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襲撃

 俺は身体を拭き終え改めて今の現状を考える。


「今の俺に何が出来る?俺に必要なものは?この村を助ける理由は?どうするべきだ? …… 」


 頭の中に様々な疑問が浮かんでは消えていった。


 俺はベットから起き上がり木で出来た窓を開け真っ暗だった部屋に朝の光を入れる。天気も良く風が心地よい。俺は背を伸ばして一息ついた後、窓を閉めて部屋を出た。部屋を出るとそのままリビングに繋がっており朝食の準備をしているシシリーと桶を持って外に向かおうとしているセシリーの姿があった。


「2人ともおはよう。」


 俺が声をかけると2人がこちらを向いた。


「「おはようございます。」」


 2人が挨拶を返してきた。セシリーは少し声が小さいがまだ緊張してるのだろう。2人ともあれから特に変わった様子も無いので元気みたいだ。


「これから朝ごはんか、そういえばお腹がペコペコだ。」


 俺は自分のお腹をさすっていると、思い出したようにお腹が鳴り出した。


「昨日は何も出せなくてすいませんでした。これから朝食を出しますのでセシリーと一緒に洗面に行ってきてください。」


「わかった、場所が分からないからセシリーについて行くことにするよ。」


「いってらっしゃい。」


 シシリーが笑顔で言い、見送ってくれた。


 俺はセシリーと一緒に外に向かった。セシリーは相変わらず難しい顔をしている。不安をほぐすためこちらから声をかける。


「セシリー、昨日は色々あったけど眠れたかな?」


 俺は無難なことから聞いてみる。


「うん、昨日は助けてくれてありがとう。お姉ちゃんから色々聞いたんだけど、お姉ちゃんも助けてくれたんでしょ?」


 昨日は、シシリーと話せたのか。気絶してたりショックを受けてそうだからてっきり話せてないと思ったんだが。


「あぁ、グレーターウルフっていう魔物とゴブリンに襲われてね、驚くことが多かったよ。でも、無事に切り抜けられて良かった。」


 昨日の激戦を思い出し改めて無謀だったと思う。


「私は起きた後村まで走ったけど、その後また気を失っちゃったからほとんど昨日のことは覚えてないんだよね。」


 セシリーは少し悲しげに言葉のトーンを下げる。俯きながら手を固く握ってる。悔しさもあるようだ。


 少し歩くと井戸に着きそこで水を汲むようだ。桶に縄がつけられており、セシリーはそれを井戸の下に投げ下ろす。少し重そうにしているので桶を代わりに引き上げる。


「やっぱり重いな。これを毎日かぁ…… 」


 俺の発言にセシリーは首を傾け不思議そうな顔をしていた。まぁ日本で暮らしていた俺には新鮮な作業ではあるが、同時に面倒な作業でもある。セシリー達はこれが日課なのだろう。まだ、転移して2日目なのに日本の生活がいかに豊か認識した。


「ウメノさんはこの村に住むの?」


 セシリーが桶の水を使って顔を洗い顔を拭く。俺はその光景を見ながら返答する。


「いや、住まないよ。今は冒険者になって旅をしようと思ってるからね。」


 俺はそう答え顔を洗う。井戸の水の冷たさがよくわかる。俺は旅をしてこの世界を見てみたいと思った。


「そっか、じゃあ旅が終わったらこの村に住んでよ。きっと、お姉ちゃんも喜ぶだろうから。」


 セシリーが前半の部分だけ普通に話したが、後半は静かに言った。まるで自分に言い聞かせるように。


「顔は洗えたよね?それじゃ戻ろうよ」


 セシリーは桶を持って立ち上がり残りの水を捨てた後笑って家に走って行った。俺は何も言わずゆっくりシシリーの家へ歩き出した。





「ただいま、シシリー戻ったよ。」


「お帰りなさい。今セシリーが走って戻ってきたけど何かありました?」


「いや、特に変わったことは無かったよ。」


「そうですか…… 」


 シシリーは少し目蓋を閉じて、顔を上げた。


「準備ができましたのでこちらへどうぞ。」


シシリーが席まで案内してくれた先にセシリーが俺の向かいに座っていた。


「あら、セシリーにしては積極的な対応ね。」


 妹が既に座っていることにシシリーは少しご立腹のようだ。そう言ってシシリーは俺の横に座ってきた。こう言う場合セシリーの横に座るのが普通なのでは?


「と、とりあえず食事をしよう!いただきます。」


「「いただきます。」」


 なんとか食事をスタートさせることに成功し、俺はテーブルの食事に目を向ける。異世界初の食事は黒パンと目玉焼きのようだ。正直空腹の体にはこれでは足らないが我慢するしかないだろう。


 シシリーとセシリーが黒パンをちぎり口に入れる。俺も習って黒パンをちぎり食べる。か、かたい…… 

昔テレビで固いパンをスープに浸して柔らかくしてから食べる描写があったけどあれって本当だったのだと実感した。そんな黒パンを苦もなく食べ続ける2人、きっと顎が丈夫に違いない。


「どうかされました?」


 シシリーが、そう尋ねてきたがなんと答えればいい良いものか。


「ちょっと食べ慣れないものだから、苦戦しててね…… 」


 そう告げるとシシリーはしまった、と言う顔をして慌て始めた。疑問に思う俺を尻目にシシリーは台所に向かいスープを持ってきた。ドジっ娘かな?


「スープが冷めないようにしたまま別の作業をしてたら出すのを忘れてました。ごめんなさい…… 」


 そう言って謝るシシリー。可愛いので許す。セシリーはというと姉に代わりスープを入れて配っていた。ちょっとドジっ娘な姉にしっかり者の妹か悪くない。


 そんなことを考えながら食事に戻り村の様子などを話しているとドアを叩く音が飛び込んだ。


「兄ちゃん居るか!?」


 おっさんがでかい声で尋ねてきた。シシリーがおっさんを中に入れる。


「どうかされましたリッパーさん?」


 シシリーが尋ねるとおっさんは眉を下げて言った。


「グレーターウルフが村を襲ってる!」

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