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第六章04/二度目のスリップ

今回さらに短いです

 金がつきた私はサラ金から借りることを覚えてしまった。

 そうして、眠剤をコレクションするうちに、『これさえあればシャブがやれる!』という突飛な思考に陥っていた。


ーーーーーーーーーー


 睡眠薬であらかた遊んでいた私は、しかし、未だに会社に行くのは怠かった。

 これはもう、シャブに頼るしかないんじゃないかと考え付いてしまったのだ。


 瑠奈との約束はどこへやら。私は瑠奈に内緒のつもりでサラ金からお金を借りて、再び覚醒剤への道を行くことに決めてしまったのである。

 瑠奈に隠れて売人と連絡を取り付け、1g購入。もちろん、注射器も常備だ。


 運ばれてきた覚醒剤はおかしの箱に入っていて、中には覚醒剤と注射器二本が常備されていた。

 今回運んで来てくれたのは、ちょいぽっちゃり気味のお姉さんだった。

 ……この組織はどうなっているんだろうか?






○☆☆☆★★○☆






 瑠奈が寝るのを見計らい、私はトイレで久しぶりに覚醒剤を打った。

 ヤバい……やっぱり眠剤では到達できない爽快感が癖になってしまう。

 これが瑠奈にバレるのは時間の問題だった。


『また覚醒剤やってるでしょ』

 


 いやいややってないって!

 これは単なるアザだよ虫指されだよ。


『へー、そうなんだ。まっ、どうでもいいけど』


 瑠奈は心底ガッカリしたような顔つきで私を見てくる。

 言い返しそうになるが、まえみたいなトラウマはもうごめんだ。


 久しぶりの覚醒剤にテンションが上がり、日本語文法の勉強をしたりしていた。いまこうやって、人並みに文章が書けるようになっているのが覚醒剤のおかげというのも皮肉なものである。

 覚醒剤を使うと性欲と性感が上昇する。


 文法の勉強→自己発電→小説の書き方→自家発電のループ。相変わらず注射するのはトイレのなか。あれから、どうしても瑠奈に見られながら注射するのは気が引けてしまう。

 サラ金から金を借りてシャブ代にして……を繰り返すうちに、いつの間にか私の借金は150万にまで膨らんでしまっていた。


 ギリギリまで自覚しない。自分がどれだけヤバい状態に陥っているのか……。

 だが、そのような生活、いつまでもつづくわけがない。

 サラ金からも金を借りきって返せなくなり、サボり気味になった会社の給料では賄いきれない。

 ついに……親に暴露するときが来たのだ。






○☆☆☆★★○☆






 私は母親に土下座していた。


 自身が覚醒剤をやっていたこと、サラ金に金を借りていたこと、すべてをさらけ出した。

 母は泣きながら怒っていた。


 そりゃそうだろう。


 今の今まで真面目だったとおもっていた息子から、そんなことを告げられるなんて想像もつかないだろう。


 本当なの?


 の発言に逆ギレして、残り一回分の覚醒剤を目の前で腕に注射してやった。いま思い返すと、本当に酷いことだったとわかる。

 それから親は、一時的に監視をはじめ、元の生活に戻りつつあった。


『砂風って、本当に最低だよね……』


 言われなくてもわかっている。

 だけどもう、サラ金は自力では返せない額に膨らんでいるし、もはや八方塞がりだったんだ。


『わたしって、砂風の抑止力にはなれなかったのかな?』


 そんなことはない。

 瑠奈がいたからこそ、シャブの使用量にもセーブがかかったし、一回目やめられたのは瑠奈がいたおかげなのだから……。

 母と瑠奈には感謝してもしきれない。私の恩人ともいえた。


 これから二年、私はブロンに頼りつつ小説を書きはじめた。

 すべてを無駄にしたくはなかったのである。

 覚醒剤をやって学んだ文法作用などもそうだし、覚醒剤の知識もそうだし……書いていると覚醒剤を思い出しそうになる。

 きちんと治療してもらえそうな精神科を受診し、私ははっきりと答えた。


「覚醒剤依存症で、少しまえまで覚醒剤をやっていました」と……。






○☆☆☆☆☆●☆






 こうして、一時的にまともな病院で通院をはじめることになった。

 ブロンを呷りななら、小説も書き続けた。


 しなし、それは長くは続かなかった。

 覚醒剤やりたい欲がどこからともなく現れ、私を誘うのだ。

 そのたびに瑠奈から叱咤激励を送られる生活。


 元どおりの生活が戻ったと感じた2年弱頃、売人からの営業がかかってきたのである。






『いいネタ入ったよ。安くしとくよーー』







ーーーーーーーーーー


 ときは飛んで最近の話になる。

 まだまだいろんな体験談はあるが、ここでひとまず区切らせてもらいたい。

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