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エルフの里に行こう!

 リリスとギンカが、ベルトリンデ王国と屋敷を行き来する事、約1週間。彼女たちは、エルフの隠れ里に辿り着いた。その後、ギンカに連れられて里の郊外まで一度行ってきた。里の郊外であったが、特殊な魔力によって、森が天然の迷宮化していた。


「エルフの隠れ里に行くメンバーを3人選出します。行きたい人、挙手」


 リリスたちと話し合った結果、俺に同行するのは3人という事になった。


『はい!』


 おお、全員挙がった!滅多に見れる場所じゃないし、気になるよな!


「さすがに、この人数は警戒されるので勘弁して下さい。エルフには、人見知りも多いですし」


 確かに、リリスの言うことは尤もだ。


「なら、ハイエルフ組以外のメンバーは、リリスに選んで貰った方が良いかな?俺としては、アイリスとマリーのどちらかを可能なら両方と考えていたんだが」


「今回、マリーさんは、遠慮して頂けませんか?」


「何故です?竜種だからですか?」


「すみません。そうです」


「仕方ないですね」


 マリーは、仕方ないと諦めている。事前連絡すれば、大丈夫だろうか?次、行く時は、優先的に連れて行こう。


「アイリスは、良いのか?」


「あっ、はい。アイリスさんなら大丈夫です」


「やったーっ!」


 アイリスは、確定した。後、2人だな。珍しく、フィーネたちも参加表明してるから連れて行きたい所だが。


「後の2人は任せて良いか?今回選ばれなくても、次回連れて行くから好きに選んでくれ」


 初回だし。リリスたちに任せた方がいいな。


「でしたらーー」






 翌日、エルフの隠れ里へ向けて転移門(ゲート)を開く。


「よし、もう通っていいよ」


『は〜い』


 結局、俺の同行はアイリス。イナホ。エロースの3人になった。


「そういえば、何故、この2人なんだ?」


「戦闘のバランス重視で選びました」


 要は、戦闘において安定して立ち回れる事を基準に選んだ訳だ。エルフの隠れ里で、戦争でもするだろうか?


「で、どうやって入るんだ?」


 この森の魔力は、精神に対して影響するものだろう。俺は、デバフに関しては、無効化出来るので問題無いが、イナホとエロースには無理だと思う。


「結界を超えるまで、私たちの誰かに触れていれば大丈夫です」


「そうね。こうするのが一番よ」


 右腕がリリィの谷間に包まれた。相変わらず、柔らかい。ああ、なるほど。デートみたいに腕組みで行けば良いのか。


「………」


「あの、リリス。左腕まで使えなくなるともしもの時困るんだけど……」


「私じゃ、嫌ですか?」


「……そのままで」


 そんな悲しそうに言われると、嫌とは言えないじゃないか。それに俺個人としては、嫌じゃないんだからさ。さて、こっちは問題無さそうだな。アイリスたちは、どうだろう?首だけ回して見てみた。


「リディア。よろしくね」


「私もお願い。リリスの手が空いていないから」


「姉さんがアレで、すみません。アイリスさん、エロースさん。行きましょう」


 リリス。イナホの相手がいないんですけど。さっきの流れから、今更言えねぇ……。


「リリアさん、お願いします」


「任せて、イナホちゃん」


 アイリスとエロースはリディアと、イナホはリリアと手を繋いで行くようだ。


「それじゃあ、行くわよ」


 リリィの合図を先頭に結界へと入った。ピシッと一瞬、空気が硬直するのを感じた後、空気の質が変わった。先程までの近寄り難い空気から穏やかな空気へと変貌したのだ。


「結界を超えたから離れても大丈夫よ」


「そうなのか?なら……」


 リリィとリリスは、離れる気配がしない。他のメンバーは、ばらけたのに。


「そのまま、行きましょう」


「……分かった」


 抵抗しても仕方ない。両手が動かせない訳だし。この感触に浸っていたい気持ちもある。でも、歩き辛いんだよな。


「母さん、ユーリ様が歩き辛いので離して下さい」


「あら、リリスが離せば良いんじゃないかしら?」


 2人火花が、俺の所で散る。勘弁して欲しい。ちゃんと平等に接しているつもりなんだが……。


「ん? 2人共、手を離して。警戒されてる」


 さすがに、空気を読んで離してくれた。現在、木の上に3人、草むらに2人。合計5人もの人に見られている。


「多分、境界の監視兵ね。気にせず進みましょう。いきなり襲って来ることは無いから。もしもの場合は、事前に警告してくるわ」


「分かった。フィーネとイナホは、俺の背にーー」


 唐突に矢が降り注ぎ、横に列を成した。恐らく、これが警告なのだろう。超えたら攻撃するという。


「お〜い、私は、リ家のリリアーヌよ!里に入っちゃダメ?」


「同じく、リ家のリリスです!彼は、私の旦那になった者です!通行許可を下さい!」


 リリィとリリスが、監視兵に訴える。相手からの返答は。


「容姿と魔力の波長が一致しているのを確認した。しかし、確認の為、質問させて貰う」


 女性の声で返ってきた。しかも、本人確認の質問をするらしい。魔力の波長は分からないが、容姿は魔法で変えれるしな。


「まずは、リリアーヌ。我が里の長について、どう思っている?」


「あんな奴、死ねば良いんじゃないかな?」


 おぉい、一体、長との間に何があった!? そして、それで本人確認取れるのか?


「確かに、リリアーヌだな。本人と認めよう」


 それで、認めるんかい!? 反応か? 反応を見たのか?


「次は、リリス」


 名指しされたリリスは、嫌そうな顔をしている。


「君は、いくつまでおねしょしていた?」


「……10」


「聞こえないな?」


「10歳ですよ!この鬼畜女!この質問考えたのラズリでしょ!!」


 リリスの秘密を1つ知った。結構長くおねしょしていたんだな。


「ああ、だから夜やる時に良くそそーー」


「ユーリ様」


「うぉ!?」


 いきなり背筋に氷を突っ込まれた感覚になった。俺は、リリスから溢れた殺気にビビってしまった様だ。


「それは、2人の秘密にしましょう。守ってくれるのなら、どんなプレイも受け入れます」


「よし、口にチャックします」


 俺は、欲望に忠実ですから。というか、多分、アイリスとかエロース辺りは、確実に気付いてると思うけど。意外にミズキも気付いてたりして?彼女にシーツ換えて貰うし。


「よし、その反応は、リリス本人だな。次は、ーー」


 リディアとリリアも質問された。しかし、2人の質問は普通だった。それに対する答えも。だから、あっさり本人と認められた。


「ーー本人の様ですね。良いでしょう。皆さんの通行を許可します」


「ありがとう♪」


「「「ありがとうございます」」」


 無事、通行許可が降りた。俺たちの責任は、リリィが持つ事になった。


「それじゃあ、出て来い。白髪女」


「白髪じゃない。銀髪だ。相変わらず、口が悪いなリリス」


 木の上から1人の女エルフが降ってきた。その衝撃で彼女の長い銀髪がなびく。


「貴方のせいでしょ? ラズリ」


 あっ、この娘がさっき名前の挙がったラズリさんか。


「久しぶりね。ラズリちゃん」


「そうですね。お久しぶりです。リリアーヌ先生」


「先生?」


「ほら、私、ここでも薬師だったから」


「ああ、だから、先生か!」


 この世界に病院はない。代わりに薬学堂と呼ばれるものが存在するだけだ。だから、薬師を先生と呼ぶ人が多くいる。


「それで、彼がリリスの旦那ですか?」


「違うわよ。彼女だけの旦那じゃないわ」


「そうなのですか?なら、後ろの亜人たちも?」


「惜しいけど残念。ここにいる皆の旦那様よ。ちなみに、私とリディアは、妊娠中」


「えっ……」


 ラズリさんから凄く冷めた目で見られた。俺にそっちの趣味は無いので止めて欲しい。


「それで、長は、家にいるのかしら?」


「会いたくないでしょうけど居ますよ」


「ねぇ、さっきから気になってたんだけど、長との間に何があったの?」


「何、少しストーカー紛いの行動されただけよ」


「なるほど。消し炭にすれば良いんだな!」


「いやいや、消し炭はダメでしょ?」


「そうですよ。長の実力を舐めないで頂きたい」


 ラズリさんに注意された。長なだけあって強いのだろう。


「だからね、ユーリ君。両手両足折るだけにしてあげてね。斬り捨てるのも有りよ。奴が死ななければ、大丈夫」


「はい?」


「あっ、それは良いんだ」


「いやいや、ちょっと待って下さい!何の話をしているんですか!?」


「まあまあ、ラズリ。どうせ、後で戦うのでしょ?その時に分かるわ」


「そうですよ。だから、はやく行きましょう」


「既に分かっている結果ですからね」


「あの、皆さんにお聞きします。彼は、長より強いと?」


『当然』


「………」


 ラズリは、信じられないって顔をしている。それより、気になる発言があった。


「俺とラズリが戦うって、どういう事?」


「ああ、それは婚姻の儀式の一貫よ。里の人達に実力を示す為に行うの」


「なるほど。俗にいう、俺を倒して証明しろみたいな奴か」


「そうそう」


 リリィは、笑顔で軽く言ったが、実際は違うものだった。儀式とは、エルフの格付けの事で、里の中でのランク付けを行う事だった。

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[気になる点] 分かった。フィーネとイナホは、俺の背にーー フィーネはエルフの里に連れていってないはず?
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