最終章10/断薬編
○☆☆☆☆☆○☆☆★
この断薬編いつ終わるんだろうと思っていた時期、ブロンをやめて半年以上は経っていた。
が……市販でプロメタジンが手に入ると聴いてしまった。
プロメタジンはジヒドロコデインと合わせるとジヒドロコデインの効果を上げる作用が働く成分で、海外のスィズアープというコデインカクテルには含まれているのだ。
スィズアープーー炭酸にせき止めシロップ、プロメタジン、キャンディを入れた、クラブなどで流行っているせき止めカクテルといえるようなもの。
そして知ってしまったからには試さずにはいられない。
Twitterの医療従事者のフォロワー(普段は神経に関する部門で働いているらしいが、薬にも詳しい)と薬剤師のフォロワー二名に、合わせるならどれくらいの量が良いか質問した。
餅は餅屋、僕は薬屋でも医療に詳しい人間でもないただのジャンキー。なら、薬に関しては医療従事者や薬剤師に質問するのが王道だろう。
すぐに返信が届き、とりあえず暫定的に量が決まった。
ここに薬品名を書いていいのか疑問が残るが、製薬会社の方、たまたま目に留まってやめてくれということならメッセージをいただきたい。すぐに薬品名をぼかすから。
用意したのは新トニンせき止め液1本とPL顆粒7包。PL顆粒はぶっちゃけ6包と言われたのだが、心配性な僕は7包にしておいた。
準備は完了。
飲むぞ!
『ふざけんな! なろうに書いている小説(本作)のサブタイ、断薬編でしょ!? せっかくジヒドロコデイン半年やってないのに、なんで実験のために!? ふざけんな! ふざけんな!』
うるさい、これ以上騒ぐならおまえのTwitterのアカウント、削除してもいいんだぞ?
『そんな……』
瑠奈に小言を言われたが、言論封鎖。これが一番効く。
……なんか悪い気もするが、実験するだけしてまたやめたらいいんや。
そもそも覚醒剤じゃないんだから、違法でもなんでもない。依存性もちょっとやるくらいなら平気や。
そんな言い訳を自分にしながら飲んだ。
まずはPL顆粒。一包ずつ飲むのが面倒臭いが、これには理由がある。
この顆粒、最初は苦くなくて味がしないためスンナリ飲めるが、溶けるとウォベッと言いたくなる苦味がしてくるからだ。
少量を飲んで、水ですぐ飲むを繰り返し七包飲みきった。
次に新トニンせき止め液。これは別に他のせき止めシロップでもほとんど関係ないのだが、個人的にはこの新トニンの味が好きだからだ。甘すぎる、甘すぎる味。人によっては超まずいらしい。マジか。
しかし、僕にとっては超うまい。
飲みきった。あとはどうなるか確かめるだけだ。なあ、瑠奈?
『もう知らない……はぁ……』
効果が現れはじめて感じたことは、“これ、新トニン2本飲むのと変わらんな”であった。
僕は普段、1本では効果を得られず、2本でようやくマッタリできる。ちなみにブロンをやめるまえから思っていたが、ブロンではメチルエフェドリンが邪魔してマッタリできない。
新トニン2本だとブロン換算で48錠分のジヒドロコデインだが、ブロン48Tじゃマッタリしなくなっていた。
おそらくメチルエフェドリンのせいで覚醒してしまうからだろう。
あとはシロップのほうが吸収しやすいからだ。
なにはともあれ、たしかにジヒドロコデインのマッタリ感は引き上がったが、これなら新トニン2本飲むのと変わらない。
尚且つPL顆粒にはアセトアミノフェンも含まれているから肝臓によくない。
自分で自分にピレチア(プロメタジン)を処方したのか(この方はデパスなどを自分に処方するが、ピレチアは自分に処方したのかはわからない)、その医療関係者のフォロワーがピレチア要らないかと言ってくれたのだが、ある理由で(郵送だと親に見つかると面倒臭い、手渡しだと対人恐怖がある)断った。
本当はほしいけどね!
手に入ればPL顆粒のデメリット(アセトアミノフェン)が含まれていない純粋なプロメタジンだし、新トニンでラリるときも1本でよくなる。対人恐怖め~。
…………この方は最近忙しそうであまり連絡取れないけど、この方と楽しく会話してると瑠奈の視線が痛いんだよなぁ……。
話は変わるが、同じ断薬仲間であるフォロワーのひとりが、つい最近再び覚醒剤をやってしまったという相談が来てから、しばらく経ち、気づいたらツイートを一切しなくなっていた。
試しにDMを送ってみたが返信はしないし既読も付かない。
まさか捕まったんじゃなかろうか?
と、最悪なパターンが思考を過る。
僕の場合も久しぶりにやったときに急に来て捕まったから、同じパターンじゃなかろうか、と思ってしまう。
ただ違うのは、彼は一回捕まっているから、今回捕まれば執行猶予中だから合わせて懲役に行くことになるだろう。
すると、最低でも三年は連絡が取れなくなる……。
心配ではあるが、やってしまったなら自業自得という部分もある。
覚醒剤のやめにくさが浮き彫りになってしまった。
僕は単にお金がないからやれないだけで、お金ができたあとの渇望はヤバイだろう。
※実は、本話数で出てくる医療関係者(以下Aさん)と繋がったのは、それ以前に繋がっていた別の医療関係者(以下Bさん)からだ。
Bさんと連絡が取れなくなってしばらくしてからAさんと繋がり、Bさんが持病により亡くなったことを知らされた。
Bさんは非常にパワフルな方であり、Aさん曰くすごい経歴の持ち主だったとか。
とある国では合法である医療用覚醒剤(アンフェタミン、日本ではもちろん違法だが一部の国ではうつ病などにも使う)を使いながら仕事をしたりもしていた方で、薬剤についても非常に詳しく、知らないことをたくさん教えてくれた。
ちなみに別に覚醒剤のせいで亡くなったわけではないと思うので、一応違うと言っておく。
さまざまなことを教えていただいた感謝の意を記す。
ありがとうございました。
ご冥福をお祈りしています。




