表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

146/484

昨日の今日で惚れられた

 ギルドの総会2日目。今日も部屋で待機となった。


 2日目故に案内はなく、卯月と2人で部屋へと向かう。待機出来る広い場所がそこしかないからだろう。


「うふふ……ユーリさん」


「何? どうかした?」


「うんうん。好きになった人の名前を呼びたかっただけ。えへへ……」


 卯月は、俺の腕を抱き、すりすりしてくる。超ご機嫌だ。なんか、朝起きた時からデレモードに移行してた。


 昨日は、そこまで好意を寄せていなかったのに。昨日の今日で惚れたりするものかな?


 思い当たる原因には、昨日一緒に寝たくらいか? しかし、いつも皆にする様に気絶するまで相手をしただけだぞ?


「それともあっちか?」


 それは、アイリスとマリーに嫁の1人にする許可を貰った件。


 さっき、ここに来る前に転移で一度屋敷へ帰った。そして、彼女たちに会わせて来たのだ。


 まずは、アイリスたちが優先という事で会わせた。呆れられたものの許可は貰えた。その後、卯月の着物を捲り、秘密を教えた。


 アイリスは目を輝かせた。まるで、玩具を見つけた子供の様に。一緒に寝る時が楽しみって言ってたから遊ぶ気まんまんだ。


 さて、そんな思考しているとあっという間に部屋の前へ着いた。


 昨日の出来事が有るから気を引き締めて扉を開ける。


「………」


『すいませんでしたーー!』


 扉を開けると土下座した集団を目撃した。俺は直ぐ様、バタンと扉を閉じた。


 幻かな? 昨日の夜、やり過ぎて疲れたのかな? でも、俺は気を失ってないし、大丈夫の筈だが。


「どうしたの?」


「変な奴らを見た」


「はい?」


 どうやら、卯月には見えていなかった様だ。では、もう一度扉を開けよう。今度は、違うだろう。


『ユリシーズ殿!この度は、すみませんでした!』


 幻とかでなく、ガチで土下座した集団だった。少しドン引きする。


 そういえば、コイツらには見覚えがある。昨日殴った連中だ。しっかり復活したのね。


「昨日、絡んで来た奴らか……。邪魔なので解散して下さいね。今回の件は、不問にします」


『分かりました!ありがとうございます!』


 こうして、冒険者たちは解散していった。これで、大人しくなるだろう。


「おはようございます、ユリシーズ殿。それから卯月」


 この後、どうしようかと思っていると如月さんたちが挨拶にやってきた。なら、報告もしないとな。


「おはようございます、如月さん。実はーー」


「姉さん。ユーリさんと結婚する事になりました。睦月様の許可も頂いております」


 俺が言う前に、卯月が報告した。しかも、部屋に入る時に離れたのに、また腕を掴んで抱き寄せすりすりしてくる。


「ええっ!? 昨日の内に何したの!?」


「卯月! 魔法を教わりに行ったんじゃないの!?」


「だから、姉さんは朝帰りなのかと思ったのに!?」


 事情は、連絡されていなかった様でびっくりされた。


「いや〜、色々あって、私は女だと理解させられました。そりゃあ、女の子が集まる訳ですよ。後、近い内に女が確定すると思います」


「「「詳しく聞かせて貰いましょうか」」」


 卯月は、如月さんたちに拉致られていった。そのせいで、俺は放置される形となった。


「近場で狩りでもしようかな?」


 朝からギルさんに、今日は自由にして良いと言われたしな。


「あっ、ここね。ありがとう」


 また、誰か案内されてやって来た様だ。部屋に入って来たのは。


「あっ、居たいた。ユーリ君!見つけた!」


 そう、俺がよく知っている天使族こと、奥さんのエロースだった。


「エロース? 何故、ここに?」


「紅蓮のローブが完成したから届けに来たの。丁度、この近くの店だったしね。それに、アピールするなら総会やってる、ここが1番でしょ?」


 エロースの手には、箱の入った紙袋が下げられている。一般人の入室有りなのか? まぁ、目的地が護衛部屋なら有りなのかな?


「どうやって、入って来たんだ?」


「下に知り合いの天使族が居てね。旦那に荷物を渡しに来たって言ったら通してくれた。まぁ、一応、手荷物検査は受けたけど。それより着る?」


「確かにそうだな。早速、着るとするよ」


 近くのテーブルに移動して広げる。箱の中には、デザイン通りの紅の刺繍が施された白いローブが収められていた。


「少し丈を弄ったわ。ユーリ君たち意外に体術も使うから足の可動域を広める為にね」


 渡されたローブを着てみる。なるほど、丈は膝上まで、左右に腰までのスリットが有り、横蹴りにも対応可能となっている。


「凄く良いな、これ!」


 着心地は、ゆったりして最高。肌触りもさらさらと上質。しかも、魔法糸を使用しているから自動修復、物理・魔力の両耐性付き。


 サイズも、ある程度は魔法で変動するからコートの上からも着れなくない。しかし、あまりしないだろう。これ、冒険者をする時用だし。


「エロースのは、どんななんだ?」


 エロースやイナホたちは、種族影響により構造が違っている。例えば、エロースの場合、背中空きしか着れない。羽根で破く事があるからだ。


「こんな感じ。同じ形が良かったけど破きたく無かったし」


 エロースが魔法を使って着替えた。


 ……なんか、割烹着みたい。背中を空けるからこんな感じになるのか。前で止めれない分、首と腰で止めるのな。


「似合うじゃないか」


「本当? ありがとう。ユーリ君も似合っているよ」


「あの〜、ユーリさん。この方は?」


 2人で服を試着していたら卯月さんが帰って来た。


「ちょっと壁まで移動しようか」


 エロースには、紹介していなかったので、2人を連れて壁まで移動する。流石に、何が起こるか分からないしな。


「卯月。彼女は、エロース。俺の奥さんの1人だ。そして、エロース。この子は、新しく増えた嫁です」


「………」


 あっ、これ、見慣れた表情だな。またかとか、やっぱりとか入り混じった何とも言えない顔。


「卯月の秘密を知って色々あった結果、そうなった。後で、エロースにも教えるから」


「なるほど。こうやって増えて行くのね。分かったわ。卯月ちゃん、よろしくね」


「よろしくお願いします、エロースさん」


「しかし、秘密ねぇ……。種族特性の半陰陽の事だったりして?」


「「!?」」


 エロースは、天狗族の秘密を知っていた。卯月は、動揺する。


「どっ、どうして、それを!?」


「あっ、やっぱり? これでもユーリ君に嫁ぐ前は、重要役職に付いてたしね。色々知る機会があったのよ」


 そういえば、ルイさんは竜神殿の長だったな。そのサポートなら当然か。


「たぶん、マリーも知ってるんじゃないの?」


「あっ、だから、あまり反応しなかったの!」


 アイリスと違い、珍しいモノを見たけど知ってたって感じの冷めた反応だった。


「2人には、もう会わせたんだ。許可は貰った?」


「アイリスとマリーからは、許可貰ったよ」


「なら、心配ないわね」


 エロースからも許可を貰えたの所で、ある事を尋ねる。


「エロース。時間があって暇だから、狩りにでも行きたいんだが、近場で良い場所ないか?」


「それなら西に森が有るわ。でも、時間有るならローブを運んでくれない? 数が多くて大変なのよ」


「分かった。転移で運ぶの手伝うよ。人数的に、転移門(ゲート)使う必要も創る必要もないな」


「そうね。談話室にでも転移して貰えないかしら?」


「了解」


「私も手伝います」


 という訳で、一時帰還する事になった。その後、談話室に皆を集めて紹介を行った。


「いつもみたいに新しく増えた嫁の卯月です。仲良くする様に」


 他の嫁たちの反応は、どうだろうと思ったら、意外にあっさり受け止められた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ