ゴールドアッポ
ゴールドアッポの木へと来た。知識は、重要という事で前回と同様に鑑定を行う。
名称:ゴールドアッポ
レア度:S
説明:稀少果実。マナ回復。食用可ーー。
省略するが、ここまでは、前回見たのと同じ。ただし、今回は、追記が変わっていた。
ゴールドアッポの絞り汁とクーネル草の乾燥粉末、月の雫、精製水を混ぜ合わせる事でエリクサーが作成出来ます。
エリクサー。あらゆる状態を回復させる万能薬。ゲーム等で登場するアレだ。
尤もゲームやマンガにあまり触った事はない、というか、そんな余裕は無かったけどね。知識としてそれくらいなら知ってる。
あっ、でも、ドラゴンの血とかは、使わないんだ。まぁ、使うとしたら狩り尽くされるわな。寿命も伸びるし。
薬師スキルの影響だろう。じっくり見た事で認識出来た感じか?。
そして、お馴染みのオススメ。干し林檎推しではなかった。
『焼くなら輪切りにして焼きましょう。そのまま食すなら、岩塩を溶かした水に付ける事で色止めになり、甘さも増します。パイにしても美味しいです。好きですよね?』
あぁ、パイね。あのサクッとした食感と甘さが……って、何か聞いてきてる!? "好きですよね?"って、疑問系で!?
タナトス様!タナトス様ですか!?この追記書いてるのは!?
思い当たる方が他にいないのですが!
………
……
…
ちょっと動揺した。気を取り直して採取する。
軽く100個はあるのではないかと思えるほど実を付けている。栄養価が高いので少し多めに貰おう。時間停止のアイテムボックスもあるし。
ハサミを顕現させる。ハサミで実の付け根を切ってアイテムボックスに入れていく。
10個ほど採取しておいた。エリクサーの原料にも使える様だし。
さて、昼飯にしよう。場所は、戻って拠点。
帰ってそうそうに、ゴールドアッポを三日月に切って塩水に付けて、輪切りのモノも串に刺していく。
串に刺した物が皿にある程度たまったので、七輪に火をくべる。
やっぱり肉も欲しい。そう思ったので砂ズリとトリ身の串も用意して一緒に焼く。
七輪の火でトリ肉とリンゴは、いい感じに焼けている。網が欲しい所だが、こればっかり難しい。木や石だと耐久が弱く、燃えたり砕けたりする。
鉱石が有れば、創る人の鍛冶スキルで造れる。ちなみに、作り方は、鋳造と呼ばれる製法だ。砂で型を取り、溶鉄を流し込む。
だけど、型は石でもいい。空間魔法があるから。
空間魔法で石の内部に型を造って溶鉄を流し込み、出来た物を空間魔法で取り出す。
無駄な部分を削る必要も無く簡単に行える。
そうこうしている内にリンゴが焼けた。肉は、もう少し焼くべきだろう。
「あつっ」
熱い汁に声が出る。焼かれた事で甘さが濃縮して美味い。ついでに、塩水に付けていたモノもフォークで口に運ぶ。
こっちが、通常の状態。程よい甘さが口に広がり、これも美味い。
リンゴを食べる内に肉も焼けた様だ。トリ身は、言うに及ばす砂ズリも旨し。このコリコリとした食感がどうしても病みつきになる。
「どれも美味いな……」
……クイ。
おや? 服を何かに引っ張られた様な? 気のせいだろ?
ここには、俺以外は居ないし。
……クイッ、クイッ。
どうやら気のせいではない。何者かが背後にいる様だ。
柵の警報は、何をしていたのだろうか?
そもそも警報って本当にどう鳴るのだろう?
とりあえず、警戒させないように包丁を出して振り向いた。
「………」
誰もいない。
しかし、暫くするとまたもや"クイッ、クイッ"の引っ張る感じがした。どうやら下かららしい。俺は、視線を下へと下げた。
なんとそこには、淡い青色をした塊が居て、俺の服の端を引っ張っていたのだ。
この色、この形状。間違いない。異世界の色々種類のある定番生物。俗にいうスライムだ。
「美味しそう。私にもそれをちょうだい」
「………」
流石、異世界。スライムも喋るんだねと思った昼下がりであった。