、エリー。何て言って抜け出して来てるんだ?」
「ドライアドのお姉ちゃんたちと遊んでくる」
悪魔族の村は、守り神としてドライアドを崇拝している。
トレントや危険な魔物渦めくこの森で暮らすのだ。交流の出来るドライアドを崇めるのも無理はない。
「毎回、それで抜けてるの?」
「うん!」
送迎は、ドライアド四姉妹の誰かにお願いしているから大丈夫だと思いたいが、その内バレそうだな。
まぁ、バレたらバレたで良いか。悪い事をしている訳でもないし。
「ホント、増えたわよね。でも、この子たちにやる気が有るから教え甲斐があるわ」
「へぇ〜、真面目だね。あっ、でも、夜の授業はイナホたちだけな」
「そっちの心配は、大丈夫。教える気はないわ。それに、イナホちゃんたちには、私の知る限りの事は教えたわ。後は、リリィさんが教えるくらいよ」
「えっ、何? リリィも教師してるの?」
それは、初耳なんだが……。リリィは、子供を育てる為に屋敷で暮らしているから見掛けても気にしないし。
「所で、どうしたの?」
「まずは、このデザインを見て」
「わ〜っ、可愛い!良いわね、これ!卯月たちの着物と貴族の服を混ぜたのね」
俺がエロースに見せたのは、俗にいう和ロリ。和とゴシックの融合だ。
「イナホたちやマリーに着せたくなった。どうやったら作れると思う?」
「既存の物に足した方が速そうね。甚平だっけ? あれに、フリルを足すのは? まずはーー」
話から察した人もいるかも知れないが、当然作るのは俺だ。実は、最近、新しい職業スキルを習得した。
その名も縫製。
マリーやエロースと一緒に夜の衣装とかを作っていたら習得していた。エロの力は、凄まじいな。こうやって技術は革新していくのさ。
ちなみに、一番得意なのは、ネグリジェ。典型的なエロ衣装だよな。
普通の服? 何故、作る必要がある? 買えば良いでしょ?
エロ衣装を作る様になったのは、嫁と更にイチャイチャするためだ。
大体、そうでもしないと穴に棒を突っ込むだけのスポーツになるかもしれないだろ!こっちは、毎日相当数やってんだ!!
まぁ、リリィを除くエルフ組以外は俺が率先してやってるから問題なさそうだけど。
「でも、服屋に案として提供した方が色々進化するかもしれないよ。私たちの服もそうだし」
「えっ、その服に差なんて有るの?」
何処からどう見ても童貞を殺すセーターにしか見えないが?
「触った方がはやいよ」
エロースは、俺の手を握ると自分の服へ横から差し入れた。
「ちょっ!?エロース!子供たちがいるんだけど!?」
「別に、やましい事をしている訳じゃないでしょ? それともユーリ君は、するつもり……ひゃう!?」
「あっ、うん!分かった!内にポケットがいくつか有るのな!」
俺は、手をしっかり入れて、エロースの身体をまさぐ……服を弄って確認する事にしたよ。なんか、お預けくらったみたいだったし。
クイッ。俺以外に服へと触れる者を感じ、俺たちは視線を下げた。
「エロース先生、大丈夫?」
そこには、一番年少の女の子がエロースの服を引っ張り、心配そうに可愛く見詰めていた。
「ぶふっ!」
「回避」
エロースの鼻血が炸裂!
俺は、女の子と一緒に回避した。エロースは……倒れなかった。珍しい事も有るものだ。
「………」
うん、ダメだ、これ。立ったまま気絶してる。
「は〜い、今日はここまで。今日もしっかり勉強出来たかな?」
『うん!』
「よし、なら、今日もおやつを出してあげよう」
『おやつ!』
村は貧しいので、甘味は殆ど無く、甘いお菓子はそれだけで子供たちの気をしっかり引く。
「下の厨房に、ラズリお姉さんかスルーズお姉さんがいるから彼女たちに言ってね。はい、それじゃあ移動開始。走ったらダメだよ」
実は、事前に連絡しておいた。俺が許可したら与えられる様に。やはり勉強には、ご褒美が必要だろう。
『は〜い!』
子供たちは、エロースを放置して教室からぞろぞろ出ていった。やはり、先生よりお菓子なのだろう。
とりあえず、机で作った簡易ベットに寝かせておいた。すぐに復活するだろうし。
「お兄ちゃん。手を出して」
「うん?良いぞ、フラン」
言われるがままにフランへ手を差し出す。今度は、フランが何かをする様だ。
「えいっ!」
むにゅ。という感触が伝わってきた。脇のスリットから俺の手を入れたからな。
「なかなかの感触で……」
なるほど。フランの胸に視線を向けると、服の上からも分かる通り、また一段と大っきくなったのが分かった。これで成長過程とか……凄いな。
「フラン。私も」
「イナホは、夜に隅々まで確認するから後でね」
このままやってたら、キリがない気がしてきた。
「「……」」
死んだ目をした2人を発見。背後に影まで見える。ユキとモカだ。
「どっ、どうした?」
「全くおっぱいが……」
「大っきくならないです……」
2人の胸は、服の上から見ると壁の様に、すとーんとしている。ユキは知らないが、モカは膨らみかけの状態から成長の兆しを全く感じない。
「でも、ユーリ君の一番の好みは、そこよ」
「あっ、復活した」
「お兄ちゃん!大っきいおっぱいは嫌いなの!?」
「いえ、大変好きです」
フランが泣きそうに言ってきたので、ハッキリ宣言する。
「ユーリ君、ユーリ君。素直な気持ちを聞かせて。大っきなおっぱいは、どうしたい?」
「包まれたい!」
「小さいおっぱいは?」
「包んであげたい!」
俺とエロースは、しっかり握手。どうやら、同じ気持ちらしい。
「という訳で、フランの心配は大丈夫よ。どんどん成長しなさい」
おいおい、これ以上成長したら……逮捕されかねん。主に、未成年者へのわいせつ行為で。
「まぁ、この話は置いといて、イナホたちの分も有るからおやつにしよう」
『は〜い』
俺たちも食堂へと向かう。下に降りるとホールにリリスたちが集まっていた。
「ユーリさん。少し良いですか? 侵入者を捕獲しました」
「侵入者?」
「はい、隠れて屋敷を見詰めていました。この女性です」
リリスが横にどくとロープに縛られた女性が立っていた。
「お願いです!弟たちを解放して下さい!!」
足は子鹿の様に震え、涙目をした悪魔族の女性だった。




