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決着

 俺は頭突きを再開し頭突きの応酬が続く。


 しかし、奴自身もう限界が近いのか力を入れた手が緩くなっていくのを感じる。


 しかし、幕切れは唐突に始まった。


           バチン!


 縄が切れて橋の崩落が始まった。


 2つに別れた橋は支柱を支える木へ向かっていき、縄を握った俺達は木に叩きつけられた。


「ぐっ……」


「うあっ……」


 限界に達していただろうシルクは縄から手を離して落下していく。その姿はとても魔法で跳ぶような様子はなかった。


「くそッ気を失ってるのか?!」


 俺も縄から手を離して落下を始める。そして、空中で身体を捻り重心を変えて直ぐ側の木を蹴ってシスコンの腹を掴む。


「くそッここからどうする?考えろ俺!」


 集中力強化を使い時間の流れが遅くなる。俺は必死に考える。しかし、無情にも時間が過ぎるも手は思いつかない。


 すると上から声が聞こえた。


「ウメノこれを使いなさい!魔鹿の魔石よ!」


 上からドーラが叫ぶとともに魔石を投げつけてきたのでこれをキャッチする。しかし、これをどうすればいいか分からなかった。


「トルネードを唱えなさい!早く!」


 ドーラが叫ぶ。地面はもう間近だ。


「なんだか分からんがやるしかないか!トルネード!」


 魔石が手の中で砕け砂のようになったのがわかった瞬間それは起きた。


 地面から竜巻が発生して俺達を包み込み落下スピードを物凄い勢いで消し去っていく。


「うおおおおぉぉぉぉぉぉ!!」


 激しい風に包まれて地面に着地しようとする。が、思い通りにはいかなかった。


 竜巻は巨大になり続け俺達の身体は地面から遠ざかり舞い上がった。投げ飛ばされた位置よりも高く舞い上がり木の天辺を突き抜けた辺りで竜巻は収束した。


「高すぎだろこんなの!あああああああああああ!」


 俺は再び落下を始めて枝葉に打たれ減速しながらゆっくりエルフの家に墜落し床の上で止まった。


 全身文字通りボロボロで服は着てる意味を成してなかった。とてつもない倦怠感と吐き気それに痛みで指一本動かせなかった。


「ジャッキー◯ェンの映画でこんなシーンあった気がする……」


 俺は第三者視点で落ちる自分の姿がそれにしか見えなかったのでそんなどうでもいい事を呟く。


「だ、大丈夫か?生きてるよな?」


 外からケイトとドーラが入ってきて、ケイトが言った。


「これで死んだら死んでも死に切れないなぁ……」


 シスコンが原因で死ぬとか死んでも御免である。


「はぁ、その様子なら大丈夫そうね。しかし、凄い竜巻だったわね。あんなの始めて見たわ。」


 どうやらドーラの目は節穴らしい。どこをどう見ればこの状態が大丈夫に見えるのか……


「そうだ!魔鹿の魔石であんな竜巻は絶対でない。どうなってるんだ?!」


 続くケイトも俺の身体よりも竜巻の方が重要らしい。


「なぁ、君たちが思ってるよりも俺の身体重症だからな?もう立ち上がれないレベルだからな?」


 素直に現状を述べるが聞き入れられなかった。


「そんなの後で良いわ、で?どうやったの?教えなさいよ!」


 ガクガクと俺の方を持って揺らすドーラ。


「いだだだだだだだ、やめろ!」


 すると、ドーラはやりすぎと思ったのかやめてくれた。


「俺は言われた通りにやっただけだ!後のことは判らないから今は休ませてくれ!」


 そう言うと2人は渋々といった表情で了承した。俺が墜落した家はシルクの家だったようでそのままシルクの家で療養する事になった。


「シスコンはそう言えばどうしてるんだ?」


 俺は吹き飛ばされてからのシルクの所在が分からなくなり聞いてみた。


「あぁ、兄貴なら家の側の2〜3メートル上の枝に引っかかってたから後で回収に行く。」


 ケイトはそう淡々と言っているが、生きてるのだろうか?


「んで?息はあるのか?流石に死んでたら寝覚めが悪いんだが……」


「兄貴があの程度で死ぬわけ無いよ。木の枝に引っかかってるのに「妹に無様な姿を見せてしまった、お兄ちゃん失格だ」とかアホな事言ってたから、しばらく頭冷させようと思って放置した。」


 ケイトはウンザリそうに言った。


「そうか、取り敢えず元気そうで良かった、いや、よくないけど。」


 改めてことの成り行きを思い出してイライラしてきた。突然投げ飛ばされ、落ちて、橋にぶら下がって、一方的に蹴られ、頭突き合いして、落ちて、吹き飛ばされ、落ちて療養。


 あれ?なんで俺生きてんだ?なんだか不思議に思える。


「それより今日は狩には行けないわね。」


 ドーラは眉を(しか)めて言った。


「流石に無理だ!ケイトの兄貴のせいで!シスコンのせいで!」


「いやぁ面目無いな、うちのアホのせいで」


 ケイトはたはは、と苦笑いしながら言った。


「それより私的には魔石を失ったのは大きいわ。あれ、そこそこの価値があるから後で請求しなきゃ!」


 ドーラが怖い事を言う。


「あれはシスコンが原因なんだから請求はシスコンにしろよ?」


 一応釘を刺しておく。


「わかってるわ、はぁ…… 本当どうしようこれから」


 ドーラは魔石をアテにしていたらしく酷く落ち込んでいた。


「まぁ、今日は取り敢えず狩は中止にしてこの家でゆっくりしていってくれ。」


 ケイトはそう言って帰ろうとする。


「おい、ちょっと待て!まさか、俺をこのまま床に寝かせる訳じゃないよな?」


 俺はケイトに抗議した。


「あ、そうだった。仕方ない肩くらい貸そうかな?」


 ケイトはそう言って俺の身体を起こし、ドーラと共にベットまで運んでくれた。


「ありがと」


 俺は礼を良いながら横になる。


「「どういたしまして」」


 2人は笑顔でそう言った。


 俺は思わず顔を背けてしまう。こういう時美少女の笑顔ってずるいと思う。


 2人は不思議そうな顔をしながら言った。


「それじゃあまた後で来るからそれまで休んでね」


 ケイトはそう言ってドーラと共に出て行ったので、俺は目を閉じて休む事にした。






 俺は目を覚ましてスッと身体を起こす。痛みはなく傷も治っていた。


 おかしい傷が全部治ってる。痛いところが無い……


 ふと周りを見ると見たくない顔があった。シスコンの顔だ。そういえばここはシスコンの家だから居て当然か……


 俺は立ち上がり外に出て村の様子を見る。


 外は夜になっており竜巻の影響で地上を見れば土は(えぐ)れており、上を見上げればポッカリと穴が空いたように木々の枝が無くなっており満点の星空が見える。あまり見すぎるのは良くないので直ぐに視点を元の位置に戻す。


 俺は家に戻り灯用と思われるロウソクに火を灯した。


「起きたのかウメノ、昼間は悪かったな。」


 シスコンはベットから身体を起こして言った。


「シスコン身体の具合は良いのか?」


 はぁ……とため息をついたシルクは言葉を続ける。


「お陰様でな、身体はまだ(だる)くて動かせないがご覧の通り生きているよ。」


「そうか、で?なんであんなことしたんだ?」


 俺は気になっていた事を聞いた。


「妹に危険を冒させたくないからな、ウメノの実力を確かめるためにやったんだ。」


 シルクは淡々と言う。シルクがシスコンなのは判るが流石に過保護すぎる気がする。


「あ、あぁそうか。だが俺に実力があるかどうかは別にして狩りくらい別に問題無いんじゃないか?それともそんなに心配するほどの魔物がいるのか?」


 俺は不安に思い聞いてみた。


「あぁ、いるとも。村の大半を食い散らかした憎き相手がな!」

次の投稿は未定です。


1ヶ月ほどお休みします。

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