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第41話 初めてのモンスター

「そういえば、なんで俺がお前に言い訳みたいな事をしないといけないんだ?」


主様(マスター)にとって私が大切だからでしょうね」


「自信満々だな」


「なけなしのものを大きく見せているんですよ」


ククルの事を話しを終えた後、周はダンジョンリストに向き合う。ダンジョンリストの半分は創造できるモンスターの情報が占めていたが、試しにその半分を『アイテム購入』のリストにしてみたところ、石板を縦に割って二つのものを表示する事が可能だった。


いつまでも地面に座っているというのも文明人として相応しくないな、と周はそれから対処を開始することにした。


「『モンスター召喚』を行う。その前に机と椅子だな」


「無駄遣いですか?」


「必要経費だ」


『モンスター召喚』と同じように『アイテム購入』で選んだものも黒土から成形され土像となり立体化する。


それにより黒土部分の土像の半分はモンスター。もう半分は家具が占めることになり中々面白い奇観が周の眼前に広がった。


DP(ダンジョンポイント)にこんなに差があるのか」


周が言っているのは、ダンジョンリストに載っている家具を購入すると消費するDP(ダンジョンポイント)の話だ。

ダンジョンリストには元の世界から運んできた家具と、今やダンジョンの入り口となった廃家の中に元からあった家具が並んで表示されている。


それぞれを比較すると元の世界の家具と廃家に放置されていた家具ではDP(ダンジョンポイント)の消費量が十倍違うという事実が確認出来た。


「こちらの世界のものと異世界のものとの違いというよりは品質の問題でしょうね、この机と椅子は廃家にあった不良品ですから。【ダンジョンアイテム購入】で綺麗にはなっているので使うだけなら問題はありません」


「節約しよう。使えるなら別に構わない。机の代わりに樽で、椅子はお前の分はいるか?まぁ、三つ用意しよう、椅子が三脚に樽が一つ、合計は110DPか」


樽が20DPで椅子三脚が90DPだった。


現在の残りのDPは1017DP。

これは【環境設定】で【草原】を指定して消費した200DPに、眠っている内に二日目に入っていた事による【草原】の維持費の100DP。その二つを合わせた300DP、それにベッファンをダンジョンが吸収して獲得した317DPを合わせた数字だった。『アイテム購入』で樽と椅子を購入すると、そこから110DPを引いて残りは907DPとなる。


「ポチっと購入」


周はポチっとと言ったが別にボタンなどがあるわけではなく、頭でダンジョンリストを操作しただけだった。『アイテム購入』を使うと土像だったものに色がつき、質感が木のものとなり、偽物が本物へと変わる。


「こんな感じなのか、意外に簡単だ」


周は感想を口にする。


主様(マスター)の考えた通りになっていると思いますよ」


「俺の願いを汲んで再現しているって話だったな」


出現した樽と椅子三脚を黒土の上から移動して草原に置き、周は椅子に腰掛けた。

ペテ子は椅子ではなく大樽の上に着地する。


草原の上に樽と椅子三脚。

これが周の最初の拠点となった。


「『モンスター召喚』で生み出したモンスターはお前のように話せるのか?」


椅子に座った周は膝に肘をつき、左手に顎を乗せてリラックスしながらペテ子に尋ねる。


「一定以上の知識があればですかね?絶対に会話を成立させたいのならモンスターを人間にするか、【モンスター変形】で他のモンスターに人間を組み合われば、話せるようになるかと」


「そうか、最初のモンスターだけは言葉を理解して貰う必要があるからな」


「なんでですか?」


「一つ試す必要があるんだ。その為には言葉を理解していなければならない」


「また何かするつもりですか?主様(マスター)


「大したことじゃない、そんなに嫌そうな雰囲気を醸し出すな。それに虫を捕まえて貰うには指示が理解できた方が良い。身体も人間に近い感じで二足歩行も出来る動物にしようか」


「どの生物をモンスターとして生み出すんですか?」


「今回は猿に人間を組み合わせる」


「それって猿の○星」


「お前は俺からどれだけ無駄な知識を吸収してんだよ」


「話が通じる相手はいた方が良いじゃないですか」


「こっちにその映画は持ってきてなかったな。本ならあるかも」


DP(ダンジョンポイント)に余裕が出来たら買いましょうよ」


「かなり余裕が出来たらの話だ」


話が逸れたが、『モンスター召喚』は続く。


「それでどの猿にするんです?」


「こいつにしよう。どうせなら綺麗なやつがいいだろ。記念すべきダンジョンのモンスターの第一号だしな」


主様(マスター)、【モンスター変形】を行うときはダンジョンマスターの想像力も加味されます。ですから生み出すモンスターの望みの姿を頭に思い浮かべながら『モンスター召喚』をして下さいね」


「わかった。できるだけ姿形は変えずに、頭脳だけに人間の成分を加える形にしよう」


「『モンスター召喚』」


周がそうして『モンスター召喚』を行い、土像から生まれ出たのは想像した通りの姿の猿型のモンスターだった。その立ち姿は美しいといえるものだ。


「お呼びにより、参上しました」


その猿は周とペテ子を視認すると、器用に言葉を話し恭しくする。


「おめでとう、お前がこのダンジョンの最初のモンスターだ」


「なんなりとご命令を」


これは成功だな。周は猿を見てそう思った。



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