表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

125/484

これで朝チュンは、何回目だろう?

 ダンジョンから帰った翌日。


 チュンチュンチュンという小鳥の囀り、射し込む陽光の温かさを受けて、自室で目を覚ました。ダンジョンから帰って来た事を実感出来る。


 しかも、素晴らしく、スッキリして……。


「んっ!?」


 部屋を見渡して思考が停止した。いつも使うベッドに、ダンジョンで使ったベッドが隣接されている。


「んんっ!!?」


 裸のアイリスやマリーが、寝ているのは分かる。いつもの事だ。


 しかし、追加で裸の少女たちが寝ている訳で……。


「おかしい。記憶がねぇ……」


 マジで記憶がねぇんだけど!? というか、いつ寝たんだ?


 ぼんやりとだが覚えている最後の記憶は……。



 **********



「初のダンジョン踏破を祝して乾杯!」


『乾杯!』


「いや〜、儲かったな!」


「これだけ有れば、数年は遊んで暮せるぜ!」


 なんと聞いて驚け、アイテムの買取り額は、端数を省いて白金貨800枚なのだ! 分かり辛いと思うから変換すると80億円!


 参加した8人で分けるから1人白金貨100枚、約10億円!


 最短ルートで攻略したから、予定より稼ぎが減ったとはいえ、十分な稼ぎだ。


「防具も新調出来て良かったわ〜♪」


「ですね! これ着心地が最高です!」


 セレナとベルは、防具が一新された。当然、それらの等級は幻想級(ファンタズム)。特に、ベルの白ローブは、俺のコートの対に位置するレベルのモノだ。


「アイリスも何か武器か防具を貰わなくて良かったのか?」


「う〜ん、別に武器は間に合ってるし、このマジックバックを貰ったから良いや」


「遠慮しなくて良いのに。でも、それが有れば、アイテムボックス代わりになるな」


「そうだね。あと、時間停止じゃ無いけど。時間遅延がついてたよ」


「時間遅延か……」


「何か使えないかな? 料理とかは?」


「そうだね。野外で調理する時、デザートを冷やしたりは出来ると思うよ」


「おお、次のキャンプが楽しみだよ」




 **********



「そうそう、宴会をしたんだった」


 遊びに来たガイアス爺さんに、留守を任せたルイさんも参加して、どんちゃん騒ぎしたんだよ。


 報酬額も良かったし、ドロップ品も良かったから皆で分配し、自慢しあった。


 気分も浮かれていたから、アイテムボックスを開いて、酒を出しまくった。


「そういえば、秘蔵の酒も出したんだった。どうしてだっけ? え〜っと……」




 **********



 皆、酒をガンガン呑んでるのに、1人静かに酒を呑んでいるシオンを見掛けたので声を掛けた。


「シオンは、相変わらずの呑み方だな」


「カトレアみたいな呑み方がおかしいだけ」


 カトレアは、いつもの樽一気飲みをやっている。それを煽る竜種組。妊婦さんに酒って不味くなかったか?


「よし、なら、シオンに俺の秘蔵をプレゼントしよう」


「プレゼント?」


「コレだ」


 グラスに秘蔵の酒をついで渡す。これは、ラファエラさんたちが隠れ里で作っている稀少な酒なのだ。


「……そうやって酔わせて襲うのね。子種をプレゼントとばかりに」


「しねぇよ!? シオンの中で俺の評価酷くない!?」


「ジョーダン。もし、そうなったら、他の娘には悪いけど、息子を噛み切る」


「怖いわ!?」


 冗談だろうけど、真顔で言われると冗談に聞こえない。


「でも、くれるなら欲しいモノがある。ユーリ……」


「えっ?」


 実は、シオンも俺に気が……。


「ユーリのアイテムボックスの中身。本人は要らない。後、この酒を全部頂戴」


「だろうと思ったよ!こんちくしょう!!そして、全部はやらん!」


「安心してこれ以上、評価が下がる事はないから」


「それは、最低まで下がってるからですか!? そして、酒を引っ張る力強いですね!!」


「狙った獲物は逃さない。弓兵だけに、弓兵だけに。ここ重要」


「あの〜っ、シオンさん? 酔ってます? 酔ってますよね?」


 さっきからめっちゃ喋りかけてくるし、これ完全に酔ってるだろ。エルフの酒のせいか? それとも、ダンジョン攻略で浮かれてるのか?


「そうかも。……だから、こんな事もする」


 シオンは、立ち上がり、自分のスカートを掴んで、ぎりぎりまでたくし上げるとひらひらして誘惑する。


 クソッ! ひらひらしてるのに見えそうで見えない!!


「私の持つ秘密知りたくない? 知りたいなら……」


「知りたいなら?」


「……白金貨500枚積んで。報酬の5倍」


「積めば良いのか? 有るぞ、ほれ」


「……素直に教えると思う?」


「思わない」


「それに、ユーリは、そういうの間に合ってるでしょ?」


「う〜ん、シオンなら当然イケる自信がある!」


「アイリスか、マリーに告げ口してくる」


「酒を全部あげるので、勘弁して下さい!!」


 酒の入った壺をシオンに押し付けた。


「……それで良い」


「気に入ったのか。その酒」


「懐かしい匂いと味がする」


「そりゃあ、そうだ。エルフ秘蔵の酒だってよ。隠れ里で貰った」


「通りで……。所で、この酒がどういう酒か知ってるの?」


「うん? 稀少というだけじゃないのか?」


「エルフの女の子にプロポーズする時に出す酒。合意なら相手の娘が酒を飲む」


「ぶっ!?」


 シオンの言葉で酒を吹いてしまった。綺麗な霧になったわ。


「勿体無い」


「シオン! だから、さっきの行動だったのか!?」


「さぁ、どうでしょう。ご想像にお任せするよ」


 マジか!? ホントだったら、シオンの気持ちを無下にした事になるぞ!?


「ちなみに、白金貨じゃないけど酒を貰ったから秘密を1つ。セレナやベルに手を出す気があるなら、押し倒せば大丈夫。セレナは、結婚願望あるし、ベルは、貴方に憧れているのよ」


「……その秘密は、酔いのせいで口が滑った事にしておくよ」


「……そうね。今回は、ただ、酒を楽しんだ事にしましょうか(……軽く弄るつもりだったのに、ドキドキする。魅了でも使ってるのかしら?)」


 シオンは、最後に何か言ってた気するが、独り言らしく小さくて聞こえなかった。




 **********




 そうそう、シオンと妙な空気になったんだった。って、そっちの件じゃねぇ! この娘たちの件だよ!


「思い出せ、思い出せ……」


 そう、そうだ。確か、部屋の隅にいたから声をかけたんだ。


 まだ、ここに来て数日しか経ってないから落ち着かない様だったし。




 **********




「どうした? 久しぶりの酒だろ? 好きに呑んで良いんだぞ」


「あっ、ユーリ様。この度は」


『ありがとうございました』


 助けた娘達から頭を下げられた。


「良いって、君たちの運が良かっただけだしな。それより、まだ、名前を聞いていなかったな。それに、自己紹介してなかった。色々聞いたと思うけど、俺は、ユーリ・シズ。ここの主で、マレビトだよ」


「はい、フィーネさんやリリィさんに色々聞きました。私は、宝石族のガーネットと申します」


「妹のスファレだよ」


「同じ宝石族のマリンです」


「角族のクレアです。あっ、あのっ、リリィさんに聞きました。夜の事なら任せて下さい!しっかりお掃除してみせます!」


 リリィ……君は、一体何を話したんだい?


 そして、クレア。お掃除って、屋敷の事だよね?一瞬、リリィのジェスチャーを思い出したけど、そっちじゃないよね?


「ボクは、獣人族のモカだよ。怖いけど……ボクも年齢的に出来るから良いよ」


 そうか……うちにいないボクっ子が増えたのか……。しかも、本人が良いって言ってる訳で……アイリスと相談して貰おう。


「自己紹介が終わった所で、いつから石化していたんだ? 数年どころじゃないだろ? それと他にも居たのか?」


「先程話した竜王様の記憶によると、襲われた私たちの村があったのは、800年程前だそうです」


「私が石化した時には、既にガーネットたちがいました」


「ボクの時は、ガーネットたちはいなかったな。後で、合流したのかな?それと他に3人いたよ。手足を石化して食べられていたから、もう死んでるかもしれないけど」


「ガーゴイルに遭遇した時、既に君たちの手足なかったよ。その状態で取り込まれていたから、まだその子たちも石化しているかも……」


 ギンカを連れて調べに行った方が、良いかもしれないな。


「さて、事情は分かった。帰る場所が、無いだろう? ここに住まないか? その代わりに仕事して貰うけど。それとも街が良いか? 街なら知り合いを紹介してあげるよ」


 ガーネットたちは、お互いの顔を見合わせて、頷いた。


「ユーリ様の奥さんたちにも同じ事を問われました。ユーリ様も同じ事を聞くと思うからと。それから話し合って決めました。私たちをよろしくお願いします」


「任せろ。助けたからには、最後まで面倒見てやるよ」


『ありがとうございます!』


「ユ〜〜リ〜〜」


「おふっ」


 アイリスが背中から覆いかぶさってきた。


「今からしよう!もう、溜まったよね? ダンジョンに数日籠もって出来なかったもんね!!」


 ガーネットたちの前でアイリスから夜のお誘いをされた。酒の匂いがするから酔っているのだろう。


「そうですよ!やりましょう!」


「かふっ!?」


 横からマリーに抱き付かれて、彼女からも夜のお誘いを受けた。


「アイリスと2日も籠もってやったんですよね?私にもその分をやるべきです!」


 マリーからも酒の匂いがする。珍しくかなり呑んだのだろう。この酔っ払い共めっ!


 さて、2人を抱えて部屋に連れ込むか。


「あの〜……ユーリ様……」


「うん? 何?」


「私たちも……何かしらの証が欲しいのです」


「何? 混ざりたいの? 良いよ良いよ!」


「ああ、何かしらの役割が欲しいのですね。ここにいて良い理由としての。なら、一緒に行きましょう!」


 彼女たちは、コクコクと頷いている。そして、アイリスとマリーが許可を出したので、参加出来る事になった。


「よし、なら、行くか。あっ、酒も持って行こう。呑みながらやろうよ」


 人数が増えたのでベッドを追加。各種魔法も発動完了。色々な媚薬関連も設置完了。後は、やるだけだ!




 **********



「思い出した……起きて記憶なかったの、俺のせいじゃん!?」


 という事は、彼女たちにも手を出した訳だ。酒を呑みながらやったから多分むちゃくちゃしたんだろう。記憶が飛ぶくらいだし。


 残念だ。非常に残念だ。触れた記憶も全然ない。


 しかし、節操なしというか……、色狂いというか……。


「諦めよ」


 俺は、考えるのを止めた。考えれば、考える程に、自分が最低だと思えて来るからな。


 そういうのは考えず、女の子の事だけ考えて楽しむとしよう。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ