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精霊にも格付けがあったのな

「ふっふっふ、今度は思い通りになると思うなよ!」


 うわっ……開始前から負けフラグ立てた奴がいるよ。


「喋るのは、それくらいにした方が良いぞ? 見た目は、悪く無いのに残念で仕方ないんだ」


 そうなのだ。ロロ自体は、エルフ特有のスラッとした美男子なのだ。ただ、言動が残念なだけで。街に行ったら、逆ナンされるんじゃないだろうか?


「それは、弱いと言いたいのか!?」


「まぁ……うん。それもある」


 ロロは、特殊な杖やら防具やらのフル装備で来てるから、俺もフラガラッハとジャッジメント銃剣モードを装備した。銃剣モードは、イナホがやっていた高密度の魔力を剣に纏わせた状態だ。


 たぶん、これ使うと勝負にならない気がするが、奴の装備の性能が分からない。鑑定対策の魔法でもかけられているのだろう。ステータスは、空白表記だった。


「我らエルフの秘宝の威力!特と見よ!」


 エルフの秘宝か。壊しては、怒られそうだな。武器破壊しない様に気を付けよう。


「それでは、開始」


「形造れ!ストームゴーレム!」


 ロロが、杖を地面に突くと魔法陣が展開した。周囲の風が、引き寄せられて人型を取る。


「ストームゴーレムは、風のみで構成されたゴーレムだ!彼を倒すには、魔法ーー」


 ザクっと剣で切り裂いた。それにより、ストームゴーレムは、霧散した。フラガラッハは、忘れられているかもしれないが概念切断効果を持つので、魔法を切断すると破壊出来る。


「剣でも切れたぞ」


「何で!?」


「何でって……運が悪いからかな?」


 俺やマリーたちみたいに、鑑定魔法を使えたら気付けたんだろうけどな。使える人が少ないから仕方ない。


「だったら、コレだ!踊れ、マリオネットキラー!」


 4枚の札を投げると4体の人形が召喚された。人形は、どれもこれも女性型エルフ。特定の誰かに似てる気がする。


「リリィ?」


「そうだ!彼女の容姿をベースに、僕が造った!」


「どんだけ好きなんだよ」


 好き過ぎて人形まで造るなんて、重過ぎだろ。だが、この人形は効果的だな。斬り捨てても良いが、リリィに似てるからあまりしたくない。


「という訳で、殺れ!」


「あっ、マジで殺す気だろ。フリーズショット×4!」


「えっ?」


 氷漬けの人形が4体完成しました。氷が割れたりしない所を見ると、戦闘不能に出来た様だ。


「クソッ!なら、取っておきを見せてやる!これが、破られたら負けを認めてやる!二度と関係に口出ししないと約束する!」


 エルフは、自身の掲げた約束は絶対守る。なので、今からやる事に、相当の自信が有るのだろう。


「おい、それ負けフラグ……」


「我が名を持って告げる。この手に在りしは、汝の依代。誓いを此処に。我、火の意志を継ぎし者。我、火と共に歩みし者。精霊の門を此処に。契約に従い、我が元へ来たれ。イグニス!」


 詠唱が終わると火が渦巻き。1人の男の子が姿を現した。身長は、エリスと同じくらいで、妖精の羽根が生えてる。恐らく、火の上位精霊なのだろう。


「おい、ロロ。俺っち呼び出すなんて珍しいな!楽しめる相手なのか?」


「ああ、絶対勝ちたい相手だ」


「良いぜ。俺に任せな。俺は、最強だからよ!」


「火の上位精霊か?」


「そうだ。降参するなら今だぞ」


「そうだね……うん?ちょっと待って……良いの?分かった。直ぐに呼ぶよ。ロロ、俺も彼女を呼ぶわ」


 念話で、彼女に火の上位精霊について聞いたら、私に任せろと言われた。


「誰をだ?」


 俺は、武器を仕舞うとアイテムボックスから1本の剣を抜く。何を隠そう、この剣はエリスの依代だ。


「ちょっと待て!?何故、お前がそれを持ってやがる!?」


 火の上位精霊イグニスが剣を見て動揺し始めた。


「どうした、イグニス? 動揺して」


「ロロ、アイツを全力で止めろ!俺の魔力を好きなだけ使って良いから止めるんだ!!」


「よく分からんが、不味い事は理解した。火精霊魔法・煉獄の灼塔」


空域断裂(ディメンション)領域(フィールド)


 俺は、天高く登る火の渦に呑み込まれたが、全く暑くない。ガイアス爺さんも効果を保証した、俺の最強防壁だ。さて、詠唱しますかね。


「我が名を持って告げる。この手に在りしは、汝の依代。誓いを此処に。我、水の意志を継ぎし者。我、水と共に歩みし者。精霊の門を此処に。契約に従い、我が元へ来たれ。エリスアクア!」


 詠唱と共に現れた水玉が弾け、エリスが姿を現した。


「格下のクセに、調子に乗ってる火の奴が居るんだって?ブチのめしに来たわよ、イグニス」


「ひいぃぃ!? えっ、エリス!?」


 エリスの登場で、イグニスの顔が青褪めた。どうやら、エリスの方が上らしい。


「それじゃあ、ユーリ。許可をくれないかしら?」


「ああ、例のアレをするのね。良いよ」


「さぁ、イグニス。覚悟は、良いんでしょうね?」


 エリスは、俺の許可を受け、幼女から美女へと一気に成長した。これに成るには、契約者の許可と大量の魔力が必要になるが、その分、出来る事が色々増える。例えば、人並みに殴り合ったり。


「イグニス!歯を食いしばれ!」


「ぎゃあぁぁーー!」


「「………」」


 イグニスの悲鳴が木霊する。俺たちは、この光景にドン引きした。どんな光景かというと美女が子供にマウントして殴るという虐待の光景なのだ。


「降参します」


 ロロのリタイアにより、俺の勝利が確定した。次は、ラファエラさんとだな。


「私も降参します」


「………」


 始まる前に、降参宣言された。別に、俺は何もしてないよ。彼女自身の意思によるものだ。


「何故?」


「私の得意とする魔法は、呪詛なのよ。でも、鑑定魔法で見ると貴方、状態異常を無効化出来るのね。それに、本気で武器を使われたら勝てないわ」


 鑑定魔法で、俺のスペックが分かってたら戦わないわな。武芸者やアホでもない限りは。


「それでは、婚姻の儀を終了します。お疲れ様でした」


 ラファエラさんの発言で皆、解散し始める。


「ふう、やっと終わった。……眠っ」


 気を抜いたら、一気に眠気が来た。魔力は、精神力を使うからな。魔力をこれ程多く、消費した事は初めてだ。かなり眠い。


「空き家に泊まっても良いわよ。リリスが言っていた例の件で話し合いたいし」


「全力で拒否します。怖いので」


 席に座る女の子たちを見渡すと、目が爛々に輝いていた。あれには、見覚えがある。獲物を狩る者の目だ。初めてリリィたちに絞られた時、同じ目をしていた。やはり異世界において、強さはモテ要件の1つなのだろう。


「とりあえず、今日は帰って寝ます。話し合いは、明日で良いですか?」


「話し合いが難航しそうだから、今日から始めたい所なのよね」


 誰かを残していくか? うちのエルフの格付けトップは、リリィだったな。あっ、でも、人を借りるのは、リリスたちの要望だしな。


「リリス」


「はい、何でしょう?」


 名前を呼ぶと急いで、ステージ上にやって来た。


「一度、屋敷に帰るからリリスは残って、ラファエラさんと借りる人の話し合いをしてくれないか?明日には、また、来るから」


「ああ、なるほど。分かりました。今日中に決めておきます」


 別に、急がなくても良いんだがな。春になったら人手が欲しいだけだし。


「という訳で、リリスを残します。彼女と話して下さい」


「分かったわ。リリスの宿泊の用意をしましょう」


「それと明日、うちの娘たちを全員連れて来て良いですか?彼女たちがエルフの里を一目見たい様ですし、俺も紹介したいので」


「そうなの?連れて来て構わないわ。誰も文句言えないでしょうし」


「ありがとうございます」


 よし、これでマリーも連れて来れるな。喜びそうだ。


「よし、帰ろう」


 俺は、皆を連れて屋敷に帰った。でも、1つ気になる事がある。帰り際に、リリスはリディアの聖錬銃を借りていた。自分のも有るのに、何に使うのだろう?





 翌日。俺は、何もせずにしっかり寝たら復活した。朝一番にエルフの里へ向かう。


 同行者は、昨日行ってないメンバー全員。昨日のメンバーは、留守番だ。アイリスを連れて来ても良かったが、赤ちゃんの世話を頼みたかった。


「おはようございます」


 里に着くなり、ボロボロのリリスから晴れ渡った笑顔で挨拶された。


「一体、昨日の内に何があったの!?」


「何、メンバー選びをしただけです。無事選び終わりました。この子たちです。今日から良いそうです」


 リリスが連れて来たのは、ラズリさんを含む、7人の男女。と言っても男性は、2人しかいない。


 そして、誰も彼もボロボロだった。たぶん、格付けしたのだろう。リリスの笑顔を見るとトップなのだろうか?


「え〜っと、よろしく頼む。代金は……いくらで頼んだんだ?」


 そういえば、代金の話をリリスにして無かった。ティアたちより高いと、さすがに困るな。稼げ無くは無いが。


「里への食料供給で良いそうです」


「それは、助かる。沢山あるしな」


 うちは、食料に溢れているからな。硬貨を消費しなくて済むのも嬉しい。


「冬の間は、狩りも採取も上手く行かないから里も助かるそうです」


 Win-Winの関係じゃないか!それなら、安心して借りられるよ。これで、屋敷の人手不足の問題は解決したな。


「なので、今日の夜にもお願いします」


「あはは……頑張ります」


 俺は、嫌じゃ無いが、この後の労力を想像して笑ってしまった。最低3人孕ませろって事なのだ。さすがに、ルーン使わないと持たねぇよ。だから、彼女たちには色々コスプレして貰うとするか。


「なら、屋敷を案内しよう」


 彼らを連れて屋敷に戻った。寝床は、屋敷と来客用の家の好きな方を選ばせたら、男性陣と2名が来客用の家にした。夫婦なのだそうだ。その為、残りは全員屋敷になった。


 彼女たちの目が怖いので、気を付けねばならない。俺自身は、欲望に弱いからな。


 こうして住人が、また増えたのだった。

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