第27話 即席ダンジョン作成
周、シモンの両者が二人揃って注意された結果。
スカーレットはムッとした顔をしていて、シモンはそれを見て反省、周は気にもしていない、というそんな足並みの悪い三人組が出来上がっていた。
並び順はシモン、スカーレット、周の順だ。
そうして森の中を少し歩くと目的地に着いた。
シモンが先導をして到着した場所にあったのは、山の半分が何かに吹き飛ばされたかのような歪な形に変化している欠けた岩山だった。
「そこのトンネルを抜けた先に立派な拠点を用意したわ」
スカーレットが指し示す先には自然に出来たであろう岩肌のトンネルがあった。そこを抜けると上空の大穴から光が射す半球状のドームのような開けた場所があり、下草が地面一杯に生え緑が溢れる神秘的な空間に申し訳なさそうに存在する廃家を見つける事が出来た。
どうやらここがスカーレットの言う立派な拠点らしい。
「立派ねえ、目が腐ってんのか?」
ボロボロな廃家のその有り様を見て、こんなものなら無い方がマシじゃないのか?と周は二人に目を向ける。
「あんたが人の居ない場所って言ったからよ、ここじゃなければ他にも良い場所はあったんだから」
「文句を言うな人間」
(俺の所為なら受け入れるしかないか……でも解体して建て直した方が早そうだ)
なんとか納得しかけたものの、それで廃家に何か変化があるわけではないので
「それにしてもボロ過ぎる」
周はそう声を漏らす。
「大丈夫よ。外側がどうだろうとダンジョンコアを使ってダンジョン化すれば問題はないから、外観が気になるなら後から自分でなんとかすることね」
「俺はそこまで器用じゃないから望み薄だな、それでそのダンジョンコアはどこにあるんだ?」
ほれほれ、と手招きして周はコアを強請る仕草をスカーレットに向ける。
「何言ってるの?もう渡したでしょ。あんたの首に掛かっているのはなんなのよ」
周の首元には遊び回っていた半年の間にスカーレットから貰ったネックレスが掛かっていた。
「これか?」
それを取り出して、台座ついている赤い宝石のようなものを持ち上げて聞く。
「それしかないでしょ」
「身に付けておけと言われただけで、この小さいのがダンジョンコアだなんて聞いてないぞ。てっきり所有欲が暴走した結果かと思ってた」
「ペットには鈴をつけましょうって?馬鹿な事を言わないで、必要だったから渡しただけよ。ちなみにコアが小さいのは第一等級だからよ」
ダンジョンコアの大きさは等級によって変わる。色や形も変化し、最終的にはモンスターへと進化する。
「これを、どうするんだ?」
「あんたに染まったそれを廃家の中に適当に投げ込みなさい、それでダンジョンの基礎部分は勝手に作成されるから」
「適当にって」
「いいからやりなさい」
スカーレットに言われた通り、ネックレスを廃家にひょいっと投げ入れた。
するとコアは壊れたドアの隙間を通過し、部屋の中に落ちてわずかに光り出した。
「これでいいのか」
「そうよ、しばらく経てばあの廃家がダンジョンの入り口として機能するようになるわ」
「インスタントよりも簡単で拍子抜けするな」
「そんなことより、その間にやって欲しい事があるの」
周はだろうな、と声を出さずにその要件を想像して憂鬱な気分になった。
「関わりたくないから、無視してたのに」
スカーレットが顎でしゃくった先には、簀巻きにされた見覚えのある挑戦者、ククルがいた。




