ダンジョン攻略スタート
転移でティラノスにやって来た。目的の街ダンジョンまで行くと入口では、出店なんかも有り、人がたむろっていた。
「もう、入っていいのか?」
「あそこの受付で死亡同意書にサインしてからだよ」
カトレアの指すダンジョン入口前には、冒険者ギルドの旗を掲げた出張所があった。
俺たちは、受付でギルドカードを見せて、サインする。
ちなみに、一般人もダンジョンに入れるそうだ。その場合、受付でダンジョンカードを発行して貰い、死体を回収した場合の身分証明にするんだと。
「おい、アレは、ローゼンセフィアじゃねぇか?」
「マジだ。巨姫がいる」
「相変わらず、セレナの姉さんはエロいな」
「えっ、シオンさんとかも良くない?」
「エルフは、気心許すまで、気位が妙に高いなぁ〜。俺は、最年少のベルちゃんが良いと思うぜ」
さすが、カトレアたちだ。来ただけで話題になる。
「で、美少女を3人連れて、ローゼンセフィアと一緒に行動してるあの野郎は誰だ?」
一緒にいるから俺たちにも視線が注がれた。
「うひょ〜、どの娘もレベル高いな」
「アイツ、守備範囲広えな。嬢ちゃんたちと腕組んでたからそういう関係だろ?」
「「ひぃいい!?」」
「おっ、おい、どうした!?」
「こっちも!? だっ、大丈夫か!?」
「あっ、アイツは、悪魔だ!」
「ちっ、違いねぇ……身体の震えが収まらねぇんだよ!」
「「はぁ?」」
なんか、俺を把握した奴らが数人怯えてるんだけど……。
「ユーリ、なんかした?」
「いや、別に。アイリスたちの方は?」
「何もしてないよ」
それじゃあ、何故怯えられてるんだ?
「あの男は、忘れようもねぇ。100人を一瞬で殲滅しやがった」
「100人?……あっ、竜王祭で100人抜きしたやつか!」
「俺も参加したからな。アイツのヤバさが頭から離れねぇのさ」
なるほど、竜王祭に参加してたのね。
「なるほど、トラウマになってる訳ですか」
マリーも同じ意見らしい。前にも居たなそういう奴ら。
「アンタらも十分目立ってるじゃないか」
「あんまり目立った事は、してないんだけどね。あの予選で戦った奴らの一部が、トラウマになってるみたいなんだ」
「良い事じゃん。それは同時に、ソイツらが実力を認めちゃってるって事だからさ」
「確かに」
「それじゃあ、入るぞ。初の共同攻略だ。気を抜くなよ。攻略して、名誉と報酬を手に入れようぜ!」
『おぉーー!』
カトレアの宣言と共に俺たちは、ダンジョンに足を踏み入れた。
5時間後。
「……おかしいと思うのは、アタシだけかい?」
「あはは……」
「順調」
「なるほど。ダンジョンは、魔力の塊だから魔力感知で構造が分かるんですね」
そうなのだ。ダンジョンは、生き物だって聞いてるから壁にも魔力が通っている。
広範囲を魔力感知すると構造が分かるので、マッピング出来る。
だから、最短ルートを通って移動した結果、現在15階。
「昔は、浅い所で生活していたから気付かなかったよ」
「これは、秘密にした方が良さそうですね。攻略が進んで、市場にドロップ品が溢れる可能性が有るので」
「確かに、値下がりしたら嫌だからそうしよう」
「おっ、右の角から4体来るよ」
「ホントかい? 次は、アタシらがやるよ」
「どうぞ」
右の曲がり角から狼型の魔物が姿を現した。
名称:タスクウルフ
危険度:B
説明:群れで行動し、素早さを活かし攻めてくる。
と、鑑定結果が出ているのだが。
「せいぃ!」
「ハッ!」
「一矢一殺」
「ファイヤーボール!」
瞬殺された。事前に来るのが分かっているので、準備が出来るのは強みだ。というか、通路が狭いので、敵も回避し辛く、初撃は必ず当たる。
「爪×2、牙1、皮1だな。……しかし、不思議だよな。このドロップの仕方とか」
魔物を倒すと死体が溶けて、一部だけが残る。場合によっては、宝箱が出る事も有るのだ。
「ダンジョンを生き物の身体で考えると分かり易いですよ」
ベルが説明してくれるらしい。
「どういう事?」
「まず、ダンジョンの入口を口、最下層を肛門だと考えて下さい」
「うんうん」
「そして、言い方は悪いですが、冒険者を病原菌だと考えます。病原菌は、身体の隅々まで行き渡りますよね? これが探索に相当すると思って下さい」
「理解した。それで、ドロップとは?」
「簡単に言うと異物ですね。宝箱だと説明し易いので、そっちでしますね、師匠」
「良いよ」
「それでは、もし私たちの身体に異物を入れた場合、どうなるか知っていますか?」
「自己防衛反応で石灰化するとかなら聞いた事あるな」
「異物がアイテムで、石灰が箱なんですよ」
「なるほど。分かり易いな」
「ちなみに魔物は、白血球みたいな物です。病原菌が行き渡るのを邪魔したりしますよね」
「死んだら体内に吸収される点でも似てるという訳か」
「そうです」
「大変、勉強になった。ありがとう」
「いえいえ、師匠の知識に比べたら、まだまだです」
「2人共、次が来るよ」
「「了解」」
「数は……5体か。今度は俺らの番だな。誰がやる?」
「今度は、私1人でやって良い?」
「良いよ。ミスったら任せろ。だから、自由にやれ」
「うん」
俺たちは、狭い空間での連携に慣れていないので、メイン1にサポート2で対応している。とは、言っても。
「えい!」
アイリスは、スライム化させた手で一閃する。一撃で、魔物はスライスにされ溶けていった。
毎回、一撃で終了するのだ。別に魔物が弱い訳ではない。今のだって、B+の魔物だ。
名称:フレコーン
危険度:B+
説明:球根型の魔物で、自爆する事がある。頭上の苗が、火花を吹き始めたら危険。
自爆されたら危険らしいが認識された瞬間、殺しているので問題なし。
「階層ボス部屋だな」
「中には、2体いるね」
「それじゃあ、各チーム一体ずつ分け合おう。終わった方が手伝うって事でどうだい?」
「こっちは、ok」
「よし!なら、入るよ」
入ったら、直ぐ様鑑定。情報は、武器だからな。
名称:ラグパーン
危険度:B+
説明:道化型の魔物。膨よかな体型は、打撃を吸収する。
「せい!」
「やぁ!」
「サンダーアロー!」
「アイスバレット!」
俺とアイリスが左右から斜めに一閃して切断。マリーの魔法は腹部に風穴を開け、ギンカの氷柱は顔面に突き刺さった。
「カトレアたちは?」
受け持った魔物が溶けたのを確認して、カトレアたちの方を見たら、溶けている最中だった。
「こっちも終わったよ」
「ok、次に進もう」
ボス部屋を出るとほぼ確定で、階段を伴った安全地帯の小部屋がある。ダンジョンの粋な計らいだろう。
「とりあえず、今日はここまでにしようぜ。外だと、そろそろ夕方だろ?」
「確かに、1日としては十分な成果だ。アタシは賛成だよ」
「他の皆は?」
「異議な〜し」
「同じく」
皆、賛成の様なので、ここで一晩キャンプする事になった。現在の進行度15階。




