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盗み聞きの代償

活動報告小話より♪

本編153話目の裏側になります。

ヴィオラとアイリス様の話を立ち聞きする羽目になった旦那様は……?

 一日の仕事を終えていつもと同じくらいに屋敷に帰ってきた僕。

 どんなに疲れて帰ってきても、ヴィオラが朗らかな笑顔で「お帰りなさいませ!」と言って出迎えてくれるだけで一瞬にして癒される。


 癒されるのに。


「……なぜに今日の出迎えはロータスだけ……」

「奥様はただいま来客中で、サロンにいらっしゃいます」


 澄まし顔のロータスが出迎えているのみ。って、癒されねぇよ!!

 つか、来客って? そんな予定、今日あったっけ?

「来客の予定なんて、今日あったか?」

「いえ、急に決まったのでございます。サングイネア家のアイリス様が、お近くに来られたからといらっしゃったのでございます」

「ふうん」

 サングイネア家の令嬢か。何かとヴィオラによくしてくれていたな。

「せっかくだから僕もお客に挨拶くらいはしておこうか」

「そうでございますね」


 僕はロータスを従えてサロンに向かった。




 朗らかな笑い声がサロンの中から聞こえてきていた。まだ二人とも話に夢中なようだな。

 にこやかに話しに興じるヴィオラの姿を浮かべて微笑ましく思いながら、僕が扉を開けようとしてノブに手をかけた時。


「それがね、どうも娼館に出入りしているという噂を聞きましたの。わたくしとしてはどうしたものかしらと思いましてね」


 という、なんとも微妙な話題になってしまった。

 おい、さっきまでの朗らかな笑いはどこ行ったんだよ!

 さすがにここで扉を開ける勇気を僕は持ち合わせてない。話の途切れるタイミングを待とう。

 僕は扉の外で、中の様子を伺うことにした。


「まあ! それは由々しき問題ですわね! 噂は事実ですの?」


 この声はヴィオラだ。いつもより声のトーンが低いから、怒ってるんだろう。


「確定ではないのですけどね」

「でもでも、結婚する前、というかお見合いする前にそんな浮名を流すなんて、よくないですわ!」


 またしてもヴィオラの憤慨した声が−−。


 ドキッ! 


 僕の胸に突き刺さった。ぐっさりとな! でもなぜだ!?

 娼館に出入り云々と言っていたから、二人は僕のことを話している訳じゃないのに。なのになぜヴィオラの言葉で僕の心が抉られているんだ?!

 ズキズキする胸を押さえていると、中からまた声が聞こえてきた。


「わたくしの家が婿を欲しがっているのを見て、足元を見ているのですわね、きっと!」

「まああ!! 人の弱いところを突いてくるなんて!! 人としてどうなのでしょう?!」


 グサグサァッ!! グフゥッ!


 またヴィオラのセリフにごっそり胸を抉られた。ヴィオラは相手に親身になっているだけだ。……いやそれより、これは僕の話じゃないんだ。落ち着け、僕! 

 さっきよりも痛む胸を押さえながらかろうじて立っていると、


「もしこの噂が本当だとしたら、きっと結婚したとしても浮気をされるのが見えているわよね」

「それはもはや女の敵ですわね!」


 ゲフッ(吐血)! ヴィ、ヴィオラに悪気はないんだ……!


 そう自分に言い聞かせながらも、僕は胸の痛みに(精神的なもの)耐えかねて、その場に崩れ落ちた。




 しばらく無の状態だったが、なんとか回復した。

 中から「ごきげんよう」とかなんとか言ってる声が聞こえてきたので、そろそろお客は退散するらしい。

 その前に挨拶を済ませようと立ち上がり態勢を整えたのだったが。


 ゴッ……!


 いきなり扉が開き、僕の顔面(正確に言うと額。とっさに顎を引いたからな!)を直撃した。

「〜〜〜〜!!」

 声にならない呻き声を上げ、僕はまたその場に崩れ落ちた。


 誰だよこの扉を重く頑丈に作ったやつはっ!! ……うちのご先祖か。


 すっげー痛いんですけど!?


 僕が痛みに唸っていると、扉でグイグイ押された。ちょ、ちょっと待って! 僕ここにいるから!!

 涙目になっていると、中からひょっこり顔を出したヴィオラが、


「旦那様!? そんなところで何やってるんですか?」


 驚いた声を上げたのだった。




 その後ヴィオラが甲斐甲斐しく手当や世話をしてくれたからよしとするけど。さっきの二人の会話、後で詳し〜く聞かせてもらうよ?

ありがとうございました(*^ー^*)

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