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黒猫  作者:
3/37


 こんこん、とノックの音が遠くからした。


 続いて、ガラガラガラ、と引き戸の開く音がする。


 またガラガラガラ、と今度は閉まる音がなって、足音が私の元に近づいてきた。

 なかなか開いてくれない瞼に従って、私はまた心地いいまどろみの中に落ちていく。


 落ちて、いこうとした。


「まどかー、入るよ?」


 だけどそれはばっさりと阻止されて、シャッとカーテンが開く。


 同時に瞼を伝わるまぶしさに、私は声にならないうめき声を上げた。


「はいはい、もう昼寝は終わり。布団の中にもぐりこまない! もう具合だいぶましになったでしょ?」


 具合?


 疑問符が声に出る前に、ばっさりと暖かい掛け布団が取り払われた。


「あーあ、スカートのまま寝たの? プリーツが崩れちゃうじゃん」


「……咲ちゃん?」


「はいはい、咲ですよー」


 てきとうに返事をしながら、彼女はてきぱきと皺のよった私のスカートを手で伸ばし、乱れた髪を手ぐしで整えてくれる。


「どれ、お熱は?」


 前髪に伸びた咲ちゃんの手のひらが、ぴとり、私のおでこにくっついた。


 寝起きのおでこに、ひんやりと気持ちいい手のひら。

 気持ちがよくて、思わず目を閉じる。


「うん。よしよし、下がったみたいね。ってこら、もう寝ない。目開ける!」


 怒られてしまった。

 咲ちゃん今日は怒りっぽいみたい。生理?


「咲ちゃん、私、熱なんか元からないよ」


「は?なんだ、じゃあサボり?」


「いや……うん。サボっちゃったのかな」


 首を傾げると、呆れた視線が飛んできた。


「もー。まどかが寝ぼけてるー。めんどくさいー」


 言いながら、けだるそうにカーテンの向こうに消えていく。


 ――あれ、私いつの間に保健室に来たっけ?


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