夜会 de ジェラシー
いつかの活動報告より♪
本編158話目の裏側というか旦那様視点です。そもそもこっちが元ネタですが♪
全然乗り気ではないけど、騎士団創立記念パーティーという、年に一度のどうしても断れない夜会に招待が来てしまったのでヴィオラを伴い参加した。
今日のヴィオラもマダム謹製のドレスが、清楚で可憐なヴィオラの良さを引き立てている。もちろん今日も僕の制服とお揃いで仕立ててもらっている。
こんなに綺麗な・かわいい・可憐な……いかん、ヴィオラはこれくらいの言葉じゃ形容しきれない! ……コホン、ともかくだ。めーっちゃくちゃ魅力的なヴィオラを多くの視線にさらしたくないのが本音だが、致し方ない。
「騎士団といえば、僕の不在の間に不届きなヤツらがいましたからね。いいですか、なるべく僕から離れないでくださいよ」
ヴィオラを守るのは僕の使命だし、僕がいれば寄ってくる男どもも少なくて済むし。
僕が遠征している間に行われた『激励会』で、ヴィオラをナンパした命知らずなやつらがいたからな。も ち ろ ん、その報復はしっかりさせてもらったが。
「はい」
僕の心を知ってか知らずか、ヴィオラはにっこりと笑い頷いた。
会場に着いて、上司たちに挨拶回りを終えたところで女装し……ゲフゲフ、今日はドレスアップしたアンゼリカに捕まった僕。
「先に楽しんでいてください」
と、仕方なく、断腸の思いでヴィオラに告げたのに、
「ああ、フィサリス公爵夫人ではありませんか! ぜひ私と一曲お願いいたします。副隊長はそのままお話し続けていてくださいね~」
さっそく横手から部下が現れてヴィオラをダンスに誘いやがるではないか!
「はい、喜んで」
ヴィオラもヴィオラで、にっこりと微笑んで手を預けてるし! おーい!
……そのまま二人がダンスフロアへと進んでいくのを呪怨に満ちた瞳で見送った。部下よ。帰りに落とし穴にでも落ちてしまえ。
アンゼリカによってヴィオラと引き裂かれた僕が連れて行かれたところには、やっぱりアルカネットとカモミールが待ち構えていた。お前らはいつも一緒だな……というのは置いといて。
「で、今日も一の姫君が抜け出そうとして一悶着ありまして〜」
「二の姫君が奥様に会いたいと言っておられましたよ」
「三の姫君は、公爵家に行きたいとおっしゃって駄々をこねて大変だったんです」
などなど。
かーなーりどうでもいい話ばかりなのに、なぜかなかなか切り上げてくれない。しかも途中で違う部下が来てまた話し出す。なんだよ、そんなこと今はどうでもいいじゃないか! それより僕をヴィオラのところに行かせろよ!
やきもきする僕とは反対に、ヴィオラは次々に声をかけられて楽しそうに踊り続けている。……くそう、あの微笑を向けられるのは僕だけのはずなのに!
さすがに何かおかしいと思ったのは、ヴィオラにダンスを申し込んでいるのが騎士団関係者ばかり(しかもなぜかうちの部下ばかり!)だということに気付いた時だった。
「これはどういうことかな?」
眼の前にいるアルカネットをじとんと睨みながら問えば、
「だって奥様になかなか会えないからみんなで作戦考えたんですよ〜。奥様ってば騎士団みんなの憧れの君ですからね☆」
「『ね☆』じゃないだろ!」
「きゃー!ふくたいちょー、こわーい!」
大げさに怖がってみせるアンゼリカ。
「ぜんっっぜん思ってもないだろが!」
「ま、清楚で可憐で美しい、ダンスも上手、話し相手としても素晴らしい。そんな完璧な奥様を、副隊長、独り占めはよくありませんよ!」
冷静につっこんでくるカモミール。くそっ!
「お前らに見せびらかす義務はない! 減る!」
「「「減りませーん」」」
こういう時に「まあまあ〜」とかなんとか言いながら仲裁に入ってくるユリダリスは、今日はヴィオラ付きの侍女であるステラリアと一緒にいてずっとデレデレしっぱなしで、役に立たない。というか、こっちに寄って来ようとすらしない。
「いい加減にしろ。もういいだろ!」
「「「ええ〜! せっかくなんだからもっとお話ししましょうよぉ〜」」」
「ふざけんな〜!」
「「「きゃー☆」」」
ばかばかしい同僚たちの作戦にまんまと引っかかってしまった僕は、さらなる引き留め作戦を実行しようとする同僚を振り切ってヴィオラの元へと向かった。
曲の切れ目でヴィオラ奪還に成功すると、
「次は僕と踊ってくださいね」
ようやくヴィオラと踊れると思ったのに、
「あの……私ずっと踊りっぱなしだったのでさすがに疲れてしまいました。もうお暇したいのですが?」
潤んだサファイアブルーの瞳で見上げられたら否とは言えまい。
「……わかりました。暇乞いしてきましょう」
心の中で滂沱の涙を流したのは言うまでもなく。
僕を引き留めたやつら、ヴィオラと踊ったやつら、全員明日しごきまくってやる!!!
ありがとうございました(*^ー^*)




