番外編00/留置所(序章)
○☆☆☆☆☆○★
どうしてこんなことになってしまったんだ……。
「22番、どうした?」
警察官の声が頭の中に響く。
ここは狭い個室、四人まで入れる檻の中、ベトナム人の男と二人、黙って畳の床に座り込んでいた。
「いえ、少し気分が悪くて……横になっています」
「そうか、なにかあったら言うんだぞ?」
私は畳の床に寝そべって考える。
ーー私は、なぜここにいるんだろうか?
ここは留置所だ。
留置所ーーつまり、悪いことをしたから入っていることになる。
悪いこと……まさか?
待て、覚醒剤はもうやめたはずだ。
『本当に、バカ……』
瑠奈が近場で頭を抱えながら、ぶっきらぼうに呟き語りかけてくる。
『何度確認しても同じだよ。これが現実。どうしてせっかくやめられていたのに、また、手出したの?』
また、手を出した……?
「ああ、そうだ……」
一年以上やめられていた覚醒剤に、あの日、私は再び手を出してしまったのだ。
五月の中旬、私に売人からの営業電話がかかってきた。
いつもは断っていたのだが、その日はたまたま金が手元にあり外出中。おまけに瑠奈は家でお留守番ーータイミングがマッチしたのである。
「これは、きっと酷い夢に違いないーー」
瞼を手で覆いながら、私はここ数日の出来事を振り返るのであった。
これから語ることは、今年に入ってから、五月の中旬辺りから七月までつづいた出来事の内容となる。
あんなにやめていた覚醒剤に再び手を出し逮捕されてしまった。そのときの状況の追憶である。
いきなり番外編に入って申し訳ない。
しかし、記憶が残っているうちに書いておきたかった(あと、とりあえず短文をなにか投稿して更新だけはしておきたかった。次章からはなるべく4000字以上を目指したい)。