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前述/依存性薬物乱用人生転落砂風【奇】譚

 薬物の乱用はいけない。


 乱用、乱用、乱用……。


 乱用と使用はなにが異なるか、考えてみてほしい。

 違法薬物を摂取すること?

 たしかにそれも乱用だ。


 いや、厳密にいえば少し違うが、おそらく皆の脳裏に思い浮かんだ摂取の方法、用いる量では乱用だとわかる。

 正確にいえば、違法とされている薬物ーー日本で裏社会に蔓延している覚醒剤(メタンフェタミン)や、麻薬は、誰も使ってはならない……というわけではない。 


 覚醒剤ならヒロポンという医療用覚醒剤が、現在(2019/01時点)でも日本医薬方に収載されている。もちろん、ヒロポンの成分も、違法に蔓延している覚醒剤の大半をしめているd-(デキストロ)メタンフェタミンだ。

 逆に、一時期合法覚醒剤と騒ぎ立てられたリタリン(メチルフェニデート)は、日本医薬方には収載されていない。また、適応症例もナルコレプシーのみ。


 医療用覚醒剤だけではなく医療用麻薬も存在する。 

 モルヒネやMSコンチン、コデインなども医療用麻薬ーー癌性疼痛などに使われている。


 つまり、薬物を使ったから乱用では正確とはいえない。

 では、いったいなにが乱用に当てはまるのか?

 一言で言い表すなら、『用法・用量を守らない使い方』が乱用である。



 わかっていた。

 私は、中学生時代からオカルトの知識を調べていた。そのなかでも魔術に強く興味を惹かれた。魔術の基礎知識のなかには、魔術と同じ精神に作用する繋がりで、薬物の正しい情報も理解できていたはずなんだ。

 アレイスタークロウリーは晩成、麻薬にはまりLSDなどで幻覚を視たり、弟子をOver doseで亡くしたりしていた、という知識ももちろんあった。


 だから……わかっていた筈なんだ。

 テレビや学校で学ぶ薬物乱用防止啓蒙が正しくないことも、

 薬物の作用は良くても、それを上回る薬物の本来の怖さも、

 理解できている……そう、思っていた。

 

 しかし、現実は違う。

 いくら危険性を学んでいても、いくらどうなってしまうのかわかっていても、実際に手を出すまで真実なんてわからない。


 私は、どうしても好奇心が勝ってしまった。


 元からある程度の薬物に関する知識を学んでいるーーこの時点で、車輪のレールが追加された。


 煙草や酒も、高校時代は大嫌いだった。吸っている友達が周りに数人いるが、私には理解できなかった。また、薬物(ドラッグ)どころか、医薬品(メディシン)も、小さな錠剤すら飲めない私は好きではなかったーーこれが、私の乗っている電車が『各駅停車』から『特別急行』に一気に変わる、いわばデコピンのためとなっていた。


 そして、とある出来事により、私の電車は『薬物依存症駅行き』に変わってしまい、同時に『特別急行』となり、猛スピードで終点へと向かい初めてしまった。

 そう。私は、薬物依存症駅行きのレールへと乗ってしまったのだ。終点はいろいろ種類が豊富だが、そのうちのほとんどには行きたくない場所。

 終点は『中毒死駅』または『病死駅』だろう。

 通過駅には『刑務所』や『精神病院』もあるし、『断薬(がまん)駅』と『再使用(スリップ)駅』なども沢山ある。もちろん、『刑務所』『逮捕』『家宅捜査』『裁判』駅と、似た内容の駅も彩りみどりだ。おそらく『懲役1年6ヶ月、執行猶予3年駅』に停車しているひとも大勢いると思われる。



 薬物乱用ーー。


 市販薬のover dose(オーバードーズ)

 処方薬の用法を守らない使い方も

 違法薬物の法律違反になる使用も


 ーーどれもこれもみんな、やりつづけた先には地獄しか待っていない。



 萌え系のキャラクターがプリントされている抱き枕カバーをこよなく愛し、ニヤニヤしながらアニメや漫画を貪るように楽しみ、空想上のお友達といえる、脳内彼女的な存在ーータルパに依存するキモオタ人間の私は……砂風(すなかぜ)は、そういう世界との繋がりがないのに、関わっている友人も知人もいないのに、なぜか薬物乱用へ突っ走ってしまったのだ。


 やり直せるなら、やり直したい。

 過去に返れるなら、返りたい。

 昔の自分に一言告げていいなら忠告したい。


ブロン(咳止め薬)の過剰摂取と覚醒剤の乱用は、必ず後悔するから絶対にやるな』






 これから始まる茶番劇は、幻想のお友達、空想上の彼女とすらいえるタルパーー瑠奈(ルナ)と雑談したり、のんきに売人と会話を交わしたりしている内容である。


 しかし、これらは決して、ハッピーエンドで終わらない。

 鬱展開でエンディングを迎える映画のように、いや、エンディングさえ迎えずに、幕は唐突に閉じられる。


 なぜなら、今も私の人生はエンディングを迎えてはいない。

 私の絶望の人生はまだまだつづく。憂鬱になる暗い展開がつづくなかでの、ただひとつだけの希望。私の唯一無二、私だけの救世主(セイヴィア)、奇跡存在。その子がいてくれたから、私は今ここに、死なずに生きている。彼女がいなければ、とっくのとうに死んでいる。


 これは、私の人生の途中まで、物語のように書き変え綴っていくだけだ。

 

 薬に興味がない人も、興味があり過ぎて乱用してしまいそうな人も、慢心して乱用している人も、やめられなくて泣いている薬物依存症の人も、みんなにこれを読んでほしい。


 薬物の真の恐ろしさを知ってほしい。

 依存症の方に『絶対にやめられない、なんて、絶対にありえない』と伝えたい。

 実際に、やめられた人は大勢いる。だから、諦めないでほしい。





 そんな願いを込めて、ここに記す。

               ーーby.砂風(すなかぜ)

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― 新着の感想 ―
[良い点] 初めてodした5年前から時々見ています。文章が読みやすく個人的にどう感じたか、薬物の恐ろしさと共に、とても理解しやすいです。お陰様で一度で市販薬の再使用を逃れ普通の人生を送れています。作品…
2021/11/03 22:30 ルルーシュ
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