表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔術師と法術師  作者: 柏木 冬霧
第2章 任務開始
23/90

桁違いの実力

天気が悪くて、気圧がさがっている? のか、体と頭が重怠い感じが続いております。

やる気が出ない~

そう思いながら、キーボードをパチパチやっております(笑)

 東京都西多摩郡奥多摩町・奥多摩研修センター・C棟訓練所

 7月6日 日曜日 午後1時25分


 沙希の実力確認が終わった所で、時間を確認すると12時を少し過ぎていたため、一同は昼休憩を取る事にし、中央棟の食堂にて食事を済ませると、訓練場へ戻って来た。

 紫苑は、休憩の間に自宅へ電話を掛け、沙希の事情や月ヶ瀬家の人達が訪ねてくる事を説明すると、しばらく話し込んだ後、電話を切って戻って来た。

 げんなりした顔をする紫苑を見て、百合子が、


「どうしたの? 紫苑くん。やっぱりダメだったの?」


 そう尋ねると、紫苑は横に首を振りながら、


「いえ。その逆で……。


『夕飯を用意して楽しみに待ってるから、必ず連れて来るように』


 と、すごい勢いで言われました」


 溜息を付くようにそう言った紫苑を見て、沙希達は笑い合うのだった。

 しばらくして、沙希達の笑いが収まったころ、耕一が、


「遅くなってしまうと、紫苑くんのお宅にご迷惑をかけてしまうから、そろそろ道具の調子を見てもらえるかな?」


 そう紫苑を促すと、紫苑は頷きながら、


「わかりました。じゃあ、そろそろ始めますね。悪いんだけど、百合子さんと沙希も見学室で見ててくれないかな?」


 2人にそう頼むと、百合子が、


「わかったわ。沙希、行きましょう」


 そう言うと、沙希を連れて見学室に入って行った。


 それを確認した紫苑は、沙希の時に使ったデコイを、マジックストレージ(魔法の物置)から大量に出すと、呼吸を整えてから、


フライト(飛翔)


 と、飛翔魔法でデコイを飛ばす。数は、沙希の時の10倍くらいあり、全てが高速で飛び回り始める。紫苑は、見学室の3人に向かって頷くと、


ライトバレット(光の弾丸)


 そう呟くと、一瞬で紫苑の周りにビー玉くらいの光る玉が20個ほど現れる。それを観ながら百合子は、


「沙希、よく見ておきなさい。Sランクの実力がどのくらい凄いか」


 沙希は、百合子の言葉に頷くと、食い入るように紫苑を見つめる。次の瞬間、


 〈ふっ〉


 紫苑の姿が一瞬にして消えると、訓練所の中央、5メートルくらいの所へ姿を現す。それと同時に、光の玉が5・6発、前後左右に飛んで行くとそれぞれが的確にデコイを撃ち落とした。


カッティング・ゲイル(切断する突風)

フリージング(氷結す)ニードルズ(る針群)


 切り刻む不可視の風が、凍てつく無数の針が、紡がれた力ある言葉によって発現すると、パタパタとデコイを撃ち落としていく。

 その間にも、紫苑自身は、消えては現れ、また消えては現れるを繰り返し、訓練場のあちらこちらを瞬間移動しながら光の玉を飛ばしている。


「あの移動魔法は、ジャンプ(簡易瞬間移動)よ。移動系中級魔法になるんだけど、無詠唱・発動キー無しで連続使用出来るのは、Aランクの守護者ガーディアンでも、数少ない人だけだと思うわ」


 真剣な眼差しを向ける沙希に、百合子がそう解説する。


クリムゾン(深紅の)グレネード(爆風)

ストーン・エストレア(石の流星)


 続けて、右奥に現れた時には赤い爆風が起こり、左中央に現れた時には高速の石礫いしつぶてが降り注ぐ。


 やがて、3分の2ほどのデコイが床に落ちると、紫苑は入り口そばまで戻って来た。そして、よく響く声で、


ヴォルテックス(渦巻く)ライザー(雷撃)


 そう言い放った。訓練場の中央付近に竜巻のように渦を巻く雷が現れると、それは縦横無尽に動き回り、気が付けば、空中には一つのデコイも残っていなかった。


 魔法の発現が治まると、いつの間にか紫苑の前に集まっていたデコイマジックストレージ(魔法の物置)に回収し終わると、紫苑が自販機の所まで戻って来た。沙希達が、見学室から出て来ると、


「耕一さん、これ、すげーっすよ! 今まで、発動の微妙なタイムラグに悩まされてたんですけど、それがちっともないんですよ。なんだか、呼吸するのと同じくらいの当たり前な感じで、魔法が撃てるんです」


 目を輝かせながら、ミスリルリングを見つめる紫苑を見て、耕一は、


(まるで、新しいおもちゃを買って貰った、子供みたいだな)


 そう思いながら、笑みを浮かべると、


「気に入って貰えたみたいで良かったよ。それにしても、あれだけの魔法を発動させて、疲れた様子が無いのは驚きだね。最初のライトバレット(光の弾丸)以外は、みんな中級魔法だし、最後の魔法は上級だろう? 今ので、君の持っている魔力の何%くらい消費したんだい?」


 紫苑に尋ねると、


「今の魔法での消費量ですか? そうですね……。たぶん、全部で5%くらいじゃないですか。そんなに、消費の激しい魔法は使ってないですから」


 当たり前のように言った紫苑に、百合子は唖然とした顔をしながら、


「あれだけの魔法を使っておいて、5%って……。最後に使った上級魔法と、同レベルの魔法を私が使ったら、それだけで15%くらいは消費するわよ。Sランクは、桁違いって聞いてたけど、これほどとは思わなかったわ」


 その言葉に、驚いた沙希は、


「紫苑。魔力って、訓練とかで増えるの?」


 そう尋ねると、紫苑は考えながら、


「う~ん。二十歳はたちくらいまでは、最大魔力が増えるって聴いた事があるけど、俺も詳しくは解らないな……。ただ、俺の経験上、その時使える魔法より上位の魔法を使ってると、魔力が増える感覚があった事が何回かあったかな。劇的に増える感じじゃなくて、少し増えたかなぁくらいだけどな」


 それを聴いた沙希は、頷きながら


「そうなんだ。全然、増えないってわけじゃないんだね」


 納得顔の沙希に、今度は紫苑が、


「ところで、俺が使ったライトバレット(光の弾丸)見てたか? あれは、沙希が使ってた光矢烈翔弾こうしれっしょうだんとほぼ同じ初級魔法なんだ。魔法制御の手本として見せたつもりだったんだけど、どうだった?」


 沙希に尋ね返すと、


「うん。魔法を制御する事によって、いろんなパターンの攻撃とか、動き方が出来るんだってよく解ったよ。私も、早く紫苑みたいに魔法が使えるようになりたいな……」


 沙希は、少し不安そうに訓練所の方を見ながら最後の方は、呟くような声で答えた。


「大丈夫よ。そのために、紫苑くんのお宅で特訓するんでしょ? 暇な時間があれば、私もお邪魔してビシビシ鍛えてあげるから、大船に乗ったつもりで、ドーンと構えてなさい。ねっ、紫苑くん」

「ええ、出来るようになるまで、厳しく特訓するつもりですから。沙希ぃ~、覚悟しておけよぉ~」


 百合子と紫苑は、沙希にそう言いながら、ニヤリと薄ら笑いをする。

 耕一は、そんな2人の姿を見て、


「……くわばら、くわばら……」


 と、拝みながら後退あとずさりし、沙希は、恐怖に顔を引きつらせ、


「……お手柔らかに、お願いします……」


 涙目になりながら、そう答える。

 大げさなほどおびえている沙希をみた2人は、肩を震わせながら笑い合うのだった。



 7月6日 午後3時10分


 一通りの予定を終えた沙希と紫苑は、軽くシャワーを浴び、着替えると、百合子の、


「甘い物でも食べて帰りましょうか」


 と言う一言で、中央棟の食堂までやって来た。

 研修センターに、甘い物なんてないんじゃないかと思っていた沙希だったが、先ほど昼食で利用した食堂とは別に、軽食を出す喫茶店のような所があり、百合子は、そこでお茶してから帰ろうということだったらしい。


 席について、それぞれ注文をすると、耕一が、


「紫苑くん、ご両親には、何時ごろ着く予定だと話してあるんだい?」

「大体、夕方6時くらいになると、話してあります。」


 紫苑がそう答えると、


「じゃあ、余裕で間に合うな」


 腕時計を見ながら、時間を計算した耕一がそう言うと、注文したものが運ばれてきた。

 沙希以外の3人が注文したのは、コーヒーとケーキのセット。それに対して沙希が注文したのは、


「ジャンボマンゴーパフェのお客様」

「はい!」


 店員の言葉に、待ってましたとばかりに、返事をした沙希の前に、巨大なパフェが置かれる。通常の3倍はあろうかという大きさのパフェを、スプーン片手に、にこにこ顔で頬張り始める。

 それを、横目で見ながら紫苑は、


「沙希、それ腹壊さないか?」


 と尋ねると、沙希は、


らいしょうぶ(大丈夫)らいしょうぶ(大丈夫)


 と、パフェを食べながら答える。


(こいつの、胃の丈夫さは、他の人と比べて桁違いかもしれないな)


 紫苑は、引きつった笑いを浮かべながら、パフェを夢中で食べる沙希を見ていた。


 お茶が済むと、程なく4人は車上の人となり帰路につき始めた。

 疲れと、朝早かった事がそうさせたのか、後部座席に座る紫苑と沙希は、車が走り出すと間もなく、お互いの頭を支え合うように寄り添いながら眠り始めた。

 百合子は、振り返りながら、


「こうやって見ると兄弟か、仲の良い恋人同士にしか見えないわね」

「そうだな、この姿を見て、執行者エクスキューショナーだの守護者ガーディアンだなんて思う人はいないだろうな」


 運転手の耕一は、チラッとバックミラーを見ながら、穏やかな笑みを浮かべてそう答える。


 ほのぼのとした空気の中、車は一路、月ヶ瀬家に向かって走って行くのだった。


軽く、紫苑の魔法を出してみました。

魔法の名称ですが、カタカナに漢字のルビが良いか、漢字にカタカナのルビが良いか

迷った挙句、カタカナに漢字にしてみましたが、どうでしょうか?

よろしかったら、ご意見下さい。

よろしくお願い致しますm(__)m

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ