エピローグ
地下室に幽閉されていた人数は、最後に囚われたレンを含め512人だった。
シンザキが言っていた512種類のマナの数と同じだ。
内訳はゲーム世界から192人、巫女2人、騎士318人だった。
騎士は戦死したと思われていた者達が、どうやらシンザキが蘇生の魔法で生き返らせて地下室に幽閉していたらしい。
あと幽閉されていた人達は、長い人だと半年近いはずなのに、目覚めた時の感覚だと、2~3日寝込んでいたような気分だったらしい。
これも、多分シンザキが何らかの魔法を使っていたのだろう。
結局の所、この塔の中での死者はゼロだった事になる。
まあ、最初の方で幽閉されていた人達は、半年間ぐらい行方不明になっている訳だから、現実世界では一騒動になるだろう。
そしてシンザキを見た者は、カズキ、レン、フィオナと最初に召還された8人だけで、事件の真相はカズキしか知らない。
こんな話は、現実世界に戻っても誰も信じてくれないだろう。
冒険者192人は、ロウナ神殿から、ゲームの世界へユウナが戻してくれた。
ただ、一度に10人程しか戻せないので、それなりに時間はかかった。
カズキは事の真相をレンに話し、塔の第10層にあるクリスタルの管理をロウナ神殿に頼んだ。
オスミム共和国の件は、シンザキが手を貸さなければ大丈夫だろう。
何の根拠も無いが、カズキはのそ事を確信していた。
結局の所、シンザキとオスムが行方不明と言う事で、この事件は幕を閉じた。
そしてカズキが、ゲームの世界に戻る順番が来た。
レンに事件の事を話していたので、最後になったのだ。
「今回の件、本当にありがとうございました」
ユウナは深々と頭を下げながら言う。
「この功績があれば、こちらの世界で暮らすのにも何不自由なくできますが、やはりカズキ様も戻られるのですね」
と、ユウナは付け加える。
「まあ、帰るべき場所も、仲間も居ますしねぇ」
「そうですよね……また会えますでしょうか」
「ユウナさんが召還してくれるならいつでも」
カズキは明るく答えた。
まあ、もう呼ばれる事は無いだろうが。
「それではカズキ様、お送りいたします。お元気で」
ユウナが胸の前で手を組んで魔法を唱えると、カズキの姿は消えゲーム”フリーダムファンタジアン”の中へ戻ったのであった。
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