エルフの悩み
「ケイトやドーラって見た目17歳位だけどひょっとして俺より年上なの?っていうかエルフなのか?」
俺が質問すると2人はピシリと音がしそうなほどピタリと固まった。
なんだ?なんかまずいこと聞いたか?俺は不安にかられて後ろを振り返り2人を見つめる。
2人は俯いて少しの間を取るとドーラはゆっくり顔を上げて言った。
「だとしたら……だとしたらどうするの?」
その表情がなにを表しているのかわからなかった。怒っているような泣いてるような諦めているようで虚しいようで……
「どうもしないさ。ただあるがままを受け入れるだけだ。」
俺は遠い存在に語りかけるようにただ淡々と答えた。
「そう……なら余計な詮索はしないで狩が終わったらならすぐここを出ることをお勧めするわ。」
ドーラは寂しげにそう言うと2人は俺の前を歩き出した。昔何かあったのだろうか……
そうして歩いているとケイトの家に着いた。木の上にある都合上あまり大きな家では無かった。転移する前にテレビで見た物は様々なものがあったが似たり寄ったりな感じだと思ったが内装はエルフっぽかった。
椅子や寝具は滑らかな曲線の木材でその上に薄緑の布がかかっていたり、蔦のような細い木を編み、それに苔を生やした壁飾り、少し大きい盆栽で木の周りに小さな花が沢山生えている等様々な物が見られた。
なんか全体的に渋い感じがするけどなんだか落ち着く空間だな、空気も澄んでるしごちゃごちゃしないでまとまった部屋だ。
「ようこそ、我が家へ立ち話もなんだし席に座って狩の前に段取りでも決めようか?」
ケイトが着座を勧めてきた。俺はそれに従い席に着くとケイトが話を進める。
「まぁ、これは提案なんだが、森のことはウメノにはわからんだろ?だから私が前に出るので着いてきてほしい。」
ケイトの提案に俺は頷き話は続けく。
「魔物については君に任せる、必要なら援護はするし周辺の警戒もしよう。ただしさっきのドーラの発言の通り獣については早い者勝ちだこちらも食料が足りないのでな。」
ケイトの発言が終わり俺は質問をする。
「そういえば俺の装備がないのだけれど、どこに置いてあるんだ?」
「装備か?ポーチについてはドーラが管理している。矢筒は預かっているが弓は知らんぞ。」
「あれ?片手剣は見てないですか?」
「見てないな、崖から落ちた時に何処かに引っかかったんじゃ無いか?」
ケイトがしらばっくれてる様子も無いのでおそらく本当なんだろう。剣がないと戦うのは厳しそうだがどうすべきか……
「武器の貸し出しとかしてもらえますかね……」
俺はおそるおそる聞いてみる、もし借りられなければ狩どころではない。
「あぁ、いいぞ?弓なら短弓と長弓があるがどちらを使う?」
「弓は苦手なので出来れば剣それも両手剣があると助かります。」
「そうか、わかった。」
なんとか借りることが出来そうで一安心。
「ケイト、私はやることがあるから先に帰るわ。」
「うん、後は頼んだ。」
どうやらドーラは尾行の為の準備をするようだ。
「じゃあ早速狩に必要な物を揃えに行きましょう。」
俺はケイトにそう提案するとケイトもそれに乗った。
「私は自分のものがあるから少し待っててくれ。」
ケイトは棚から長弓と矢筒を取り出しベルトと大きめのポーチそれに籠手を装備した。
「よし!行くか!」
ケイトは腰に手をやり笑みを浮かべた。
「それじゃ次は兄貴の家に行くぞ!」
ケイトはそう言うと家を出た。
「お兄さんがいらしたのですね。」
俺は少し以外に思いつつも後ろをついて行く。
「あぁ、私が家を出るまで大変だった…… 兄貴は私のことになると血相変えて動き回るからな、君も下手なことを言うと大変なことになるから気をつけろよー。」
ケイトは注意を促した。俺は面倒ごとは嫌いなのでこれに従うことにした。
シスコンなのだろうか?だったら面倒くさそうだなぁ…… 昔の知り合いで妹さんに挨拶しただけで色目を使うなと言われたことがあったが今回もそんな感じになってしまうのだろうか……
俺は不安に思いながら吊り橋を歩く。
「お兄さんの家に向かうのは何故ですか?狩に同行してもらうんですか?」
「いいや?私の家には私の武器しかないからな、兄貴の奴を借りに行くんだよ。最近は体調を崩してるし狩に行かないだろうからたぶん借りれるだろ。」
武器の貸し出しが意外とノープランだったことに驚きつつ、俺はこの先のことを考えて目眩がするような思いだった。
「ほら、着いたぞ。おーい!兄貴!あんたの可愛い妹が会いにきたぞ!」
家の前にたどり着きケイトは声を上げる。
「ケイトか!今行くからそこで待ってなさい。」
ケイトがドアの無い家の奥に向かって声をかけると直ぐに男性の声が返ってきた。中々のハスキーボイスでスッと入ってくるような声だった。
何やらドタバタとした音が鳴り続ける。音が収まったと思ったら家の中から男性が現れた。
「やぁ、ケイト待たせたね。今日も可愛いな!」
この男性がケイトのお兄さんのようだ。全体的に線が細い体系だが身長はやや高く175センチ前後はありそうだ。顔はエルフらしくイケメンだがケイトと違い金髪ではなく白髪で、目は赤く肌も透き通るように白い。
「兄貴……その鬱陶しい挨拶の仕方いい加減直してくれない?」
ケイトは面倒くさそうに言う。
「何を言うか妹よ!私の気持ちがわからないのかい?」
お兄さんは妹を溺愛していそうな発言が目立つ。知的な顔で眼鏡までしてる理知的な風貌なのにその言動が全てを台無しにしている。所詮残念なイケメンというやつか……
「あーはいはい、そういうの間に合っているんで……」
あしらう妹とあしらわれる兄、どこの兄妹も同じもんなんだな、俺は妹いないからどんなもんか知らんけど。
「それはそうと兄貴ちょっと頼みがあるんだけどいいかな?ちょっとこの人に武器を貸してほしいんだけどできれば剣と弓。」
「んん?君は誰だい?」
やっと俺に気づいてくれたようだ。ここで彼氏ですとか言ったら面白そうではあるが冗談では済まなさそうなのでグッと堪える。
「俺はウメノイツキと言います。この度はケイトさんに崖から落ちて倒れた所を助けてもらい助かりました。」
俺は簡単に説明を入れると今度はお兄さんが答えてくれた。
「これはご丁寧に。私はケイトの兄のシルクと言います。武器を貸して欲しいとのことですがどう言った理由からでしょうか?」
シルクさんか…… ケイトと話すとき以外は割とまともな人みたいだな。
「私は元いた村に戻りたいのですが、旅支度のための支払いができないので狩の成果でこれを補填することになりました。ですが、武器がないのでこちらで武器を借りるようにと伺いました。」
「成る程、ご説明ありがとうございます。ケイト!」
「な、なに?」
「なに?ではない。武器を貸すことは別に構わないが何故相談に来なかった!狩に行くというが自分の実力がわからない訳ではないだろう!」
おぉ、溺愛してるかと思ったが言うときは言うんだな。
「大丈夫だよ。ウメノはこう見えて魔鹿を倒す実力がある。それに私だってもう子供じゃないんだ、1人で危険かどうかなんてわかる。」
「だが万が一ということもあるだろう、せめてドーラかアウルあたりを連れて行け。」
アウル?他のエルフか?
「大丈夫だよ、兄貴は心配しすぎだよ。」
スッとシルクから目を逸らすケイト。冷や汗がダラダラと流れている。たぶん尾行のことを考えているんだろうな。そんなことを知る由もないシルクさんは断言する。
「話にならないな、狩に行きたいがために適当を言ってるようにしか思えない。」
うーん必要とあれば妹に厳しく接する姿勢、兄というより父親みたいな感じだな。
すると、おもむろに俺に近づくシルクさん。
「ウメノさん、貴方を疑うようで申し訳ないですが少し付き合ってもらいます。」
突然胸倉を掴まれて俺はたたらを踏んだ。
「えっ……」
俺があっけにとられているとグルリとシルクを軸に半回転させられバランスが崩れる。ボロボロの服とズボンのベルトを掴まれてシルクの頭の上に持ち上げられてそのまま柵の向こうへ投げ飛ばされた。
次回の更新は8/29を予定します。
仕事の繁忙です。サーセン
後書の後書
最近ストーリーの構成とかキャラ設定で悩んでいます。現状キャラの数が少ないと思うのは私だけですかね?




