表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

148/484

仕事を再分担

 総会が終わった次の日、俺たちは妖精の箱庭(フェアリーガーデン)へ帰ってきた。


 行きは正規のみだが、帰りは自由なのだとか。だから、皆で竜神殿にある転移門(ゲート)を通って帰る事にした。


 数日空けただけとはいえ、やはり我が家は落ち着く。そう、目の前で斬りかかられてる奴を見ても和んでしまう。


「ユーリ様!? 和んでないで助けて下さい!!」


「覚悟!」


 デジャヴだわ〜、俺もあったな〜。


 俺の目の前では、グレイが刀を白刃取りで受け止めていた。やっぱり、突然斬りかかられるとついやっちゃう様だ。


 ちなみに、相手は卯月でなく、妹の皐月。何故か、ここまで付いてきた。


 そして、グレイに紹介した所、俺の二の舞になった訳だ。今回は、何も無い所でコケた。おそらく、皐月にはドジっ子属性が備わって居るのだろう。


 ……所で、あの刀は俺が折ったよね? 新しいやつ?


「グレイも天狗族の秘密を知ってるから勘弁してくれないか? 後、その刀どうしたんだ?」


「何故です!? それと、刀は借りてきました!」


 借りたのか。後で、新しいのあげよう。


「何故って……俺と卯月が一緒になったからそれも説明したんだよ。卯月とグレイたちが今みたいな状況になっても困るし」


「ここは知ってる人も多いし良いかなと思って」


「うう……しかし、私は納得出来ません! 私より弱い人に知られるなんて!」


「う〜ん、それじゃ、グレイが勝ったら不問って事で良いか?」


「それなら、納得します!」


「だそうだから、グレイやっちゃって良いぞ!」


「いや、そこは止めて!?」


 という訳で、グレイ vs 皐月のバトルが開幕。


 して、その結果は……。


「しっ、死ぬかと思った」


「きゅう〜……」


 グレイが勝った。しかも、彼女をあまり傷付ける事なく、気絶させるという方法で。


 俺みたいに睡眠薬を持たないグレイは、攻撃を躱しつつ接近し寝技へと持ち込んだ。

 その後、皐月の降参を待つも意地になって降参しない為、そのまま締め落す形となった。


「卯月。この後、どうなると思う?」


「私と同じ流れを辿るでしょう。彼の実力もなかなかですね」


「あっ、やっぱりそうか。ティア、呼んで来るわ。ちゃんと奥さんに許可取らないと不味いだろうし」


「ユーリ様。何故、ティアを呼ぶ必要が?」


「うん? あれだ。諦めてティアと相談しろってこった」


 ティアを呼んで事情を説明。さすがにティアも悩んでいた。


「ちなみに、ユーリ様は……」


「俺が否定出来るとでも? 誘惑に負けてこれだけ増えた俺が」


「本人と相談してみます」


 という訳で、皐月の件は保留になった。よし、一人分回避したぞ。


 所で、皐月は本当に何をしに来たんだ?


「それは、ユリシーズ殿が卯月姉さんを養えるのか見定める為です。なので、数日お世話になります。グレイさんたちとの話も掛かりそうですし」


 という事で、一時的に住人が増えた。義理の妹になるからお客様でも良いけど、本人の要望で仕事を与える事になった。仕事を再分担している最中だったので、ちょうど良い。


 うちでの仕事は、固定と交代で分けている。まずは、固定職の組。


 引き続きフェアリーガーデンの全ての水質管理をアイリス、転移門の管理をマリー。


 農業をリリスたちエルフ組と男衆。それからドライアドたち。彼女たちのおかげで生育が楽になった。


 教師をエロース。それに追加で、エリスアクアとダフネ。上位精霊なだけあって魔法に詳しい。魔法授業を行う日は、人気が高い。俺も参加する程だ。


 料理担当に、ラズリとスルーズ。1番料理を作るのが上手いので固定にした。それに、サポートが2人付く事になっている。


 そして、乳母と鶏育をフィーネ。育児もして貰っているので、両方にはサポートを付けてた。これは、交代制だ。


 交代制の仕事には、掃除・洗濯・炊事・育児と鶏育・深夜見回りの業務が振り分けられた。


 鶏育は、基本朝の作業と餌やりだけなので、育児と混ぜた。3人で行うから今の所、問題はない様だ。


 深夜見回りは、待機と屋敷内のパトロールが主だ。それをした次の日と翌日は休みにしている。基本、2人組で行っている。


 これらの業務は、主にミズキを筆頭にして、獣人組、宝石族組、角族組が携わる。男衆の奥さんたちもこっちだ。卯月たちにも、こっちに混ざって貰おう。ここが、1番人数が必要だからだ。


「という訳で分担したけど、順調そうだね」


「1人当たりの仕事が、そこそこの量だから良い感じに回ってるよ」


 他の人からの意見が聞きたくてアイリスとマリーに聞いてみた。


 アイリスは、水質管理を眷属召喚で出したスライムたちに任せているのでのんびりしている。


 マリーは、通行管理が目的の為、感知出来る範囲内なら何処に居ても問題ない。


「むしろ、私は仕事しているのか、疑問なレベルなんですが……」


「マリーは、大丈夫じゃない? 意外に転移門からの来客多いし、ついでに育児とかも手伝ってるから問題ないと思うよ」


 むしろ、フィーネを1番心配している。彼女の仕事は、多過ぎる気がするのだ。だから、なるべくフォローを心がけよう。


「ラズリたちは、料理担当で固定にしたんだね」


「ああ、彼女たち曰く、『料理も男を虜にする術の1つですからエルフの女性はそこそこ出来ます』だって。だから、基本料理が得意な様だ。悪戯好きのリリンすら、そこそこ出来た。それから考えるとリリスたちは……」


「特殊な方なんだね……」


「うん……」


 何で、ダメなんだろう? 手先は、ホントに器用なんだけどな。チョコでフェニックス創るくらいだし。今度、飴細工でもやらせてみようか。


 あっ、ちなみにリリンは、他のエルフたちと同様に農業をして貰っているが、基本は俺の農業試験場で働いている。


 農業試験場の内部を見せたら、ギミックに興味を持って色々試してみたくなった様だ。現在、精霊を使った運用を検討中だとか。出来るのが楽しみだ。


 そんな感じに仕事の分担が終了した。


 ホント、うちも大所帯になったものだ。最初の頃から考えると思い付きもしない。しかも、殆どが嫁とか……。考えない様にしよう。


 そう思って、いつもの神社の階段にふらふら行ったら、有る事に気づいた。


「おお、もうそんな季節か!」


 うちの桜が開花を始めていた。この様子なら1週間程で満開になるだろう。


「よし、花見をしよう!人も増えたし盛大にだ!」


 招待状に、酒の準備、料理にと宴会をする為にやる事は多数ある。


 ちょうど、そろそろ異世界に来て1年目だ。その節目としても最高だと思う。


 そう思った異世界暦3月の終わりだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ