深夜の戸惑い
「俺は星の波よりも綺麗なシシリーを見ていたいな。」
ふざけて俺は臭い台詞を言ってみた。シシリーは顔を真っ赤にしている。効果は抜群だ!!
「ふざけないでください!ほら着きましたよ!」
顔を真っ赤にしたシシリーも可愛いなぁと思いつつお邪魔することにした。
シシリーの家に着き早速お邪魔した。シシリーの家は他所の家と同じで木造建築であり、おそらくこの村では木造建築が主流のようだ。村長の家は大きい外観であったが村民の家は大体家族が住める程度の大きさらしい。
家に入るとセシリーが出迎えてくれた。セシリーは改めて見ると小さい子で小学校高学年位の身長だ。髪は姉妹揃ってブランドでショートだ。目はエメラルドグリーンで顔は整っている。ご両親が亡くなって姉妹2人で住んでるらしい。
「こんばんわは、夜分遅くにお邪魔するよ。」
俺はセシリーに挨拶し反応を伺う。
「こ、こんばんは。今日は助けてくれてありがとう。今日は遅いですの泊まっていってください。」
セシリーが緊張しながら答えた。村では来訪者が少ないらしいから人見知りしてるのかな? まぁ、夜遅くに野郎が1人来訪したら怖いか。
「どうぞ、入ってください。あまり、おもてなしできませんが…… 」
シシリーはそう言って中を案内してくれた。
なんだろうスキルの影響だろうか家の匂いが強く感じる。村長の家でもそうだったがその家の匂いでなんとなく生活感が分かる。草や花の匂いと、それとは違った甘い匂いがする。
「今日はお疲れでしょうからこちらの部屋を使って下さい。それではタオルをお持ちします。」
シシリーは部屋を出ていき俺は1人今日を振り返る。
今日は何だかんだ色々あったなぁ…突然車に轢かれたと思ったら神様と会って、あれよあれよと異世界に。しかもゴブリンといきなり戦って姉妹と出会い村までの間護衛とは……
深いため息をつきながらベットに腰掛ける。
しかし異世界転移か、考えたらなんかワクワクしてきた。戦闘能力も手に入ったしこれから俺Tueeeできるかも?そんでもって可愛い女の子とキャッキャウフフするんだ!
ノックの音がした。
「入りますがよろしいでしょうか?」
シシリーの質問を受け許可を出す。
「どうぞ!」
ごそごそと音をたてながら入ってきた。
「失礼します。」
「どうしたの?何かあった?」
白々しく質問する俺、期待に胸が膨らむ。
「あの、身体を拭けるようタオルを用意しました。」
まだ中学生位の少女が色々気を使ってくれるのに感心を覚えた。このまま「彼女がお背中お拭きします。」という流れだろうか?
「わざわざありがとう。今日は色々大変だったけど怪我は大丈夫?」
「はい、大したことありません。それより妹に怪我が無くて良かったです。」
彼女はニッコリと微笑み嬉しそうだ。
「そうか、大したことないなら良かったよ。」
そういえばセシリーは何をしてるのだろうか? 夜も遅いしもう寝たかな。
「それと明日のことだけどさ、魔物の討伐とかになっていくのかな…… 」
俺は村長の家での会話で今後の予定がほぼ討伐に向かうであろうことに若干の不安を感じている。しかし、このままでは村に危険が迫るのは確実だ。特にあの時討伐出来なかったグレーターウルフの存在がそれを助長している。
「おそらくそうなると思います。現状ではグレーターウルフやゴブリンを倒すことが出来そうなのがイツキさんだけなので…… 」
シシリーは申し訳なさそうに言うと、桶とタオルを机の上に置く。少し思案したような素振りを見せて顔をこちらに向けた。
「イツキさん、勝手なお願いだとは理解しています。しかし、このままでは村は立ち行かなくなってしまいます。だから、どうか…… どうか村を救っては頂けないでしょうか…… 」
シシリーが決意したような目でこちらを見ている。正直助けてあげたいが果たして俺にはその力があるのだろうか?
「俺に出来るかわからない…… ただやれるとこまでやってみるよ。」
俺は短くそう告げるとシシリーは何も言わず頷いた。
その後、シシリーはタオルを持ち出した。
「あの、身体をお拭きます。私にはこれくらいしか出来ませんから。」
俺はシシリーの顔を見たが恥ずかしそうに顔を俯かせながらタオルを両手で持ち胸の前に持ってきている。
「ああ、それじゃ頼もうかな?」
俺は突然の申し出に面くらったが素直に応じた。
「あ、あの、背中を出してください。」
シシリーに言われた通りに俺は背中を出した。シシリーは桶の水にタオルを浸し、絞った濡れタオルで背中を拭いてくれた。思いのほか人に背中を拭いてもらうのは気持ちの良いものだ。
「後はご自分でお願いします。その、今日はありがとうございました。明日もよろしくお願いします。」
シシリーはお礼を言ってパタパタと部屋を出て言ってしまった。
俺は身体を拭き終え改めて今の現状を考える。
「今の俺に何が出来る?俺に必要なものは?この村を助ける理由は?どうするべきだ? …… 」
頭の中に様々な疑問が浮かんでは消えていった。




