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ゼロダンジョン〜最愛の者は異世界より〜  作者: 0
プロローグ 出会い。
11/54

第11話 スタークのコーヒー

テーブルの上には二つカップ、その中には勿論コーヒーだ。


周は一つを手に取って頂くことにした。


スカーレットは本当に香りを楽しむだけのつもりらしい。コーヒーには手を付けずに周の横に座って(くつろ)いでいる。


「美味しいですね、これ」

「それも老人の(たしな)みの一つです」


周が感想を述べると、スタークは(とどこお)りなく答えた。


「私が仕込んだのよ」


スカーレットも満足そうに頷く。

どうやら自信があったようだ。


「ああ、スカーレットちゃんは凄いですねえ、こんなに小さいのに」


周はその思いをくみ取り、そこにほろ苦いビターチョコような悪意を少し混ぜて大げさに撫でてやることにした。


「撫でるなら、敬意を込めて撫でなさい」


周の突然の行動に、スカーレットは頭を振りその手を跳ね除けることで応える。


「スタークさん。この猫、躾がなってないですよ」


「私が主人!ねえ、スターク?」


反射的にスカーレットは、振り返ってスタークを見た。


「勿論です」


ゆっくりと頷くスターク。


「ほらね」

そうして求めていた回答を得て、スカーレットはふふんと鼻を鳴らした。


しかし、

「知ってる。揶揄っただけだ」

という周の返事に、


「ふざけるんじゃないわよ」


とスカーレットは我慢ならずに、周の上に()し掛かった。


「コーヒーが零れるだろうが。ちょっとしたユーモアだ」


周は後ろに倒れながらも、コーヒーの安全を確保。

それから一気に残り少ない中身を飲み干して、十分にコーヒーを楽しんだ後テーブルに置き、カップを退避させる。


「落としたら目つぶしの刑だったのに、残念ね」


「刑が重すぎる」


「お気に入りの食器との出会いはそのぐらい少ないのよ」

「ならなんでこんな事をした?」

「あんたがそれを言う?」

「俺にしか言えないだろ」


「私のも、ちょっとした冗談よ」


「ならお相子(あいこ)だ。そろそろ退いてくれ。はしたないぞ」


「気を付けなさいよ、あんた。スタークだから私にこんな暴言を吐いても許されるけど、他の子が居たら、酷い事になるかもしれないからね」


スカーレットが忠告しながら身体の上から退いたのを見計らって、周は起き上がり肘を膝に置いて手を組み、その上に顎を乗せて言う。


「わかった。そういうなら、じゃれ合うのはこの辺にしておこう」


「そうね、じゃあ、スターク」


定位置に戻り、スカーレットは命令を出す。


「では、何からお見せしますか?スカーレット様」


スタークは全てを言い終わる前に察知して反応した。


「新しく作った区画を。あの何も手を加えていないフロアね」


「承知しました」



そうしてコーヒーの香りだけ残して、説明会が始まる。

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