初めての狩
俺は肉が食べたくなって聞いてみたが、異世界では肉はあまり食べないのだろうか?シシリーの家では出なかったし。
「お肉はあまり入れないですね、ここ最近は森の様子がおかしかったせいで獲物が少なくリッパーさんもあまり森の深くには入っていませんでしたし……」
なるほど、では森の異変を解決すれば肉が食べられるんだな。俺の次の目標が決まった。
それから俺は肉の無いスープと硬い黒パンをスープでふやかしながらシシリーとの食事を楽しんだ。日本にいた頃とは違い味の薄い食事に俺は食の大切さを学んだ。ぶっちゃけ肉が食いたい!塩とか胡椒とか欲しい!
そんな俺は住む所を確保したので次は食事を良くしたいと思う。
そんなわけで俺は今森にいる。
村では肉は希少品なので肉が欲しいなら当然狩って得るしか無い。
シシリーから聞いた話だと行商人がいるので買うこともできるが、たまにしか来ない行商人からわざわざ肉を買うのはもったいないというのが村の認識だ。
なので俺は肉を求め森に入った。この森では今のところゴブリンとグレーターウルフしか見てない訳だが、他にも猪や鹿がいるらしい。
俺は森での動き方や注意点を聞き狩に出かけた。なんでも森には草食動物は勿論それを狙った肉食動物や魔物もでる。
シルバーウルフという肉食動物やゴブリンには注意が必要ではあると聞いた。他にも魔物化した草食動物、又は魔物化した肉食動物など特に危険で出会ったら即座に逃げるように言われた。
ちなみにシルバーウルフが魔物化するとグレーターウルフになるらしい。魔物化する例は少ないらしいが魔物化が起こると強力な個体になるそうだ。
どれくらい強力かは既に味わっているので今更思い出すこともない。
俺は早速第三者視点と五感強化を利用して獲物を探す。第三者視点で見る視点は少し高く、自分の背中や周囲を広く見ることができる。
俺の背中にはおっさんの使っていた弓と矢筒、それと左の腰には片刃の片手剣腰にはポーチがある。
ポーチはそこまで大きくない。中には剥取りや採取用の短剣と竹の水筒が入っている。
初めての森だから浅いところで探す予定だが、自分の装備が大丈夫なのか不安になる。
悩んでいても仕方ないので早速周辺を探索することにした。森に入る前から思っていたことだが森の中は草木が茂っていて歩きにくい。
邪魔な葉や枝を短剣で切りながら進む。獣道とかテレビや漫画ではよく言うが、ズブの素人の俺にはサッパリ分からない。少しだけ草が左右に分かれ道が開けているところがあるがこれがそうなのだろうか……
そうこうしてるうちに水場が目についた。俺は姿勢を低くして草の陰に隠れた。第三者視点で周辺を探りつつ鼻を効かせる。
周辺からは草の匂い、それと獣の匂いが少しするがその姿は見られない。水辺には水鳥が優雅に浮かんでいるので俺は水鳥を狙うことにした。
俺は弓を構えてゆっくり矢をつがえる。集中を発動しゆっくりした時間の中で狙いをつけ射った。
パシュン
矢が放たれる音がして水鳥達は慌てて空へ飛び立った。放たれた矢は空を切り裂き次には水を貫いた。
「失敗か……まぁ、初めてだしこんなもんか……」
俺の初めての獲物は逃げてしまった。しょんぼりしたが気持ちを切り替えて場所を変えることにした。
俺は来た道を少し戻ることにした。理由は臭いだ。
俺が水場で矢を外した辺りから俺の元に向かって獣臭が風に乗って臭ってきたためだ。
俺はいつでも矢を打てるよう弓を持ったまま移動した。臭いが強くなってきたので俺は木の陰に隠れる。
第三者視点で周囲を探るとそこにはゴブリンがいた。前回の戦いが脳裏をよぎるが俺はそれを振り払う。ゴブリンは周囲を見渡し何かを探すような動きを見せながらその辺をふらつく。
俺は弓を構えてゆっくりと引き絞る。距離は約50メートルほどだ。俺は背中を向けていたゴブリンに矢を放つとゴブリンの右肩に当たった。
グガガ!
わずかに悲鳴をあげたゴブリンは俺の顔を見るや逃げ出した。俺は次の矢を放つが外してしまう。俺は弓を諦めて追うことにした。距離は開いてしまったがまだ間に合う。
俺はすぐさまゴブリンを追いかける。身長差のお陰で徐々に距離を詰めていく。俺は片手剣を抜き放ちゴブリンに迫る。
するといよいよ逃げ切れないと思ったのかゴブリンは突然こちらに身体を向ける。
グゴガガ!
俺はそのまま剣を振ろうと思った時、近くの草むらから別のゴブリンが襲いかかってきた。俺は突然のことに驚き剣を止めてしまう。
待ち伏せしていたゴブリンは持っていた棍棒を俺の右わき腹にむけ降ってきた。俺は集中力強化でそれを
防ごうとするがあちらの方が速いらしく食らってしまった。
俺は痛むわき腹を堪える。矢の刺さっていたゴブリンはその矢を引き抜き矢を突き刺そうと飛びかかってきた。
「奇襲でなきゃ喰らうわけないだろ!」
俺は矢の突きを避けて片手剣でゴブリンの首を切りつける。首と胴がお別れをし、残ったゴブリンもヤケクソ気味に襲いかかってきたので持っていた棍棒の手を斬りはらい次に頭に剣を刺した。
「ふぅ、こんなもんか。腹に一発もらったけどなんとかなったな。」
俺は前回の不覚から警戒したがなんとか戦闘は終わった。やはり、ゴブリンとは言っても侮れないな。
俺はシシリーに習いゴブリンの心臓を小刀で抉り倒す。
「なかなか魔石が出てこないな……それに実際に剥ぎ取ると臭いとか絵面がグロすぎる。」
俺は慣れない作業に辟易しながら魔石をなんとか取り出した。そういえば俺が寝てる間にグレーターウルフの魔石とか素材ってどうなったんだ?
俺は疑問に思いながら帰ったらシシリーに聞いてみることにした。
俺は2匹目のゴブリンの魔石を取り出してそれをポーチにしまい立ち上がって言った。
「ここは何処だ……」
俺は迷子になっていた。
俺は元来た道と思われる方へ向かって歩いていったが一向に自分の知っていそうな場所にはたどり着かなかった。
俺は焦りながら辺りを見渡すが特に何か見つかる訳でもなく……
いや何か足音がした。とても小さい音だったが何かいるらしい。俺は音の方へ静かに向かった。第三者視点で周囲を探ると何か大きな影が見つかったが本体は草木に阻まれ見えない。
俺はバレないようにコソコソと近づく。影を見るに体高2メートルはありそうだ。まさか……グレーターウルフか?
俺は嫌な汗が背中を伝う。グレーターウルフは滅多に出ないと聞いたが2匹目が無いとは言い切れない……
俺は慎重に移動してその姿を確認しに向かう。そして、俺は大きな影の正体を見破った。
試験詰みました_| ̄|○




