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カチコミ上等!異世界で不良やってます  作者: 浅見仁
第1章 幼少期
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転生


第1章 幼少期

1話 転生



意識が少しずつと覚醒していく。

大分長い間寝ていたように感じる。目を開くとそこには満天の星空があった。



ここは……どこだ……?

俺は…死んだのか?



ふと、この場所の異常さに気づく。

なんと自分が寝ているのは、地面でもベッドでもなく空中に浮いた状態であった。それだけではなく、下を見ればまたそこには星空が広がっていた

。360度どこを見ても星空が広がっている。



綺麗だなあ…。こんなところが世界にはあるのか。死んでみるのも一興かもしれない、な。



ん?うわっ!なんだ!?眩しい!!



突如、際立って光輝いていた星がさらに輝きを増しその光を急速に広げ、白の光にこの空間を包み込んでいった。あまりの眩しさに澪は目を開けていられない。



もう収まったか?

…星空だと思ったら今度は白い空間か。

神様でも出てくるのか?出来れば女神希望!



その手の本を澪は読んだことがあった。

そしてそれは現実になる。



ボワンッ!



「じゃ!じゃーん!!女神参上!」



白いローブをきた金髪碧眼の美女が現れる。頭には草の冠をつけており、全体的に古代ローマ人の様な格好をしている。年は自分とあまり変わらないか、より幼いぐらいか?忍者の如く白い煙と共に現れ、忍者ポーズをとっている。



女神!?って!めちゃくちゃかわいいじゃねーか!てか、女神のくせになんだその忍者的な登場は!



「いやー、死んじゃったね君。嵐山…澪君だっけ?」


「お、おおお俺はあ、あらしやま、澪だか?」


まずい。対美少女コミュ障が最大限発動している。だか?ってなんだ、だかって。おにぎり大好きなデブでも言わねーぞ。



「ぷぷっ!どうしたの?口調が変だけど。もしかして3次元空間から来る途中でなんかに引っかかった?最近整備してないからなー。いや…これは…あーなるほどねえ。女の子と話すの緊張しちゃうのねー!しかもびちょうじょだなんて!うーれちー!」


「ごびゅ、ご、語尾が変になっただけだ!」


「あははは!!ごびゅっ!だって!ごびゅっ!あはは!あー…おっかしー!面白いけどそのままだとお話するのに笑っちゃうから直すねー、ほいっ!」


そういうと人差し指を指揮者のマネの様に振り上げる。

そうすると緊張で強ばっていた澪の体はたちまち緩み、心は落ち着きを取り戻した。


なんだこれ!!これだけの美少女を前にしてるというのに全く緊張していない!自然に落ち着けている!あれだけの会話で即座に見抜くとは!流石、女神様だ!女神様万歳!



「女神様、万歳!!」


「うひゃっ!!?」



いっけね。口に出ちゃった。



「えー…何この人超こわいんですけどー。」


ドン引きされてるー!!しかもすれたギャル風に!

そんな姿もとてつもない美貌のせいで、様になっている。

くっ!何かに目覚めそうだっ!



「い、いや、申し訳ない。その通り俺は女と話すのが苦手でな。それが解決したと思ったらつい、な。」



「ふーん。まあいいや。それで君、自分の状態は分かってる?」



「あー…、やっぱり俺は死んだってことでいいんだよな?」



…家族には悪いことをしたな。ろくな親孝行も出来てないどころかとんだ親不孝だ。家族は怒りながら泣いてくれるだろうな、こんなバカ息子のために。幸い兄と妹がいるから、家族が壊れることはないだろうが妹は俺に懐いてくれていた。思い出すと涙がこみ上げてきそうだ。



「うん。まだ若いのにもったいないねー、あんなビッチを助けて死んじゃうなんて。」



「ビッチ?」



女神の口から出る言葉にしては、あまりに俗物すぎるもの言いに一瞬衝撃を受けた。それをいうなら、この女神様は最初から女神らしくないが。



「知らなかった?あの女子大生清純なフリして、裏では他校、教員、チンピラ、バイト先だの行く先々で男作ってるわよー。あの時点で6人は男がいたみたいねー。その1人のチンピラが激怒して学校に乗り込んできたってわけ。」



「なんてことだ…。」



つまり、俺のやったことって…!



「つまり君は、全く関係ない自業自得の他人の恋愛のもつれにわざわざ首突っ込んで死んじゃったってわけ!!ぷっぷー!しかもチンピラも本気でナイフ使うつもりじゃなかったみたいだしね!これぞ、完全に無駄死に!」



「うがああああああ!!ちくしょおおおおおお!!」



ナイフなんて取り出されたら、必死に止めないとって思うだろうがよおお!!本気じゃねーなら出すなよおおお!怖かったよおおお!



「普通の人はそこで腰が引けて、立ち向かおうだなんてしないんだけどねー。馬鹿なのか、男らしいと褒めるべきなのか迷うところだねー。」



「くっ!ちょっとうれしい!」



「どっちにしろ、死んじゃったら誇れることじゃないよね!」



ぐさぐさっ!

あまりにも的確な言葉が心に突き刺さる。効果は抜群だ。



「ぐっ…それでここはどこなんだ?ここが天国っていうんならあまりに殺風景だな。」



「ここは天国じゃないよ。ここは私の創り出した輪廻転生させる魂と対話する空間。君は天国にいくにはあまりに未練が多すぎるからねー。死んだ理由も無駄死にとはいえ、パッと見美談だし。まあそれだけで輪廻転生させるなんて滅多にないんだけど。」



「パッと見美談て…、まあいい、いくつか質問していいか?」


女神様が肯定の意をあらわにしたのを確認し、混乱する頭を整理して聞きたい質問を考える。



「まず一つ目。輪廻転生させるというが俺はどこに転生させられるんだ?」



「日本の言葉で言えば異世界、だね。私達神々はトラオムって呼んでる。トラオムには魔力が満ち溢れ、地球にはない魔法があり、特殊な能力を有する種族が沢山いるわ。強力な魔物も数多くいる。地球と比べたらとても危険な世界よ。」



異世界か。その言葉の響きからはファンタジーなものを連想させるが、そんな甘い世界ではなさそうだ。女神様の真面目な表情からそれが伺える。



「なるほどな。それじゃ二つ目だ。転移じゃなくて転生ということは赤ん坊になるってことだよな?あと、どんな家庭に生まれるんだ?」



「そうだねー。あっちで目が覚めるとき、君はおしっこも我慢出来ない赤ん坊だね。最初の10年ぐらいは体に意識が引っ張られるだろうね。あ、体を乗っとるとかじゃないから安心していいよ。本来なら体の成長が止まっちゃって魂が定着しなかった体だから。それと、家庭に関しては変なところじゃないから気にしなくていいよー。」



「それを聞いて安心した。さすがに体を乗っとるのは後味が悪いからな。」



「これでも私は生命と愛を司る神だからね。そんなことはしないよ。それで三つ目は?」



「そんな厳しい世界で生きていくには地球産の魂の俺では厳しいと思うんだが?」


ニヤリと女神は微笑む。

「そう、そこだよね大事な部分は。さっきもいった通り、向こうにはその人だけの特別な能力をもつ人がたまにいるの。それは土の質を良くする能力から、龍のブレスを受け止め跳ね返す能力まで千差万別。自分の目的に添えない能力でそれを全く活かさない人だっているし、うまく使って巨万の富を稼ぐ人もいる。私達はこれをスキルと呼んでいるけど、スキルは多かれ少なかれその人物の根幹を反映しているの。だから私からは好きなスキルをあげたりすることはできない。」


なんてこった...!


「ということは俺はクソスキルを手に入れることになるかもしれない、いやスキルさえ手に入るか怪しいということか…?」


異世界ライフまさかのハードモードかよ!!

また死んだらどうなるんだ?次のチャンスなんてあるのか?


「落ち着いて、落ち着いて!スキルを選んであげることはできないけど、スキル自体を持たせるだけならできるの。だから自分の可能性に期待して。どんなスキルであれ、あなたの根幹をなすものであることに変わりないから。」


「そろそろ時間だね。」


パアアアアア...!

空間を光が埋め尽くしていく。女神の姿も霞んでいく様子は神々しく、改めてここが神聖な場所であることがわかる。


「待ってくれ!!俺のスキルが何か教えてくれ!

知っているんだろう!!自分が神だというのなら!!」



「そうだね。君のスキルのことは大体知ってるよ。

ただ、スキルとは可能性。自分で知っていった方が持ち得る可能性っていうのは広がっていくんだ。それに、そっちの方が面白いしね。」


こっちは全然面白くないんだよ!

しかし...スキルとは可能性、か。

面白いやってやろうじゃねえか。


「それじゃ、さよならだ。」


女神は手を組む。


『汝に祝福あれ。』



目の前が完全に光に包まれ、意識が遠くなっていく。



───────────



「期待してるよ、君の可能性に。」






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