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スライム

「ダメ?」


「あぁ、良いよ」


 スライムの催促で正気に戻った。とりあえず、焼きたてのリンゴを服を引っ張っていた手に渡す。


「熱いから気を付けてね」


「わ〜い」


 受け取ったリンゴは、スライムの中へ少しずつ入って行く。今の内に鑑定しよう。


 種類:エンペラースライム

 レア度:S

 危険度:S

 ヒューマンタイプ:メス型

 説明:スライムの最終進化系。知力は高く、人語を介し、人型を取る者もいる。ここまで進化する事は稀で戦闘能力は高く、魔法も行使する。性格は温厚で、食料が豊富な場合は、襲われる事はない。


 との、鑑定結果が出た。食料があれば襲われないそうだ。それより、気になる事がある

 ヒューマンタイプ、メス型? 人型になるのか?


「もう1個ちょうだい」


「ほらよ」


 追加で与えてみた。


「ありがとう」


 お礼も言うし、ちゃんと会話は、成立するみたいだ。


「それよりちゃんと座って食ったらどうだ?」


 地面で食うよりはいいだろう。テーブルに追加の椅子を用意してあげる。


「トリも焼いているから出してやろうか?」


「いいの?」


「おぉ、いいぞ。たくさんあるしな」


 実際、アイテムボックスには、1ヶ月は持つであろうほどのトリ肉があるから問題ない。それより、久しぶりの会話が楽しいからついつい与えたくなる。


「じゃあ、貰う!」


 スライムは、椅子の側に移動した。

 そういえば、どうやって登るんだ? ぽよんっと跳ねるかな?


生態変換(クリエイト)


 エンペラースライムは、魔法が使えるだったか?

 魔力の波動が起こり、スライムは、魔法を行使した。魔法の変化は、一瞬で終了。


「はい?」


 ありのまま起こった事を話すぜ!スライムが魔法を唱えた。煙が起こり、スライムが消えた。代わりに、青髪で全裸の美少女が出現した。自分でも何言ってるか分からねぇええ!!


「う〜ん、人間の身体はやっぱり重いね。でも、この方が食事を楽しめるけど」


 サイドポニーに束ねた青髪が綺麗だな。体型もスポーツ少女って感じにスラっとして、待て待て待て!


「とりあえず、服を着ろ!」


 自分のコートを手に取り彼女に着せた。裸コートだが、全裸よりはマシだろう。


「え〜、面倒くさい」


「目のやり場に困るから着て下さい!」


「なになに、お兄さんスライムに欲情する人?」


「スライムの原形ないじゃん!! 完全に人じゃん!!」


「まぁね。完全にヒトになってるからね。なんなら詳しく確認してみる? 私は気にしないよ」


 コートだけを羽織った状態で誘惑してくる。コイツは、痴女スライムだった。


「……それは、後でお願いします。トリ肉出してやるからおとなしく座って食ってろ」


 とりあえず、仕切り直す。


「は~い」


 スライムは、おとなしく席に着いた。


「そういえば、君の名前は?」


 串を焼きながらふと思った事を口にする。


「名前?無いかな?友達たちは、スライムちゃんもしくは、青丸って呼ぶし」


 無いのね。どいつもこいつも適当だろ。


「後半の悪口じゃねぇのか?」


「それがスライム呼びだと分かりづらいから適当に呼ぶやつとして考えたみたい。なんだったらお兄さんが付ける」


「別にいいけど。どんな感じがいいとか希望はあるのか?」


「う〜と、花の名前がいいかな?人型は、女の子だし」


 花の名前か。見た目も考慮した方が良さそうだ。

 俺は、改めて彼女の全身を見渡す。言っておくが、やましい気持ちがある訳ではない。え〜っと、青髪が特徴で元気の良さが目に見て分かるな。元スライムなだけあって、青が強いな。あっ、黄色もあった。瞳の色が黄色だ。よし、青系の花方面で付けるとしよう。


「アイリス。アイリスは、どうだ?」


「アイリス?」


「青い花で一部に黄色が入っている。青の中に黄色って今の姿に似てるしな」


「いいね!それにしよう!」


 良かった。気にいってくれたみたいだ。


「砂ズリも焼きあがったな。ほれ」


 スライムもとい、アイリスの前にトリ身と砂ズリを出してやった。


「この黒いの何?」


「砂ズリ。トリの内臓だな。コリコリして美味いぞ」


「内臓って、あんまし美味くないよ」


「ちゃんと調理すると美味いんだよ。とりあえず、食ってみろって」


「分かった。ーーっ、これは!?」


 嫌悪していた表情が、口に入れた瞬間笑顔になった。


「美味しい!なんで美味しいの?味付けは、塩だけなのに!」


「それは、ちゃんと火を通したからだろうよ。生なんて血生臭くて微妙だろ」


「血は結構美味しいよ。魔力も豊富だし。ただ、食べたものの影響受けるみたいだけど」


「スライムには、血も食材なのね。俺の場合は、血抜きして捨てるんだが」


「勿体無い。私が吸おうか?」


「スライムって、便利だな」





「ねぇ、ここに棲んでいい?」


 食べながらアイリスは唐突に話を切り出した。


「何故?」


「美味しいモノがあるから」


「メリットは?」


「う〜ん、癒やし?」


「何故に疑問系?普通に血抜きとか言えばいいのに」


 こっちとしては、会話の相手も出来て問題ないな。食料があれば襲わないらしいし。


「こっちは、構わないぞ。歓迎するよ」


「やったー!」


 今日から同居人スライムが加わった。

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