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ゼロダンジョン〜最愛の者は異世界より〜  作者: 0
プロローグ 出会い。
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第12話 ダンジョン形成

スカーレットが命じると、スタークはコン、と足で優しく床を叩き鳴らす。


すると足元から真っ直ぐ円柱状の硝子(ガラス)のようなものが生えた。


そしてある程度の高さまで上に伸びると、上部が薄く四角に広がり、円柱状のガラス棒は細長く天板が小さい透明のテーブルへと変化した。


スタークがそのテーブルの上に手を置くと、全てのモニターの電源が一斉に付き、とある映像が映し出される。


その映像の中身は、石畳と石壁が囲む、何もない部屋にしては広大な白一色の一室の様子だった。


「これが初期状態ダンジョン(仮)よ」


スカーレットはモニターを指して言った。


「(仮)ってなんだよ。それにしてもこことは、似ても似つかないな」


ここ、とは現在(いま)(あまね)がいるマスタールーム事だ。


周の指摘した通り、マスタールームとモニターの中の階層では同じダンジョンにも関わらず、様子がかなり異なっていた。


「映し出しているのは出来立てほやほやの初期ダンジョンを再現したものだもの、だから(仮)。ここと違うのは当然ね」


「あれがこれになるのか?」


「それはあんた次第よ。これからあんたがどんなものを作るか楽しみにしているわ」

「がんばりますよ」


周はスカーレットが残したプレッシャーをかける余計な一言に、適当に返事をした。


「まずDP(ダンジョンポイント)の説明からするわよ。使い方からね」

「あい、わかった」


周がモニターに注目したのを確認して、スカーレットは口を開く。


DP(ダンジョンポイント)を使用して行える事は大きく分けて四種類、『ダンジョン形成』、『モンスター召喚』、『トラップ生産』、『アイテム購入』の4つ。ダンジョン形成の詳細は階層を生み出す【階層(フロア)作成】、様々な部屋を作る【部屋(ルーム)作成】。部屋以外の道や階段を作り出す【組み換え】。ダンジョンを広げる【拡大】にダンジョンの環境を変化させる【環境設定】ね。モンスター召喚の場合は、モンスターを創る【モンスター創造】、モンスターを成長や変化に関係する【モンスター変形】、これと同じようなものがトラップ生産。罠を作る【トラップ作成】に、罠と別のモノや、違う効果の罠同士を組み合わせたりすることが出来る【トラップ改造】といった具合にね。最後はアイテム購入。ダンジョンが生み出すものや外部から吸収したものをダンジョン内で再度利用可能にする【ダンジョンアイテム購入】に、ダンジョン内で命を散らした挑戦者(プレイヤー)の特殊能力を複製し、ある条件下でモンスターがそれを使用可能にすることのできる【モンスターアイテム購入】の二つ。そしてそれが実際に行われる(さま)をこれから一緒に前のモニターで順々に見て貰うわ。百聞は一見に如かずとも言うし、直接一度見て貰えば理解も進むと思うの。スターク、順番通りに。まずはダンジョン形成から……でも【階層(フロア)作成】はもう済んでいるから【部屋(ルーム)作成】からよ」


「仰せのままに」


スタークは胸の前に手を置き、主の命令に朗らかな顔で従うのだった。


「ではコアルームの作成から。ダンジョンの肝のダンジョンコアを護るための最後の砦がコアルームというものです。このダンジョンのコアは私ですから、今回は代用品としてルビーを用意しました」


スタークは右手の三つの指でポケットから赤い宝石を取り出し、それを握り込む。

すると次に手を開いた時には宝石は消え、どうやったのか、モニターの中の地面の上に出現していた。


「あのルビーを台座に嵌め、扉を閉じればコアルームの完成です。コアがルビーでは(いささ)見窄(みすぼ)らしいですが、あくまで代用品、その点はご了承ください。それから【部屋(ルーム)作成】と【組み換え】を同時に使用し部屋と部屋を繋ぎつつ、【拡大】を使えば、体裁を保つ事がなんとか可能な階層が完成するでしょう。そうして【環境設定】で階層全体を【岩場】に変え、ダンジョン形成は終了となります」


「【岩場】なのはどうしてかしら?」


DP(ダンジョンポイント)消費が最も少ないものを選択しました」


「そう、でも今回は【墓場】にして頂戴」


「承知しました」


「それでは説明した手順通りにダンジョン形成を行います。このままでは分かり難いかと存じますので、周様は左上部の4つのモニターをご覧ください」


スタークの勧めで周は二十を超えるモニターの内の左上部に注目した。


すると今まで初期状態の階層内部を映していたモニターの映像が切り替わり、この階層全体を線画で3Dモデリングしたかのようなものが表示される。


「これでダンジョン形成により変化する階層全体の様子を把握することが容易になりました」


「助かります」


「では、ダンジョン形成を開始します」


スタークはガラステーブルのような制御盤(コンソール)に再び手を置く。



そうしてダンジョンはスタークの意思を受け取り、見る見るうちに変化した。



まずはコアルーム。ルビーを呑み込んだ台座は装飾され、宝石の輝きに相応しいものとなってコアルームの中心に鎮座する。


次にそのルビーを中心にして囲むように等間隔で石壁がせり上がり、部屋の(てい)を成していった。


最後に四方を囲む内の一つの壁に両開きの大扉が作られて、コアルームは完成した。


驚くほど、早く作られたコアルーム。


それだけでは無い。周が声を上げることも出来ずにいる間にも次々と部屋は作られていく。

それと同時に階層には道と階段が敷かれ、あっという間に、何もない大きな空間でしかなかった真っ白な階層にダンジョンが創られた。


「これでは少し狭いですね」


スタークがそういうと、階層全体が一回り大きくなる。


使われたのは【拡大】だ。


これで小さな空間に詰め込まれたダンジョンにゆとりが出来た。


それから、【組み換え】で全体を整理して綺麗に整える。


「これで完成です」


スタークが小さく頷くと、石で作られた白い壁や石畳が綺麗だったダンジョンは【環境設定】の【墓場】により消え、おどろおどろしい雰囲気を漂わせる死のダンジョンへと生まれ変わった。



「どうでしょうか?スカーレット様」


「まあ、いいんじゃないかしら」」


褒め言葉にしては、スカーレットの一言は素っ気無いものだ。


「有難うございます」


しかしそれを受け取ったスターク本人の顔が満足そうだったのが周には印象的だった。

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