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デートの裏で

書籍第5巻リクエストより♪

ヴィオラが綺麗どころトリオとデートに行ってしまった……!

その時旦那様は?

「お姉様方からデートのお誘いがあったんです。行ってもいいですか?」

「え? ヴィーに姉などいましたっけ」

「とぼけないでください。サーシス様の部下のアルカネット様たちですよ。今度三人そろってお休みが取れたので、一緒にお出かけしませんかって言ってくださったんです」

「あ〜うん、まあ、いいよ」

「ありがとうございます!」


 仕事から帰ってきたところで、ヴィオラが珍しく外出してもいいかなんて聞いてきたから何かと思えば、あいつらと外出か。

 うちの部署の綺麗どころトリオは異常にヴィオラを気に入ってるからなぁ。

 まあたまにはいいかと思って許可すれば、ヴィオラはうれしそうに顔をほころばせた。

「それで、いつ出かけるの?」

「え〜と、明後日ですね」

 唇に指を当て、考えるヴィオラ。明後日って、僕も休みの日じゃないか! 

 おいおい冗談じゃない。休みの日だってのにヴィオラがいないって? そんなの精神衛生上非常によろしくないぞ。

 あ〜い〜つ〜ら〜! 絶対に僕の休みの日を知ってて被せてきやがったな。せっかく人が快く送り出そうって思ってたところなのに。

 あんな奴らと一緒にいたら、純粋で可愛いヴィオラまで毒されてしまうんじゃないか……? 


『サーシス様、溜まったお仕事さっさとなさってください!』(※きつい口調)

『お願いしていたこと、まだできてないんですかぁ?』(※きつい口調)

『自慢の短刀が風を切りますよ?』(※いい笑顔でニッコリ)


 ……いかん。悪い想像をしてしまった。

 やっぱりあいつらと必要以上仲良くしないほうがいいと思う。

「僕も休みだから一緒に……」

「却下です」

「だよね」

 一度は許可したものをダメとは言えず、じゃあ僕も一緒に行くと言おうとしたら、最後まで言う前に却下された。しかも真顔で。

「そんなことよりサーシス様、お休みの日にたまったお家の仕事を片付けないと。ロータスがた〜くさん書類を持って待ち構えてますよ?」

「マジか。ヴィオラはいないわ仕事は山積みだわ、辛い休みだ……」

 なんかもういっそ休みなんかもらわず仕事にいってるほうがマシかも。ちらりと視線をやれば、ロータスがニコニコしながらこっちを見てるし!

 僕が若干凹んでいるのに気付いたヴィオラ。

「お土産買ってきますから、お仕事頑張ってくださいね」

「わかった」


 土産よりもヴィオラが早く帰ってくることを切望するけどな!



 そして二日後。


「「「奥様お借りしま〜す!」」」

「旦那様、行ってきますね〜!」


 女装……げふげふ、普段着のアルカネット・アンゼリカ・カモミールと一緒に出かけていくヴィオラ。

 楽しそうにおしゃべりしながら遠ざかる背中を見つめる。


「あ〜、ヴィオラが行ってしまった」

「そうでございますね。さあ、寂しさを紛らすためにも仕事に邁進しましょう」

「……鬼だ。鬼がいる」

「何かおっしゃいましたか?」

「何も」


 キャッキャウフフと楽しそうなヴィオラたちと違って、僕にはいい笑顔のロータスが、さあ仕事しろやれ仕事しろと圧力をかけてくる。ヴィオラのいない休日、一人寂しく過ごす主人に気遣いの一つもないのかこいつは。あ〜もう、マジ逃げたい。

 あ、そうだ。こっそりヴィオラたちの後をつけてこようかな。ほら、暴漢とかにあったら大変だしな!

 いいこと思いついたな僕! そうと決まれば支度してこよう。

 半ばスキップを踏む勢いで踵を返したところで。

「旦那様、部下のみなさまは女性とはいえとてもできる方達ですから、ご心配には及びませんよ?」

 にっこり。

 ……ロータス、お前は心を読むこともできるのか!

「……コホン。もちろん書斎で仕事をするつもりに決まってるじゃないか。おかしなことを言うなロータスは」

「それは失礼いたしました。では早速とりかかりましょう。領地からの報告書や鉱山に関することなど、それこそ山のように書類が送られてきています」

「…………」




 ロータスに書斎まで連行……もといついてこられて、僕は泣く泣く机に向かった。

 でもなぁ、ただでさえ面白くない書類仕事なのに、ヴィオラの癒しもないとなると、ちっとも身が入らない。

 やっぱりここは気分転換に散歩に行ってこよう。そうしよう。庭園じゃなくていっそ街中に出る方がいいと思うんだ。はっはっは〜!

 しれっと出て行きたいところだが、今はロータスもこの部屋で仕事してるから出るに出られないんだよなこれが。

 書類を読んでいるふりをしてちらりと様子を伺うと、ロータスは自分の机で書類を読み込んでは何か書き込んだりしている。ふむ、これはしばらくここから動きそうにないな。


 仕方ない。とりあえずロータス追い出し作戦を実行しますか。


「おい、ロータス。これとこれとこの資料もっとないか? ちょっとこの書類だけでは判断つきかねる。あと、ここも……」


 できるだけたくさん資料と書類を集めるように指示すると、

「かしこまりました。急ぎ集めてまいります」

 そう言って席を立ち部屋を出て行くロータス。よし! 作戦成功!


 ちょっと散歩に出るだけだから。仕事は帰ってきたら全力で頑張るから心配すんな。


 僕は鬼の居ぬ間に書斎を抜け出した。



*** サーシスがこっそり屋敷を出て行って少し後 ***


 あの(・・)旦那様がようやくやる気を出してくれた、と喜んで指示のあった資料をかき集め、ロータスが書斎に戻ればもぬけの殻。

「旦那様?」

 用を足しに出たのかと思って、とりあえず山のようにかかえた書類を机に置いておこうとした時。


『すぐ戻る。戻ったら働く』


 机の上に載っていた簡潔なメモが目に入った。

 それを見つけたロータスは、自分が謀られたことをすぐさま悟り、

 

「しまったぁぁぁ! ぬかったぁぁぁぁ!!!」


 旦那様から目を離すべきではありませんでした! 奥様、申し訳ございません!


 心の中でヴィオラに謝りながら、ぐしゃっとメモを握り潰したのだった。

ありがとうございました(*^ー^*)

セリフお題をメインに構成しました♪

リクエストしてくださったみなさま、ありがとうございました!

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