ヴィオラのビフォーアフター
活動報告リクエストより♪
本編154話目、ヴィオラが実家から帰るのにサーシスのお迎えを待ってる間のヴィオラ母とヴィオラの会話。母から見たヴィオラの変化。
サーシスの「たまにはゆっくり実家に帰っていいよ」の一声で、久しぶりにユーフォルビア家でゆっくり過ごしたヴィオラ。そろそろ帰りますとサーシスに連絡すると、仕事帰りに迎えに行くという返事が来たので、実家の居間で待っているところだった。
「ヴィー。公爵家に嫁に行ってからとっても綺麗になったわよねぇ」
ヴィオラの上から下まで視線を走らせ、しみじみとのたまう母。
「なに、お母様ったら突然どうしたの? 全然変わりないと思うけど」
突然改まって何を言い出すのかとヴィオラが訝しむ。
「顔の色つやがよくなった」
「いいものを食べるようになったからじゃないの?」
毎日なるべく質素とはいえ、最高級食材を食べているのだから顔の色艶が良くなるのは当然だろう。
「それだけじゃないわ。つるつるピカピカと、まるで輝くようじゃないの!」
「若さよ若さ! ……と言いたいところだけど、それはきっとミモザや侍女さんたちが、エステで磨きまくってくれてる成果だわ」
相変わらずミモザとゆかいなエステ隊は、何かにつけてヴィオラを磨きたがるのだから。抵抗しても無駄というもの。結局頭の先からつま先まで、綺麗に磨き上げられている。
「髪の毛だって、ツヤツヤ天使の輪だし。うちにいた頃は適当に結っていただけだったのに、今じゃ毎日違う髪型にしてるし」
「これもミモザとステラリアが毎日丁寧に梳ってくれるからよ。それに毎日いろんな髪型に結ってくれるんだもの。これはミモザとステラリアの趣味よ、趣味」
ヴィオラを磨き飾るのは、もはやミモザや侍女たちの趣味と化している。服から化粧、髪型と、上から下までばっちりコーディネイトするのが侍女たちの至上命題だそうだ。
「姿勢もよくなったし」
「それはロータス鬼コーチのきっびし~いダンスレッスンの賜物だわ」
アメノヒコワイ。ニッコリ笑顔のロータスコワイ。……ちがくて。
最近では旦那様とセットでしごかれることもしばしば。まあそのおかげでどこで踊っても恥ずかしくないくらいにダンススキルは上達したのだけど。
「お茶の作法や立ち居振る舞いも、良家の奥様みたいになったし」
「それはダリアのレディ教育の成果よ」
最近では毎日どこかのタイミングで、ダリアの抜き打ちチェックが入る。
朝食、昼食、晩餐、朝のお茶、お昼のお茶、夜のお茶、どこでチェックが入るかわからないので、うかうか気が抜けない。ダメ出し喰らったら、それこそ筋肉が悲鳴をあげるくらいまで(ビシッとした姿勢を保つとか、綺麗な仕草に見えるまで何度も練習とか)徹底したレッスンが行われるのだ。
立ち居振る舞いもしかり。できるまで散々立ったり座ったり、歩いたりターンしたりお辞儀をしたりを延々と繰り返すのだ。
ダリアモコワイ。
「……まあ、残念ながら体型は前のままだけど」
「あ〜っ! お母様今どこで視線止めた!? そこはほっといてよ!!」
「まあそこはまだまだ改善の余地はあるってことね~」
ぷりぷり憤慨するヴィオラとニマニマしている母。
とそこへ、
「義母上、こんにちは。ヴィオラ、ただいま!」
伯爵夫人とヴィオラの会話に割って入ってきたのは。
「サーシス様!」
「公爵様、いらっしゃいませ」
「お邪魔します、義母上。仕事も終わったし、ヴィー、迎えに来たよ帰ろう」
仕事帰りにヴィオラを迎えに来たサーシスだった。ニッコリとうれしそうに微笑みながらヴィオラに手を差し伸べる。
「はい! じゃあね、お母様!」
それを素直にとるヴィオラ。
「またいらっしゃいね~! それと、頑張ってもらってね~」
まだニマニマしたまま手を振ってくる伯爵夫人に、
「って、何を?!」
「?」
ツッコむヴィオラと、話がよくわかってなくてキョトンとするサーシス。
「……なんだろう。お母様の笑顔に、邪悪なものを感じる……」
「なんですか?」
「なんでもないです!」
ポツリとつぶやいたヴィオラに、爽やかに笑いかけるサーシスだった。
「ま、綺麗になった一番の理由は愛でしょ、愛!」
サーシスとヴィオラが仲睦まじく帰って行く後姿を見送りながら、伯爵夫人はつぶやいたのだった。
ありがとうございました(*^ー^*)
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