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第45話 第一回ダンジョン会議

「ダンジョン会議って何ですか?唐突に」


「大抵の事は突如として訪れるもんだ」


「それはそうかもしれませんが」


「いいから聞け。この会議はこれからのダンジョンの運営方針について話し合う場として活用していく」


「それは主様(マスター)が決めるのでは?」


「勿論、最後に決定を下すのはこのダンジョンの責任者である俺だ。だからと言って一から十まで俺がやる必要はない。その為の思考力だろ。使ってないと錆びていくぞ」


「今日の主様(マスター)より使ってますよ」


「ならその調子で考え続けてくれ。それに話し合いの場とは言ったが、俺が一方的に方針を話す報告会としての役割もある。旅行に行くにも何処に行くかで個々に持ってくものは変わっていく。だから定期的にこのダンジョンが何処に向かっていくのかぐらいはお前達も知っておいてもいいと思ってな」


「机もない会議ですか」


「はい、そこ水を差さない」


三脚の椅子の中心にある半壊した樽は、机というには確かに無理があった。


「初期メンバーはこの三名。俺、ペテ子、セキが会議の発起人となる」


「発起人は主様(マスター)でしょう」


「黙ってろ、ペテ子。この三名が発起人なんだよ。これからメンバーは少しずつ増えていく予定だからな。俺が代表、ペテ子が副代表、セキはモンスター代表となるからそのつもりで頼む」


「役職ですか、主様が代表なら副代表は私しかいませんね」


「私がモンスター代表ですか………いいのでしょうか?」


ペテ子は当然、セキは恐る恐るといった感じで任命を受けていた。


「これは決まった事だ。反論は許さん。それで俺からの話は二つある。一つはダンジョンのこれからについての決定事項の報告と、二つ目はこの会議によって決める議題の提案だ、よく聞いておくように。返事は?」


「はいです。主様(マスター)

「承知しました周様」


周は二名の参加者の話を聞く姿勢が整うのを待ってから口を開いた。


「では一つ目。これからどのようにしてこのダンジョンを発展させていくか、これについての答えは簡単。ただDP(ダンジョンポイント)を集めればいいだけだ。言うまでも無いがこれにより『ダンジョン形成』『モンスター召喚』『トラップ生産』『アイテム購入』が自由に使えるようになる。まずはそうだな。DP(ダンジョンポイント)の目標値は十日で10000DPの獲得という事にしておこう」



「10000DPを十日集めるなんて難しくないですか?」


周が初期の1000DPの十倍である10000DPを十日で手に入れるという目標を掲げるとペテ子は、疑問を呈した。


それもその筈、昨日一日の成果は300DP程度。それも周が命を懸けてだ。

正確にはベッファンから得たDP(ダンジョンポイント)が317DPになるので10000DPを得るには34人以上の人間を殺す必要がある。それを十日で成すのは難しいと誰もが思うのは仕方ない。


「いや、難しくはない」


しかし周はそれを即座に否定した。


「お前はその方法を知ってるだろ。その為には森に行ったんだからな。セキにはまだ伝えていないがお前には言ったはずだぞ」


周がそう言うと、ペテ子は思い出す。


「虫ですか」


「虫とはなんでしょう?」


何も知らないセキは顔に疑問符を浮かべた。


「そうだ、俺が【鑑定】で確認したところ蟻にはステータスが存在した。DP(ダンジョンポイント)はパラメーターの数値の合計で決まる。パラメーターはHP、MP。STR()VIT(丈夫さ)AGI(敏捷性)DEX(器用さ)INT(賢さ)HIT(命中率)MND(精神力)LUK()の十種類の各能力値で構成されているから全ての数値が1だったとしても最低10DPは得られる計算になるんだ。つまり蟻を1000匹集めてダンジョンに吸収させれば10000DPを獲得できるってことだ。命を失うような事を三十回繰り返すよりは余程簡単だろ?」


「ですが、その為には森に入らなければなりません。その結果が人間との戦いです」


危険は同じではないか?とペテ子は思った。


「だから今度は見つからないようにやるんだ」


「そんな事が出来るんですか?」


「まずは時間だな。俺は早朝に出るのがいいと思う」


「時間なんて関係ないでしょう」


「早朝に起きる盗賊はいないだろ?それにここは森林の奥深い場所にあるダンジョンだ。人里までも距離はある。夜の森に好きこのんで入る奴はいない。もしも盗賊以外の人間が早朝に森へと入って来たとしてもここまでたどり着く頃には昼前になってる。だから朝早くに森に行く」


「人間以外の生き物はどうするんですか?」


「そんなもんは知らん」


「はい?」


周の思いもよらない言葉にペテ子は耳を疑う。


「一つ言っておくぞペテ子。俺は頭が良いわけじゃない。だからその足りない頭じゃ目の前の問題以外の事に対応は出来ないし、するつもりもない。こっちに来て今迄の最大の緊急事態を生んだ生物はなんだった?」


「昨日の人間です」


「その通りだ。だからまずそれから始めるんだよ。新しい問題が発生したらその時に考えればいい」


「行き当たりばったりじゃないですか」


「そんなもんだ。生きるってのは。全部予想できたら楽なんだけどな。その為のこの会議だ。最初に言ったろ?考えろって、生き残りたければお前らもちゃんと頭を回せ」


「理解しました。主様(マスター)はあまり頭が良くないと」


「そこだけ切り取るな」


会議は不恰好に踊り始める。

これが第一回目のダンジョン会議の始まりだった。

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