表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
カチコミ上等!異世界で不良やってます  作者: 浅見仁
第1章 幼少期
6/6

第6話 初めての魔術

「おわっ!?何やってるんだデル!」



俺はギルバートの使う水魔法の中に飛び込んだ。

なぜかって?



もちろん、他人の魔力に触れるためだ!

ギルバートはいかにも強そうだし、水魔術の扱いにも卓越したものを感じる。

素人目にも美しく映るものは、いつだって一流だと相場が決まっているのだ!



ギルバートの胴体にしがみつき、水魔術を感じるべく体を擦り付けながら、集中する。

それにしても息子がいきなりこんな奇行に走っても、魔術が解けることがないのはさすがだね。

魔力操作の技術がかなり高いんだろうな。



いかん、集中だ。

水の流れに集中し、魔力を感じとる。

体全体で魔力を吸収するようなイメージで反芻する。



すると、自分の中の魔力が一瞬ブルブルっと動いた。



これだっ!!



「ほらっ!いい加減離れるんだ!」



っといいところで剥がされる。

なんだよー。いい感じだったのに。

息子のハグを強引に剥がすとは何事か。



それにしてもびっしょりだ。

こりゃハイネに怒られそうだ。



「全く…。どうしたんだ?」



その質問は予想してたさ。


 

「気持ち良さそうだったから…それに僕もお父さんみたいにやってみたくて。」



どうだ!お父さんみたいにやってみたいと言われて嬉しくない親はいまい!

それに俺は初めての息子、本業は剣のギルバートが魔術を褒められて嬉しくないはずはない。



「…っ!そうかそうか〜!!お父さんみたいに魔術を使いたいか!」



作戦通り。ちょろいぜ。



「確かに、卓越した者の魔力に触れることで魔力を感じ取りやすくなると言われるというのは有名な話だったな…。そうだ、これからは一緒に訓練後の水浴びだけするか?」



うおっ。願ったり叶ったりだ!



「いいの!?やった〜!!」



「ああ、いいぞ!ただ次からは服を脱いでから水浴びをするように。」



「はーい。」



これで下準備は完璧だ。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


「わ!びしょ濡れじゃない!どうしたの!」


家に入るとハイネに驚かれた。

やっぱ怒られるよな。



「ああ、実はな…。」


ーーーーーーーーーーーー


「あら、そうなの!デルちゃんたらおてんばね!」



あれ?なんだかハイネはご機嫌だ。

てっきり洗い物を増やして怒られるかと思っていたのだが。

どうやら俺が元気で好奇心旺盛な様子が嬉しいようだ。



反省だ。ハイネは自分の仕事が増えたからと怒るような、小さい人間ではなかった。

深海よりも深い母の愛で包み込んでくれる、偉大なる女神・ポセイドンだったのだ。



「ああ、だから今度から水浴びがてら魔術を体験させてやろうと思ってる。もちろん服は脱がせるが。」



「いいじゃない!今から魔力を感じとる練習をしておくことは大事よ!」



「父さん、母さんありがとう!僕頑張るね!」



こうして修行の場を手に入れたのであった。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


修行の場を手に入れてから、1週間が経った。

日を重ねるごとに魔力を感じ取れるようになっていた。



1日目

ギルバートに水球の大きさを、俺の体の首より下が包まれるくらいまで広げてもらった。もちろん全裸。

それから水球の中で体を動かしたり、波を立ててみたりしてどうしたら魔力を感じやすいか試行錯誤した。

若干であるがギルバートの魔力を感じとれた。



2日目

再び体を水で包んでもらい、今度は静止して魔力を感じとる方針にした。もちろん全裸。

桶に水魔法で水を入れて、手を突っ込み静止した魔力を感じとる練習もした。

集中すれば、ギルバートの魔力は割とはっきりと感じ取れるようになってきた。

自分の中の魔力というエネルギーがあることがわかるようになってきた。



3日目

ギルバートの魔力を感じ取れるようになってきたので、

趣向を変えて、水球の中にオレンジに似ているランジの実を入れ、それをギルバートが水魔法で水流を操作し、

俺がランジの実を取るという遊び兼修行を始めた。これも全裸。

これがめちゃくちゃ楽しくて、何も考えずにやるのも楽しいけど、集中して魔力の流れを感じ取り、

水流を推測して捕まえる頭脳プレーも楽しい。

自分の魔力が初期と比べるとかなりブルブルするようになってきた。



4日目

ランジ取りは毎日やるようにして、

静止した状態での魔力感知を続け、意識しなくても魔力を感じ取れるように訓練を始めた。いまだに全裸。

半裸の時もある。

自分の魔力をブルンッと動かせるようになってきた。



5日目

だいぶ外の魔力は感じ取れるようになってきたので、自分の中の魔力を検知し、

かつ外に放出する練習を水球に包まれながら行うことになった。全裸である。

魔力が放出されると、波が水球の中に発生しわかりやすい。



6日目

自分の中の魔力を感知することは、徐々にできてきたので、

ランジ取りに追加して、自分の魔力を放出することでギルバートの水流操作を妨害し、

ランジを取ることになった。全裸。




7日目

ランジ取りは取れるようになったら、ギルバートが魔力操作のギアを一段上げることになっている。

やっと取れたと思ったら、すぐに取れなくなる。もっと練習が必要だ。

修行の成果もあり始めた頃に比べ、魔力操作がかなり上達してきた。

ブルブルっと動いていた魔力が、今ではブリューっと動く感じだ。

もちろん魔力も感じられる。



と、まあこんな感じの1週間を送っていた。

そこで思ったのだ。

これってそろそろいけるんじゃないか、と。



昼のギルバートがいない時を見計って、書斎から魔術入門書を持ち出した。

庭に出て魔術入門書をパラパラとめくる。

『始めての魔術』のページを開く。



そう、魔術を使うのだ。



魔術を使うには、

①魔力を感じとれること

②最低限の魔力操作ができること

③体外に魔力を放出できること

の三つが最低限必要となる。



3つとも最低限レベルでは習得できていると思っている。

であれば、あとは魔術を使うのみだ。

あれでも、俺属性ってなんなんだ?

というかいつわかる日が来るんだ?



まあ、一旦読んでみるか。



どれどれ…?

ふーん、なるほど。



ちょうど知りたかったことも書いてあった。

要するにこうらしい。

・属性が判明するのは、5歳になると教会に集められて行われる『託魔の儀』の時で

 貴族も平民も同じタイミングらしい。

・適性がある属性の魔術のことをシンプルに「適性魔術」という。

・適性魔術は『託魔の儀』を受けてからでないと使えないというわけではなく、

 こうしないと年中人が殺到して教会として成り立たないのだとか。

・この『始めての魔術』では適性のない属性でも、多少は使うことができるという法則を利用する。

・ここではこの世界でもっとも使い手の多く、危険の少ない「水魔術」を使用する。



『託魔の儀』か。

あと2年もあるんだな。

というか貴族やっぱいるんだな。

うちも結構裕福なようだし、周りの村民などを見ればなんとなく身分制度はあるんだろうなとは思っていたが。

魔術のことばかりで全く世界のことを学んでいなかった。

これからは、そういった知識も入れていこう。



そして始めは水魔術だ。

もし適性魔術がギルバートと同じだったら、教えてもらおう!



発動の仕方は、

魔力を感じとるところから始め、魔力操作で体内の魔力を動かして循環させる。

いい感じに循環してきたら、小さい水球を作ることを強くイメージし、魔力を放出するそうだ。



「よし!やってみるか!」



せっかくだし、ゆっくり丁寧にやろう。

まずは体の中の魔力を感じ取る。体の中にあるほんのりと温かいエネルギーを感知していく。

そして、身体中に広がる血管を通すようにして魔力を循環させていく。

ここまでは修行により、かなりスムーズにできるようになっていた。



そして目を閉じてイメージ。

水、水、水!!

魔力を放出!



すると手の中に小さな水球が浮かんでいた。



ーー










評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ