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魔術師と法術師  作者: 柏木 冬霧
第1章 出会い
12/90

久世紫苑という人物

お久しぶりです。

更新しました。

暑い!。ただただ暑いです。

 東京都千代田区神田神保町・魂の守護者たちソウルガーディアンズ・神田支所・支所長室

 7月1日 午後5時25分


 支所長室に入って来たソプラノボイスの女性、戸川弥生とがわやよいは、沙希が4月に入所した時から昨日まで、沙希の研修担当として任務に対する知識や、対応などを教えてくれた人物である。

 弥生は、守護者ガーディアン・Cランクで職種は沙希と同じ法術師ロー・ソーサリーだ。ちなみに、協会の規定や、知識等を教えてくれたのは、先ほどアンティークショップにいた、小夜子である。


 協会の守護者ガーディアンは、個人の特殊能力によって職種が分かれている。

 沙希が知っている職種は、


 魔術師ウィザード・・・ヨーロッパ圏で使い手が多く、魔力を用いて魔法を使う術者で攻撃系に特化した者。


 法術師ロー・ソーサリー・・・アジア圏で使い手が多く、魔力を用いて法術を使う術者で攻撃系に特化した者。


 精霊術師シャーマン・・・自然界の精霊力を用いて、精霊魔法を使う術者で攻撃系に特化した者。


 治癒師ヒーラー・・・魔力・法術力・精霊力のいずれかを用いて、治癒魔法を使う術者。


 付与師エンチャンター・・・魔力・法術力・精霊力のいずれかを用いて、付与魔法を使う術者。


 守護師ガードナー・・・魔力・法術力・精霊力のいずれかを用いて、守護魔法・結界魔法を使う術者。


 と、大体は把握している。職種は、協会に入った時に行われる、適正検査によって決定している。


 弥生は、添島の隣に座ると、


「沙希ちゃん、お疲れ様。いよいよ初任務ね。これが、任務の内容よ」


 と、持って来たファイルを先に手渡した。


「ありがとうございます」


 沙希は、ファイルを受け取り、中を確認しようと開きかけた時だった。


≪コン、コン≫


「支所長、早乙女です。よろしいですか」


 唐突なノック音と共に、許可を求める声が聞こえてきた。添島が、沙希に目で許可を求めてきたため、沙希は軽く頷く。それを見た添島は、沙希に笑いかけると、


「どうぞ」


 と、ドアの外にいる早乙女に入室を許可した。

≪ガチャッ≫という音と共にドアが開くと、人の入ってくる気配が沙希の背中に伝わった。


「申し訳ございません。お打合せ中でしたか?」

「いや、これから打ち合わせなんだが、ちょうどよかった。早乙女さん、ちょっとこっちへ」


 添島が、沙希の後ろに立つ人に手招きすると、呼ばれた人は添島の方へ歩み寄って行った。添島の座るソファーの横に立ったその人は、スタイルの良いグラマーな女性で、沙希よりも10㎝くらい背が高く、長い茶色の髪をサイドテールに縛り、メガネを掛けた美人だった。沙希がソファーから立ち上がると、同じく立ち上がった添島が、


「月ヶ瀬さんは、早乙女さんに会うの初めてだよね。彼女は、神田支所うちの支所次長で早乙女翔子さおとめしょうこさん。早乙女さん、彼女が前に電話で話した新人の、月ヶ瀬沙希さん」


 それぞれを紹介すると、翔子が、


「初めまして、次長の早乙女翔子です。堅苦しいのは好きじゃないから、私の事は名前で呼んでくれて構わないわ。私も沙希ちゃんって呼ぶから、よろしくね」


 にっこりとほほ笑んだ翔子が、差し出してきた手を沙希は、


「月ヶ瀬沙希です。こちらこそ、よろしくお願いします。翔子さんで良いですか?」


 握手をしながら沙希が確認すると翔子は、嬉しそうに小さく2・3回頷いた。その光景を見ていた添島が、


「早乙女さんは、治癒師ヒーラーとして優秀な人だから、月ヶ瀬さんも何かとお世話になる機会が多いと思うよ。まあ、何はともあれ、お互い仲良くやってね」


 そう言いながら席に座ると、改めて沙希に席を進め、翔子に、


「それで、早乙女さんの用件は何かな?」


 と、来室の理由を尋ねると、


「懐かしい人と待ち合わせをしておりましたら、相手が支所長に会いたいと申しまして。支所長にとっても久しぶりかと思いましたので、連れてきたのですが……」


 翔子はそう言い終わると、ドアの所へ戻り、


「ほら、いつまでもへこんでないで、いい加減入りなさいよ」


 誰かを引っ張りながら、部屋へ戻ってくる。翔子が引っ張ってきた人を見た添島は、驚いたように立ち上がると、


「紫苑、紫苑じゃないか! いやぁ、久しぶりだなぁ。何年ぶりだ? ずいぶん大人っぽくなって」

「……えっ!……」


 少し興奮気味にそう言った添島の言葉に、沙希は驚きの声と共に後ろを振り返る。そこには、さっき上のショップで別れたはずの紫苑が、少し落ち込んだ様子で立っていた。

 添島と沙希の2人を見た紫苑は、


和兄かずにぃ久しぶり、元気してた? あっ、月ヶ瀬さんもさっきぶり」


 添島の顔を見て少し元気になったのか、弱弱しい笑顔を見せる。沙希は、驚き過ぎて唖然とし固まってしまっている。そんな沙希の姿に、


「月ヶ瀬さん、驚き過ぎじゃない? っていうか、大丈夫?」

「だっ、だって、なんで久世くんがここにいるの? どうやって、入って来たの!?」

「なんでここにいるかって、待ち合わせしてる人がいるって言っただろ。どうやって、って入所チェックして入ってきたに決まってる。それに、ここに来る時に目的地が一緒だって言っただろ!」


 沙希と紫苑は、周りの人達をすっかり忘れて話し込んでいる。2人の話を聴いていた添島は、翔子に、


「月ヶ瀬さんと紫苑は、知り合いなのか?」

「いえ、紫苑からは何も聴いていませんが……」


 翔子もなにも知らないのか、困惑顔で添島に答える。それを聴いた添島は、沙希と紫苑の2人に


「2人は知り合いなのか?」


 そう尋ねると、2人は同時に


「高校のクラスメイトなんですだよ


 揃ってそう答えながら、添島の方を見た。2人の勢いに後退りしながら添島は、


「と、とりあえず自己紹介したらどうかな? 勿論、協会の方のね」


 2人に提案すると、沙希と紫苑はお互いの顔を見合いながら頷きあうと、


「神田支所所属、守護者ガーディアンDランク、法術師、月ヶ瀬沙希です」

「世界本部所属、フリーライセンス持ちホルダー執行者エクスキューショナー、Sランク、永久の魔術師エターナルウィザード、久世紫音」


 そう、お互いの口頭申告をすると、紫苑は笑みを、沙希は驚愕の表情を浮かべた。添島は、満足そうな顔をすると、


「これで、お互いの事がはっきりしたね。まあ、紫苑は月ヶ瀬さんが、協会の人間だって知ってたみたいだけどね。さあ、月ヶ瀬さん、任務の話を……」


 そう言った添島の言葉をさえぎり、沙希が添島に、


「ちょっと待って下さい。支所長と次長は、久世くんとどういう関係なんですか?。それに、久世くんの言ってたフリーライセンスとか、執行者エクスキューショナーとか、解らない事ばかりで……」


 疑問に思っている事が多くて理解に苦しむ沙希の言葉に、添島は、


「紫苑は、私と早乙女さん、それともう一人、守護師ガードナーをしていた人の4人でチームを組んでいたことがあったんだ。それで、彼が私たちを訪ねて来てくれたという訳だよ。ライセンスと執行者エクスキューショナーに関しては、戸川さん説明してあげてくれるかな?」


 紫苑との関係を簡単に説明すると、添島は後の質問の説明を弥生に託すと、


「話が長くなりそうだから、早乙女さんも紫苑も座るといい。紫苑、紅茶でいいよな?」


 キッチンの方へ向かいつつ、紫苑に確認すると、


「うん。和兄かずにぃの紅茶久しぶり」


 紫苑は、添島の後姿にそう言うと、翔子と共に勧められたソファーに座る。それにつられて沙希も自分の席に腰を下ろした。

 やがて、添島が紅茶を持って戻ってくると、それを待っていた弥生は、向かいに座る沙希を真剣な表情で見つめ、


「じゃあ、説明するわね。まず、フリーライセンスだけど、これを持っている人は、自分の所属している本部・支部・支所以外の任務や、依頼を好きなように情報の閲覧えつらん・受諾する事が出来るの。基本、余所よその任務・依頼に関しては、その案件を抱えている所からの要請が無いと関わる事が出来ないのは、知ってるわよね?」

「はい。管轄外の任務に関しては、管轄をまたがる様な案件になるか、応援要請が無いと、情報が開示されないんですよね」


 弥生の問いかけに、沙希は頷きながら答えると弥生は続けて、


「そう。特例として広範囲に同じ現象が起こったりすると、案件自体が支部預かりになって、情報が開示されるんだけど、それは前に教えたとおり。フリーライセンスは、その制限を無視する事が出来るのね。それから、通常、所属以外の支部・支所の施設や事務所には、来客ゲスト扱いでしか入る事が出来なくて、設備の使用も制限が多いんだけど、その制限も無い。本当に、読んで字の如くな許可書ってわけね」

「なるほど。解りました。それで、執行者エクスキューショナーっていうのは部門ですよね? その部門ってどんな部門なんですか?」


 弥生から追加の説明を受けた沙希は、それに関して理解した旨を伝えると、もう1つの疑問について問い合わせる。

 弥生が、紅茶で喉を潤し次に口を開くまでの間、沙希は、紫苑の方を見る。紫苑は、何事も無いかのように添島が入れてくれた紅茶を美味しそうに飲んでいる。


 弥生の説明は、さらに続いて行く。


説明の項目が多くなってしまい、長くなりそうなので

話を2回に分けることにしました。

暑いですが、頑張って更新します。


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