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ゼロダンジョン〜最愛の者は異世界より〜  作者: 0
プロローグ 出会い。
15/54

第15話 等級2

遅くなりました。

「あれが等級。あの可愛い子達が魔剣を拾えないという原因こそが等級によるものなの」


モニターの中で能天気にはしゃぐサラマンダースケルトン達の姿を見て、スカーレットは微笑しながら物知り顔で言う。骨達の触れ合いで謎の燃料を投下された故か、黒い毛並みに心無しか(つや)が出て来たように見えた。


「へえ、そうなんだ……」


身体にまで変化が出る程の愉悦をアレに感じている事を知り、周は若干引き気味で骨好きの猫に応答した。


そんな奇異の視線に気が付かずスカーレットは指示を出す。


「スターク、あの魔剣だけここに」


すると気づく間もなく魔剣はモニターの中からマスタールームへと転送され、スタークの手にするりと戻る。


「では周様」


宙の穴からそれを取り出したスタークは丁寧に抜き身である刃の腹に両指を添えて持ち、柄側を周に向けて差し出した。


(これは、俺にも挑戦しろってことだろうな)


「持てばいいのか?」

「ええ。【聞くより見よ、見るよりせよ】って言うでしょ?」


スタークは笑顔をこちらに向けるだけなので、周は一応スカーレットに確認をしてみると、同意の言葉が飛んで来た。


「聞いたことない。誰の言葉だよ」

「私よ」

「お前かよ。知るわけないだろうが」


巫山戯たことを抜かすスカーレットは放置して、周は細剣の柄を握った。


「スターク、手はそのままよ」

「勿論です、怪我をさせるわけにはいきません」


この剣を持ち上げられない事を前提に話が成り立っていると周は悟り、逆にやる気が沸く。


(鼻を明かすのも一興だ)


「こんな細剣なら俺でもなんとかなるだろ」


筋書きを変えてやろうと、周は全身に力の込めて、 柄の握りに触れ、持ち上げてみる。


「っ~~~~~~~」


(おんも)っ!、なんだこれ)


「っ〜〜〜〜〜〜〜」


周が横目でスカーレットとスタークの顔を伺ってみると、そこにはもう無理よ。やめておいたら?という憐れみの表情が標準装備されていた。


(やってやる)


無理と言われれば、やりたくなる。そんな気性の周はさらに燃えた。


「っ~~~~~~~」


しかし歯を食いしばって、鼻血が出そうな程幾度も力を込めてみたが、力及ばず、スタークの手に乗っている細い剣は微動だにしなかった。


「ほらね」

「………はぁ、はぁ。……いやこれは無理だろ。俺が、というよりスタークさんが凄いんだよ」


手の平を上げ、降参だ。と周がジェスチャーで示すとスカーレットはテーブルの上に乗る。


「スターク、カップを片付けて剣をテーブルの上に置きなさい」

「承知しました」


スタークは剣を穴に入れた要領でカップを消すと、テーブルの上に剣を置いた。


あの重量ではテーブルが潰れるんじゃないかと思った周だったが、それは無用な心配だったようでテーブルは剣を置いても壊れなかった。


テーブルの上には周が本気で力を込めても微動だにしなかったそれ。


スカーレットはおもむろにその剣に近づくと、そっと動かした尻尾で柄の部分を器用に掴み、ひょいっと持ち上げてみせた。


「こんなに軽いのに。………感想は?」

「別にいいけど、何故かムカつく」


「それは重畳(ちょうじょう)。勘違いしているかもしれないけど、これは重量の問題ではなくて、別の事が原因なのよ。さっきも言ったでしょ?」


得意げな顔を向けてくるスカーレットの言い様に周はピンと来た。


「それが等級だな」


「ええ、そうよ。自分で体感してより理解できたでしょう?この魔剣は第八等級武器。だから第一等級の武器しか扱えないあんたや、第二等級の武器までしか扱えないサラマンダースケルトンじゃ、そもそもこれは持ち上げる事すら出来ない代物なのよ。そうね、こうイメージすると分かり易いでしょう。地面に刺さった伝説の武器を抜けるの選ばれた者だけってね」


「お前の場合は選ばれた猫だけどな」


英雄になって崇められる猫の姿を周は頭に思い描いた。


(ありっちゃ、ありか?いや無いか)


「身も蓋もない事を言うと選ばれたというよりも現実的に強さの問題ね。世界への干渉力の割合というか、どのぐらいの影響力を持っているかを示す数値でしかないから」


「どちらにせよ、俺はお前より弱いってことだな」

「それもかなりね」

「自慢か?」

「そう感じなくなるまで頑張りなさい」


スカーレットにそう言われた後、少しだけ頑張ってみるか、という方に心が動いたのは、周自身が意外に思った。


(悔しいのか、俺は)


だからそれを払拭するように周は矢継ぎ早に言葉を紡ぐ。


「有難い説教をどうも。つまり俺がそれを持つには、その等級を上げる必要があるわけだ」


所謂(いわゆる)、レベル上げよ」


その通りよ、とスカーレットが頷くと話は進む。


「全てに等級があるって言ったよな?ダンジョンもそういう事なのか?」


「等級の高いダンジョンを俺は扱えないのか?ってことを聞いているなら、そうであり、そうでも無いと言えるわね。生まれたての赤ん坊が這い、歩き、走りと、成長するようにダンジョンは育つものだから。最初から等級の高いダンジョンというのは無いの。ダンジョンの等級はダンジョンマスターとダンジョンコアのレベル、後は広さで決まるモノ。だから等級の高いモンスターや罠を扱いたかったら等級を上げることね」


このマスタールームと初期のダンジョンを再現したモノの違いはおそらくそこにあるのだろうな。と周は話を聞いて思った。


「それなら……」


頭を整理する為に周がスカーレットに質問しようとすると、サイレンのようなものがマスタールームに響いた。


「なんだ?」


「挑戦者が十一階層に到達するようです」


「一旦この話は終わり。今回の生贄の子羊である挑戦者(プレイヤー)を迎えましょう」


穏やかな雰囲気は霧散して、スカーレットとスタークはモニターを注視した。


挑戦者の襲来によって周の頭の中に浮かんだ疑問は、どうやら掻き消されてしまったようだった。

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