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夢か現か

活動報告より♪


本編160話目冒頭の朝のシーン。

ヴィオラがいなくなった後の、旦那様とロータス。

「サーシス様、サーシス様! 朝ですよ、お仕事に遅れちゃいますよ」


 気持ちのいい微睡の中を揺蕩たゆたっていると、ゆっさゆっさと体を揺さぶられる感覚に意識が浮上する。

 ああ、でもまだ眠い。

 昨日は遅くまでユリダリスや部下たちと騎士団屯所の食堂で飲んでしまって、屋敷に帰ってきたのも随分と遅かったからな。ヴィオラが待ってるから帰るって言ったら『じゃあ副隊長の家で〜』とかぬかすから、仕方なく食堂へ行った。ほぼ拉致られたに近い状態だったのに、全額僕が支払うのおかしくないか? ……ま、これであいつらが機嫌よく仕事してくれるなら安いもんか。

 すっかり日付も変わってしまってから帰ると、さすがに早寝早起きのヴィオラは先に寝てしまっていた。

 そんな遅くに寝たもんだから、さすがに今朝はキツイ。

 

 でも、ヴィオラにこうして起こしてもらえるなんて。

 

 じんわりと幸せを感じる。

 いつもは僕の方が早く起きてヴィオラの寝顔を堪能したりしてるけど、たまにはこうして起こされるのもいいんじゃないか?

 う……ん、まだもう少しこのまま微睡んでいたい。


「サーシス様、今日は大事な会議があるっておっしゃっていませんでしたか?」


 僕の身体を揺すぶりながら、またかわいらしい声がかけられる。言外に『仕方のない旦那様ですね!』という呆れが含まれているのもかわいい。

 そうそう、今日は御前会議があるんだった。今度の国内視察の件について詰めるらしい。陛下が視察に出るなら隊長が付き合うだろうから、僕は留守番。何をそんな早くから話し合うつもりなんだよ。

 それよりもこの揺さぶる手をぎゅーって捕まえて、いっそのこと布団に引っ張り込んで一緒にもう少し微睡もうかな。ああ、それいい考えだ!

 慌てる顔もかわいいしな~!

 出掛けるギリギリまでイチャイチャしてようかな。ロータスやダリアのお説教は、後で甘んじて受けようじゃないか!


 浮上してきた意識とともにうっすらと目を開ける。


 とりあえずヴィオラの方に寝返って、そのかわいい顔を見……る……?




「……旦那様。寝ぼけていないでさっさと起きてください」






「…………ロータス…………」





 そこにはいつもどおり冷静なロータスが、じとんと僕を見下ろしていた。


 ……しょっぱい。ひじょーにしょっぱい。


 なんだ? なんでロータスなんだ?! しかもじと目だし!!


 さっきまではあんなに甘いヴィオラがそこにいたはずなのに、いつの間にロータスに変わったんだよ?

 あまりの驚きに、寝ぼけまなこだったのが一気に覚醒する。ついでにさっきまでの甘い気分も吹っ飛んでしまった。


「ロータス、じゃありません。いつまで寝ている気ですか? しかも今日は朝から大事な会議でございましょう?」

「……それはさっきヴィオラから聞いた」

「聞こえてたんですね? じゃあなぜ起きなかったんですか? まったく、何を寝ぼけているんだか……。奥様はすでにダイニングでお待ちでございますよ」


 微睡みの中のヴィオラはかわいらしく呆れていたが、現実のロータスはフツーに呆れている。盛大にため息をついてる。しかも今日は朝から毒舌モードだし。くそ。

 その上、


「早くお支度なさいませんと、奥様とご一緒の朝食さえも食べられなくなりますよ」


 畳み掛けるようにロータスが急かす。

 おお、そうだ! 朝食抜きはヴィオラ抜きと同じだった!! こんなところでぽやぽや寝ぼけている場合じゃない! ……って、自分で寝ぼけてるとか認めちゃおしまいだろ、僕!!

 いやいや、自分で自分につっこんでる時間はない。早く支度しないと家を出る時間が迫ってくる。


「わかった! すぐ支度してダイニングに行くから、ヴィオラにはもう少し待っててもらってくれ!!」

「先に食べておいてくださいと言いましたので、ひょっとしたらもうすでに食べ終えておられるかもしれませんよ?」

「勝手なことを〜!」

「ほら、急ぎませんと」

「わ〜かってるっ!」


 僕は急いでベッドから飛び降りるとスラックスを履き、シャツをバッと羽織る。前のボタンを留めるのももどかしく、手を動かしながらダイニングに急いだのだった。

ありがとうございました(*^ー^*)

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