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我輩はゴアである  作者: 雲黒斎草菜
第一巻・我輩がゴアである
31/100

28 フンコロガシ暴れる

  

  

 アキラは三輪車を押し続けていた。

「うんしょ」

 ドシン。


「うんしょ」

 ドシン。


 兵士たちの目には恐竜のような昆虫が我がもの顔で船内を闊歩する光景にしか見えていない。しかし怖気づく者は一人もいなかった。


「そうだ!」

 リリーの瞳の色が濃くなる。

「キャロライン。武器庫にある催涙弾を持って来い。相手が生物なら効き目があるやも知れぬ」

 深海の奥を映したような蒼深い瞳、そして青いツインテールを背中でなびかせる少女へ耳打ちをした。


 これはやばいかもしれない。そんなモノを撃ち込まれたらアキラにはきついはずだ。

『キヨ子どの。催涙弾を撃ち込まれようとしておるぞ』

『やばおまっせ。右に曲がったら、アキラはんが敵に尻を向けることになりまっせ。なんぼカモフラージュの映像で見えへんゆうても、盾になるもんがおまへんがな』

 ギアの言うとおりである。右折するとカメムシは敵に尻を向けることになる。そうなると三輪車を後ろから押すアキラが娘子軍とのあいだに挟まることになる。


 リリーはさらに次の手を打った。

「それから二班に連絡。我々が誘い込んでいるあいだ、二班と三班は居住区3-Bの十字路を左右から挟み撃ちにするんだ」

 青い前髪を指で掻き分けながら首に落としていたヘッドセットを耳に当てると、キャロラインは小さな口の前にマイクをセットして、リリーの命令を先方へ伝えた。声は聞こえないがその唇の動きが愛らしい。


「主任。準備オッケィです」

 返事が戻ったのであろう。リリーに向けて嫣然とした。


「よし。ゆっくりさがるぞ!」


 こちらもさっきまでの余裕が薄れ始め、突然マイボの色っぽい声がした。

《あぁーん。だめぇぇ》

『なんちゅう声出しまんねん。勘違いしそうやワ』

《ちょっと止まって、アキラさん》

「どうしたの?」

 マイボの指示で、とりあえず止まる。


《連中、十字路で挟み撃ちにするつもりだわ》

『人数は?』

 向こうの会話がスマホから筒抜けであった。アキラも気になるのだろう聞き耳を立てていた。


「可愛い子がたくさんのほうが僕は嬉しいな」

 お前は何を気にしておるんだ?


『せや。娘子軍は可愛い子しかいてまへんで』

「へぇ、やっぱりギアはキャザーンに詳しいんだね」

『そらもう。娘子軍のブロマイドをコンプリートしたんはたぶんワテが最初やろな』

『我輩も集めようとしたが、そう簡単に揃うもんではなかったぞ』


「すごいね、ギアって……」


 地球防衛軍がヲタの集会みたいになっておるが。アキラが羨望の目でスマホ見つめるのは仕方がない。この惑星は宇宙の果てにある僻地の星だからそんな情報は入ってこないのだ。


「ねぇ、もっと詳しく教えてよ。ゴアが知ってることは無いの?」


 そうせびられるとウンチクを披露したくなるのは誰しも同じで。

『キャザーンのポリシーは、知力、戦力、魅力なのだ。その中で知力を担当しているが、三人の賢者と呼ばれる謎の人物らしい』

 ギアと張り合う気は無いが少々熱くなった。

『あいつらの戦闘能力は言うまでもないが、三人の賢者はかなりの切れ者ぞろいだそうだ。それに加えてあの美貌だろ。だから高額の報酬を請求されても誰も文句を言わんわけだな』


「へぇ。キャザーンてすごいなー」


 ギアも興奮して唾を飛ばす。

『せやがな。中でも女の武器を(あつか)わせたらこの銀河一かも知れへん。連中の蠱惑的な魔力に打ち勝つ男はおらへんのが実情やからな。クララはそれに目覚めてな、最近ではアイドルも育ててるらしいで』


「やり手なんだねー。ますます引き込まれちゃうな」

『アキラにクララの魅力が解かるのか?』


「そりゃぁ、わかるさー」

『17才にして悟っておるな、アキラは……』


「学校の勉強はぜんぜんだけど……女性の魅力は別さ。あの人はエロティックな中にシャルムを感じさせるんだよね。日本語で言ったら大人の空気を引き摺った萌えかな」


『お……お前は何者なんだ。あのアキラは仮の姿なのか?』

「なんのこと? 僕はボクだよ」


『なんか怖いぞ、お前』

 怖気つく我輩にギアは頭を振る。


『ええねん。男は何か一つでも飛びぬけたもんを持っとったら武器になる』

『いや。と言っても……こいつの場合、スケベ一筋だぞ……』


 我輩は大きく得心の息を吐いた。

『そうか。北野源次郎博士の孫であったな。納得だな』



 目の前に展開した懸案事項などすっかり雲の上。誰もいなくなった教室で気の合う者どうしが集まって、下世話な会話を小声でするような弛みきったこちらの雰囲気とは、まったく次元の異なる会話がスマホから流れてきた。


《NAOMIさん。船内の重力を作り出しているコンジットを操作することは可能ですか?》

《できないことはないけど、船体バランスが狂ってシャーシの崩壊を起こす可能性があるからやめたほうがいいわ。あたしたちまで巻き添えを食らうわよ》


《なんとかして、近寄ってくる女どもをアキラさんから遠ざけたいのです》

 それは嫉妬なのか、それとも作戦なのか?


《じゃ。人工重力の向きを変えたらいいわ。それならバランスは狂わないもの》

《なるほど。それでいきましょう。まずは左壁が床になる向きに瞬時に変えて、近寄って来る女どもを蹴散らしてください》


 リリーたち保安部一班は十字路を真っ直ぐ後退。まるでカメムシを誘い込むかのようにゆっくりと下がり、一班とは異なる、こちらもおよそ戦闘的ではないコスチュームを着こんだ保安部二班と三班が、十字路の左右から武器を握り締めて忍び寄って来ていた。


 こっちの少女たちは、銀のラインを何本も走らせた黒のヒダ付きミニスカートに、同じ黒をベースにした大きな襟が煌びやかなドレス姿。まるでAKKB46のステージ衣装であった。長い艶々の美脚が二本しゅっと伸びた姿が超目(ちょうめ)にまぶしい。



《アキラさーん、何かに掴まって》

 マイボの声と共に、スマホの加速度センサーが横に90度傾いた。


「きゃぁぁぁぁぁぁー」

 目の前の十字路を右から左へと、ミニスカートの娘子軍が淫らな格好で通路を雪崩転んで行く。


《そんな扇情的なコスチュームを着込んでいるから、咄嗟の動きが取れないんです》

 冷たい言葉を吐き捨てるキヨ子。ちゃんと見ておるのだな。


 真下に向いていた重力が真左に変わったから大騒ぎである。当然カメムシとアキラも通路の左壁に猛烈な勢いで吸い寄せられたが、それほどダメージはない。横に倒れたぐらいのショックであった。


「いてててて」


 重力の向きが瞬時に変わるという現象を理解するのは困難を要する。狭い範囲でなら段ボール箱にでも詰め込まれて、ごとんごとんと回転させられるようなものであるが、それが巨大な宇宙船丸ごととなると想像を絶することになる。つまり左壁が床になるのだから、今まで右方向だと認識していた空間が真上となる。しかも景色はまったく変わらない。重力だけが変わる、なんとも奇妙な体験であった。


《はーい。次は前方が下になるように重力の向きを変えるからねー》


「え~っ」

 悲鳴めいた声を上げるアキラだが、問題はない。前方に立ち塞がるスーパーカメムシが手足を伸ばして壁を掴み、前に落ちかけるアキラを阻止してくれた。


「きゃぁぁぁぁぁぁー」

 だが何の術も持たない娘子軍は気の毒であった、可愛い悲鳴と共に今度は前方へ向かって落下していく。


《アキラさん。船内がもとに戻ったら一気に十字路を右ですわよ》

《ちょっと待ってキヨ子さん。いいこと思いついたわ》


 少しのあいだスマホに伝わって来る声が途絶えた。向こうで何やら作戦会議が開かれた模様だ。


「すっごーぃ。高いなぁ」

 六本の脚で壁を踏ん張って落下を阻止したカメムシの背中に乗って、アキラは下を恐々と覗きこんでいた。

 さっきまで通路だった場所が、まるでエレベーターの縦穴であった。

 バラバラと下に向かって細かな破片が落ちていく。


「あの子たち大丈夫かな? 奥の方まで落ちて行ったけど……」

『だいじょうぶやろ。それなりの訓練を受けてるはずやからな』


《アキラさんお待ちどうさま。打ち合わせが終わったわよ》

「で、僕どうしたらいいの?」


《普通に通路を使うと向こうの思う壺です。挟み撃ちにされないためにランダムに進行しますわよ。アキラさんはこちらに戻ってきなさい》


『え~。わてらだけでは進めまへんで』


《重力を利用して転がすほうが効率的です。あなたたちはエネルギーを出し続けて、ホロデッキの映像を安定させるのです》

『転がすって……まんがいち止まったらどうしまんねん』


《止まらないように、NAOMIさんが計算してくれます。つべこべ言わず命令どおりにやりなさい! いいですね!》


『おまはんは独裁者でっか。タイラント・キヨ子の誕生でんがな』

 別の表現で自己中とも言う……今に始まったコトではないが……。


『異議を申し立てるデ。ワテの尊厳は、』

《うるさいっ!》


『………………』

 小学一年生にひと言で蹴散らされてやがる。



 アキラがいなくなったスーパーカメムシは自力では進めないが、触手のパワーは絶大で、一振り二振りすると居住区の壁にひびが入り、そこへ絶妙なタイミングでNAOMIさんが重力の向きを変える。するとカメムシはその自重で亀裂の入った側壁をぶっ壊して転がり込むのだ。


 居住区は娘子軍の部屋になっていたようで、ピンクの可愛らしい小物が散乱し、なかにはイロイロと男性が目に触れると毒になるものもチラホラ見える。


『うほほほ。アキラかわいそうに。この光景が見られないとは』

《うっそぉぉ。僕、もう一度そっちへ行くよ》


《馬鹿なことをっ!》


《がんっ!》


《いたたたた》

 殴られたな――。


《カメムシ♪ 手ぇを振る。

 ビュンビュン、ビューン♪

 ビュンビュン、ビューン♪》


《カメムシ♪ 転がるよ~。

 ゴンゴロゴロー♪

 ゴンゴロゴロー♪》


 NAOMIさんが唄うサ●ちゃんの歌(与●)に合わせて、スーパーカメムシは艦内を崩しながら、目的場所は特に無いという、支離滅裂な行き当たりばったりの行進が続いた。しかしこれではフンコロガシに転がされる糞に思えてならんのだが。


「く、くそ。イレッサついて来てるか?」

 後部からリリーの声が渡る。


「アイアイサー。アタシはちっちゃいからー。転がっても平気でぇぇぇす」

 イレッサの可愛らしい声と、重装備の機材を引き摺る音。


 ズズズズ。ズズズ。

「しゅ、主任待ってくらさーぃ」

『この声は蒼いツインテール、キャロラインでっせ』

 紅い彗星みたいに言うな。


 ドムッ!!


 いきなりイレッサが何かを打ち込んできた。だがこちらはホロ映像だし、我輩たちはその主要装置に差し込まれた携帯電話の中。いわば核シェルターにも匹敵する安全な場所なのだ。


 もうもうと白煙を引き摺ってカメムシの三角頭が彼女らの前に出現。

「だめです主任。催涙弾も効果なし。これって生物ですかぁ?」

「わからない。だが宇宙は不思議で満ちているのだ」

 科学ドキュメンタリーのナレーションみたいなことをつぶやくリリー。


「やっぱしぃぃ。ここは光子魚雷をー」

「だからやめろってんだ、イレッサ! この先は外壁だ。確実に穴が空く。そうなったら一貫の終わりだぞ」

「でもぉぉ。そうでもしないとコイツやられないでぇーす」

「いちいち語尾を延ばすなと言っておろうが。オマエの喋り方は鬱陶しいのだ」


「しかしぃぃ。これはクセでぇ。もぉぉ。直らないのでぇぇす」


「あぁぁ。うるさい。それより早く何とかしないと船内がボロボロになっていくぞ」

 急いでリリーはヘッドセットのマイクに向かって尋ねた。


「司令室。お姉さま聞こえる? いまカメムシはどのあたりを進んでるの?」

 リリーはクララに対して口調が異なる。イレッサのことなど言えないはずである。



 ふたたびマイボが重力方向を変えた。床だったところが壁に変わり。正面だったところが床になって、カメムシは大きな音を立てて転がった。途中で丸い物体をひっつかまえて一緒になり、船首のほうへ向かって突き進んで止った。


 間髪いれず、また重力の方向が変化。カメムシは側面へ向かって、いつから一緒に転がっているのか分からないが、丸い物体を抱きかかえて落下した。


『この丸いのは何んであろうか? NAOMIさん』

《この船の脱出ポッドみたい》

 丸いものを抱いて転がるって……やっぱりフンコロガシではないか。

 なんだか脱力した。


《ねえ、ねえ、マイボ。今度は僕にもやらせて》

 ぐいんと重力が乱雑に回転。アキラらしい雑なコントロールで、フンコロガシはひとつの部屋に飛び込んで止まった。

『ビンゴやアキラ! ポニテの子の部屋や! うひょひょ。ピンクやら水色やら、ウハウハの下着が満載でっせ。あと右に三つ下に二つ行って、左に三部屋で青のツインテと、金髪リリーの部屋でスリーコンボ達成や』


 こいつらゲームのつもりか?

 地球の未来をこんなヤツらに託していいのであろうか……他の惑星の生物である我輩から見ても悲しくなってしまう。


 ギアの誘導でアキラが張り切ってしまったため、キャザーンの船内がみるまに瓦礫の山となった。足の踏み場も無い新たな通路が無秩序にできて、まるで何匹ものモグラが暴れたような状態であった。


 ようやくカメムシが止まった。ガサゴソと手足をバタつかせ、何回も重力の向きをマイボが変えるが、どこかに引っかかったのか、どうにもこうにも身動きが取れなくなった。


『NAOMIは~ん。どっかで詰まってまっせ~』

 ギアの気の抜けた声に、

《二本の後ろ足がへんなところに突き刺さって動けなくなってるわ》

 マイボの声が返る。


 今やカメムシ改め、フンコロガシとなったホロデッキ映像は丸い脱出ポッドと一緒に転がり、瓦礫の奥でフン詰まってしまったのだ。

 ゴミ箱の中に落ちたカブトムみたいな状況である。ガサガサ残骸を掻き分けるが前にも後ろにも動かない。


 瓦礫を掻き分けて中から金髪の女性が這い出して来た。

「イレッサ、キャロライン。大丈夫か?」

 リリーだった。


 そして毅然とした声。

「どうなっておるのだ。このザマは……」

 横倒しになった司令室の扉が開いた。それはまるで天井を開けたみたいな光景。クララが扉のふちに手を掛けて這い上がり、右手にそそり立つ、元は床だった側面に沿って直立した。


「おい、誰か説明してみろ」

 縦穴みたいな司令室の中に声を落とすクララ。


「重力制御装置の暴走だと思われます」

 奥の方から例のアンドロイドの声だけが上がってくる。背の低い連中はここまで上がってこられないようであった。


 再び、重力の向きが変わる。


「きゃぁぁー」

 ちょっとした悲鳴と共に、ようやく従来の床が、床となって艦内が水平にもどり、フラフラしたイレッサが大型の銃器を引き摺りながら現れた。

「いったいぜんたい、どうなったんですかぁ~?」


 そしてまくれ上がった裾を払い落としながら、リリーも瓦礫の山から出てくる。

「わからん……」

 忘我の面持ちでふらつく姿に向かって命じるクララ。


「現状報告をしろリリー」


「はい。お姉さま」

 丁寧に金髪の頭を下げ、

「カメムシは重力制御装置の暴走に伴い、脱出ポッドを抱きこんだ形で船内を転げ回った模様で。現在どこにいるかは不明です」

「居住区の壁が他と比べて弱いとはいえ、ここまで破壊するとは。相当な重みが無いと無理だろう」

 首を捻るクララの足元から、部屋を這いずって出て来たアンドロイドが答える。

「重量は約5トンを超えております。むぎゅぅぅ」

 そいつを椅子代りにして、クララがどんと座り込んだ。


「まったく。たかが虫ケラ一匹にいいように(もてあそ)ばれよって……」

 不機嫌そうに言い捨てると、司令室の中を睨め上げる。


「正しい説明が出来るヤツはいないのか?」


 室内は無言であった。

「まったく、しょうがないな……」溜め息混じりに立ち上がると、上目に視線を振った。


「ナナっ。どうなの、あなたは把握してるの?」

 居丈高だったクララの言葉遣いが、天井に向かって(うかが)いを乞うみたいな気弱に変化。もう一度、甘えたような声を上げる。


「ねえ、ナナ! 答えてよ」


《――はんっ! この小娘がっ!!》


 忽然と船内を響くしゃがれ声。



《こんな蟲ケラ一匹に手玉に取られやがって。なぁーにやってんだい!》

 世の中に怖いものなど無いと言わんばかりの、高圧的で自信に満ちた口調であった。


「突然攻撃を受けて侵入されたんだよ。ビックリもするさ」

 平然と天井に向かって言い返すクララと、

「ナナさま……」

 恭しくひざまずくイレッサ。誰かの下着を頭からぶら下げていることに気づき、ぶるぶると振り払うその背景では、ゴミの山となった瓦礫の中に長くて白い脚だけがにゅっと飛び出たセクシーな光景が……。


 それはキャロラインの綺麗な脚である。


『ご、ゴクリ』


『こ、こら、電磁生命体のくせに生唾を飲むのではない、ギア』

『しゃぁーないやろ!』



《だからオマエは小娘だと言うんだ、クララ》

 大きなダミ声にやっと気づいたらしく、ゴミの中から突き出たマネキンみたいなスリムな脚がビクっと引き攣ってからバタバタと暴れて、

「ババさま……」

 ほとんど捲くれ上がったコスチュームを慌てて直しながらキャロラインが這い出してくると、皆と同じように片膝をついて姿勢を下げた。


『おい、聞いたかギア! ババ様だ』

『うっさいな。耳元で騒ぐなや。ワテも電磁生命体や聞き逃すはずないやろ』

『地球が故郷だとかいう女人(にょにん)の登場だぞ。ナナとか言っておる』

『ナナっちゅうのはな……まぁええ。すぐに解かるからおとなしくしとけや。ワテはエロティックな光景を脳に焼き付けるのに忙しいんや』

『いったい誰なんだ、ナナと言うのは……』



『どうして姿を現さないのです!』

 キヨ子の声がスマホから漏れ出し、ゴミだか破片だかわからない山へと浸透したのである。


『解らないのだキヨ子どの。おい、ギアこの声はどこから聞こえるのだ?』


『………………』


『ギア! どこを見ておる』


『キャロちゃんのパンツ』


 だめだこりゃ……でも続くぞー。

  

  

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