屋敷の増築とガーネットたちの仕事
ガーネットたちが加わった事により、屋敷をまた増築する事にした。屋敷の空き部屋が、埋まってしまったからだ。
また、談話室の拡張要望が出ていたのも理由の1つ。
理由は、宴会などをする時、談話室か植物園でやっていた。植物園は広いから大人数でも大丈夫だが、談話室だと少し狭いのだ。
そんな訳で、増築。屋敷右側を倍にして、部屋数を増やす。
増築作業も釘を使っていない為、木材を変更するだけで拡張が完了する。空間魔法でどんどん入れ替えていく。増築は、あっという間だ。
要望のあった談話室は、よく有る多目的ルーム仕様。2部屋を仕切りで遮り、必要になったら開放出来る様にした。
「ーーという訳で、増築完了。どうよ」
「どうよと言われましても……驚く事が多過ぎです」
ガーネットたち、新しく来た組は、俺が増築作業する間、終始驚いていた。
それに対して、元からいた組は、慣れたのか? 気にせずせっせと備品の掃除をしていた。棚等の大っきな物は、事前に空間魔法で外に出して置いたのだ。
増築後は、それを再び空間魔法で設置した。小物は、さすがに手作業だ。皆で手分けして搬入中。
「妹のスファレは、もう慣れたみたいだぞ」
妹のスファレは、イナホたちとお喋りしながら小物を運び込んでいる。若いだけあって、順応が速かった。
「そうですよ。この程度で驚いてたら、キリが有りません」
「ラズリさん……」
「良かったら、本を運ぶのを手伝ってくれませんか? 一番、数が多いので」
「分かりました」
「手伝うわ / 手伝います」
「ボクもやるよ!」
皆、次々にラズリを手伝って、本を運び始めた。
「しかし、マジで疲れた……」
増築作業は、屋敷が傾いたり、倒壊したりする可能性が有り、精密な魔力操作が必要だった。
その上、ロギアたちの家を建築したのだ。ラズリたちが定住を決めたので、自分たちも残る事にした様だ。
だが、それではエルフの里が困る様なので、あそこにも転移門を設置。定期的に、うちとの取引をする事で、補填する事になった。
「ユーリ様、終わりましたか?」
「おっ、屋敷がデカくなってる」
「持ち家は、俺たちと同じだな」
ロギアたちが畑から帰って来た。もうすぐ冬が終わるので、畑を耕して貰っていた。
「終わったよ、ロギア。ライドとエルドラは、どうした?」
「農具を片付けに行ってます」
「農具の調子は、どうだった?」
最近まで、倉庫に眠っていたからな。冬は使う機会なんてないし。
「問題有りませんでした。魔力を流すと正常に起動しました」
「もし、違和感があった場合は、連絡してくれよ。メンテナンスするから」
「了解です」
「所で、ユーリ様。また、女の子が増えましたね。そろそろ、1週間程経ちますが、大丈夫なんですか?」
「仕事の方は、順調だよ」
ガーネットたち宝石族組は、手先が器用で薬学にも長けていたので、ポーション作成等を手伝わせている。ついでに、交代で料理番もだ。
マローナやクレアは、フィーネの代わりに鶏育をして貰っている。ただ、鶏がクレアを追いかけ回していたので、他の仕事を与えようと思う。可哀想だし。
モカとライカは、果樹栽培のサポート。本人たちは、ノリノリで採取していた。
マリエルは、警備のサポート。兎型獣人の特徴として耳が長く、感知能力が高い為だ。
そして、それらに加えて、屋敷の掃除が彼女たちの仕事だ。現在、ラズリたちとの合同であたっている。
赤ちゃんが産まれたら、母親たちが仕事に戻るから、仕事の分配を見直さないといけないな。
「いえ、そっちでなく、夜の方です」
「……問題ない……たぶん」
夜の性活については、人数が増えたので、常時3人を相手する事になった。慣れって怖いな。最初は、無理だったのに3人同時に相手を出来るようになったよ。その内、AV男優ってスキルでも加わったりして。
「凄いですね。俺には無理です」
「同じく。マジ、尊敬しますわ」
「そういえば、結局、今全部で何人なんですか?」
「え〜っと、実際に手を出したのは……22……いや、23か? ダフネまで入れると」
魔族1、竜種1、エルフ族7、獣人族4、小人族1、乳牛族1、天使族1、宝石族3、角族2、魔物1、精霊1。
「……えっ?」
「精霊にまで手を出したんですか!?」
「よく手を出す気になりましたね!?」
「……食われた」
「「「………」」」
「あの……その……ドンマイです」
「気を強く持って下さい」
「精霊って、エリスを見るにやらなさそうなんですけどね」
「いやいや」
「違う」
「精霊は、誰とでも子作りするし。一番子供作ってるのが、木の上位精霊だぞ」
「えっ!そうなんですか?」
「俺たちエルフの祖は、木が殆どだよ」
「稀に風かな?あっ、火も居るけど、エルフじゃないよ。火蜥蜴族がそうだね」
「それと水もエルフらしい。エリスが、昔言ってた。他は、聞かないな」
「天使族が光って噂が有りますよ」
「そして、闇が悪魔族とか」
「まぁ、そんな感じで噂も多いけど、確実に分かってるのはエルフくらいさ」
「なるほど。勉強になりました」
まあ、尤もダフネに作る気があったのか、ただの魔力供給か分からない。他の子たちは、赤ちゃん作る気まんまんで、積極的に来てるけどな。
「そういえば、出産はもうすぐでしたね。ティアさんたちもでしたっけ?」
「そうですよ。リリィさんたちの3日後くらいです」
「そういう訳だから、数日の間、助産師が20人くらい来るから農業は休みにする。グレイたちも奥さんについていたいだろうしな」
「助かります」
「警備は、どうします?」
「巡回だけで良いよ。ここに喧嘩売るほど馬鹿じゃないでしょ? 竜種とか、精霊とか色々ヤバいのが居るのに」
「確かにそうですね。了解しました」
「頼んだ。……おや? あれは、ギルさんじゃん」
ロギアたちと喋っていたら、屋敷からギルさんが出て来るのが見えた。彼が来たって事は、ダンジョンのドロップ品関連か、クエストかな?
「中が騒がしかったが、何かあったのか?」
「後ろ見ると分かるよ」
「後ろ?……増築したのか?」
ギルさんは、後ろを振り返り、大っきくなった屋敷を見て気付いた様だ。
「正解。それで、何の用です?」
「ちょっと聞きたい事があってだな。実は、最近までダンジョンに潜っていたAランクチームが解散したんだが、何か知らないか?」
「へぇ〜、……解散理由は?」
思い当たる奴らがいなくはない。たぶん、カトレアと一緒にフルボッコにした奴らの事だろう。
「仲間割れだな。仲間の1人がチームの悪事をギルドに報告して、彼以外のメンバーの降格が決定した。また、違う者は、騎士団に通報して、リーダーが逮捕されたよ」
「よくそんな奴らを、冒険者にしておいたんですね」
「あれでもギルドに貢献していたし、実力もあったからな。切るに切れなかった。噂は聞いていたが、決定的な証拠や証言も無かった」
冒険者は、力が全ての世界だ。相手から何をされても、弱ければ文句は殆ど言えない。
「う〜ん、知らないね。カトレアたちには聞いた?」
「彼女たちも知らないそうだ」
「なら、俺も知らないよ」
「そうか。手間をかけた。それともう1つ」
「何か?」
「近々、新年のギルド総会が開かれる。その時、ユーリだけ護衛として同行してくれ」
俺だけって事は、色々ヤバいって事か? それか、アイリスたちを連れて行くべきでない環境なのか?
「それは、ギルドマスター命令?」
「そこまで、強制力はない。依頼クエストの様な要望だ。無理ならマッドを連れて行く」
マッドを連れて行くという事は、Sランク冒険者が必要ということか。
「いつくらい? 後、1ヶ月くらいで出産ラッシュだから動けないんですけど」
「大丈夫だ。産まれた後くらいになる。各国各町の代表が集まるので、雪解け後が望ましいからな」
「なら、OKです。ちゃんと冒険者の仕事もしますよ」
出産後、1人クエストが決定した。




