表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
<R15>15歳未満の方は移動してください。
この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

告白の理由

作者: 桜ノ宮潤雅

悟が大切にしていたもの

らんちゅう

多肉植物

そして家族


その手紙はらんちゅうの水槽の脇にある


家族5人が殺された

父、妻、幼い姉妹、友人

ある者は包丁で、ある者は首を絞め

ある者は浴槽につけられて


そしてもう1人、悟

悟は近くの森で首を吊っていた


らんちゅうの水槽脇の手紙を警察が見つけた

そこには恨みつらみのほかにこの諸行の意味が


妻はよくやってくれている

父の介護、娘たちの世話、本当によくやってくれていた

本当に感謝しかない

でも、このことはどうしても許せない


爆の友人と妻の恋愛なんて

僕はどうしても目をつぶれない


今日は妻の誕生日

そのパーティーに友人も呼んで

娘たちはそれは喜んで

パーティーが終わり

娘たちは部屋へ

僕と妻と友人はワインで乾杯をしたんだ

妻の手にグラスを渡す友人の手は優しく妻の指に触れて

妻は頬をパッと染めて

その時僕の脳裏には2人の絡み合う影しか浮かんで来なかった

僕は今まで我慢していたんだよ

愛する妻、大好きな友人

でも、もう許せなかった

だからキッチンから肉切り包丁を持ってきた

悲鳴をあげる妻

落ち着けと止める友人

落ち着いてるよ、だから、肉切り包丁を選んだのさ

まず命乞いする友人を何度も刺して

ケーキナイフと包丁で腰が抜けて立てない妻を

2人はすぐ近くに倒れてる

腹がたつな、死んでもまだ2人でいたいのか?

足で蹴りながら2人を離した


少しの間椅子に座り考えた

僕は死のうと思う

待って 僕がいなくなり、母親である妻もいなくなって、娘たちはどうなる?

可哀想に孤児だ

涙が溢れてくる

可哀想だから連れて行こう

僕はスヤスヤと寝息をたてている1人の娘の首を絞めた

細い首はコキリと音を立てて寝息も止まった

もう1人の娘も同じようにした

仲良し姉妹だからね

逝く時も同じがいいだろう


しばらく娘の髪を撫でながら考えた

父は父はどうなる?

いつも介護していた妻がいなくなって父はどうなるか?


そうだ、父も一緒に

子供の頃からのことが走馬灯のように浮かんでくる

父は身体が不自由だ

いつも二階に作ったお風呂にヘルパーがきて入れている

父は昔からお風呂が好きだからと

泣きながらバスタブにお湯を溜める

眠っている父を起こし

お風呂に連れて行く

そして手を放したら頭からバスタブに倒れた

体の効かない父はそのままになった


みんな、誰一人として、悲しい運命にはならないね?


あとは僕だ

これは遺書ではない


告白だ


告白の理由?

それはどんなに僕が家族を愛しているかを

わかって欲しかったから




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ