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勇者は勇者を見限りました(仮)  作者: 槻白倫
1 オレが見限るまで
1/18

プロローグ

書きたくなったので書きました。

矛盾や、書き間違いとうありましたら感想お願いします。

 どうしてこうなったのだろうか。


 かつては友好を育み、共に苦楽を分かち合ったクラスメートと、どうしてオレは剣を突きつけあっているんだろうか。


 その答えは簡単だ。誰に聞くまでもなくオレが良く知っている。


 オレが選んだんだ。こうなるように、オレが。


 オレの後ろにはここ数年の内にオレに着いてきてくれると言った仲間が控えているが、彼らの視線はオレの仲間にではなくオレだけに向いている。


 オレは油断無く剣を構える。


「よう。久しぶりだな。元気そうで何よりだよ」


 わざと皮肉げな表情と声音を作り彼らに言い放つ。 


 オレの言葉に彼らは一様に顔をしかめ、殺意のこもった視線をオレに向ける。


 そう、それで良い。


 だがそれで良いと望んでいても、その視線になれた訳じゃない。


 彼らと対峙してまだ数分だが、早くも挫けそうになっている心をどうにか奮い立たせる。


「で、どうだ?やっとオレに勝てるようにでもなったのか?」


「…ああ。今ならお前に勝てるよ」


 オレの問いかけにクラスメート達のリーダー格であり、オレの元悪友でもある、天海流あまみ ながれが答える。


「へえ!そいつは嬉しいね~。今まで手応えなさ過ぎて飽き飽きしてたんだよ。オレもやあ~っと本気出せるわけだ。いんや~長かったね~随分とさ~」


 流の台詞にバカにしたような声音を作り余裕ぶってそう言い放つ。


 オレの挑発に噛みつこうとした何人かを流は手をさっと動かすだけで制する。


「ああ。本当に長かったよ…。これであいつの仇が討てる」


 流の言葉に、オレは演技ではなく本心から失笑を漏らす。


 そのオレの仕草に流は苛立ちながら噛みついてくる。


「何がおかしい!」


「いや、なに。お前ら裏切り者をまだ信じてんだなって思ってさ」   


「っ!お前が…お前があいつを裏切り者と言うのか!?」


「だってそうだろう?あいつは裏切ったんだよ。あの頃の俺達をよ。自分の浅ましい私利私欲のためだけにさ」


「そんな事を言ったらお前だってそうだろ!お前だって私利私欲であいつを殺したんだ!」


 流の糾弾する言葉にも飄々としたていを貫く。だが、その内心は飄々とはかけ離れたものであった。


 あの時、選ぶことのできた可能性という名の後悔がオレの頭の中を埋め尽くす。


 その感情をおくびにも出さずに言う。


「ああ、そうだよ。オレはあいつが気に食わなかったし、ムカついたから殺したんだ。それになんだか信用もならなかったしな」


 オレの言葉に、流は悔しそうに奥歯を噛みしめる。


 ああ、そうだよな。お前はそう言う奴だよ。大方、オレと仲野を救えなかったことを悔やんでいるんだろうな。分かるよ、オレとお前は長い付き合いだからな。


 悔しそうに奥歯を噛みしめる流をオレは一瞬だけ懐かしいものを見るような目をしてしまう。だが、それも一瞬だ。すぐに元の人を小馬鹿にしたような表情に戻る。


「なあ、もう良いだろ?さっさと始めようぜ。それともお前等、ここまできてビビったのか?」


 オレの言葉に流は悔しそうな顔を徐々に引っ込めると覚悟を決めたような顔をした。


 うん、良い表情だ。


「お前等は手を出すなよ」


「了解であります!」


 後ろに控える仲間にそう言えば、彼女等は揃って良い返事をしてくれる。その顔は信頼に満ちていた。微塵もオレが負けることなど考えてはいない。


「皆も…手は出さないで欲しい」


「分かったわ」


 流も流で、一人で戦うらしい。


「良いんだぜ?パーティー組んでもよ。なんならその人数じゃレイドも組めるだろ?レイドで来いよ」


「いいや、その必要はない。俺一人で十分だ」


「オレも安く見られたもんだな…」


「安くなんて見てないよ。俺がお前を安く見るわけがない」


「はっ!そいつは嬉しいねぇ……それじゃあ、そろそろ」


「ああ、始めようか」


 そう言うとお互いに剣を構え直す。


 オレもさっきまでのふざけた態度を消し去り、真剣な表情で流を見据える。


木葉このは…俺は、お前を…」


「みなまで言うな…分かってるよ………でも、もう戻れないさ」


「ああ、そうだな………俺は……お前を殺す!…行くぞ、木葉ぁぁぁぁぁあああああ!」


「良いぜぇ…来いよ!やれるもんならやってみろよ、流ぇぇぇぇええ!」


       

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