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びっくりしすぎた

リクエスト小話より♪


本編148話目のサーシス視点。

とうとうお仕着せを着て使用人さんと一緒にお仕事してるのがバレちゃいました♪

 今、僕は、ヴィオラを驚かせようといろいろ計画している。


 ひとつめは、ヴィオラが大好きな庭園——ヴィオラが『ワタシ庭園』と呼んでいるところを拡大して整備すること。

『花を植えるところがかなり狭くなてきた』とベリスが言っていたので、花壇の場所を広げると同時に、いつでも快適に過ごせるように東屋を作ることにした。これなら急な雨に降られてもしばらく雨宿りもできる。うっかり風邪をひくなんてこともないだろう。


 ふたつめは、結婚式のやり直し。

 先日のロータスの結婚式に感動しているヴィオラを見て、心のこもった結婚式をやり直したいと思ったのがきっかけ。王宮での結婚式は立派だったけど嘘ばっかりだったし、気持ちなんてひとっつもこもってなかったからな。

 そのために、ヴィオラ好みのドレスをこっそり用意した。

 ずっと探していた『ヴィオラの瞳(ヴィオラ・アイ)』が最近ようやく掘り出されたので、これもこっそり仕立てに出している。首飾りと耳飾りだ。

 結婚式の会場は、整備したヴィオラ庭園で行おうと思っている。あそこがヴィオラ一番のお気に入りだからな。


 屋敷の使用人全部を動員して、この計画を実行している。知らぬはヴィオラだけ。ヴィオラに秘密を作るのは心が痛むけど、これもヴィオラを喜ばせるためだ我慢我慢。

 工事している間ヴィオラを庭園に出させないようにするために、『庭園は大規模な工事をしていて奥様は危ないから出ちゃダメ』と使用人たちと口裏を合わせてある。

『大規模』というからにはヴィオラの庭以外にも手をつけた方がいいと思って、別棟の植え込みをやりかえた。もう別棟を隠す必要などないからな!


 僕も、時間が許す限り庭園に出て出来具合をチェックしたり指示したりしている。




 あの日はたまたま仕事が早く終わったので、早く家に帰ってこれたんだったっけ。

 いつもは薄暗くなってからしか見れていないけど、今日は明るいうちに改装中の庭園が見れるから、改良点なんかが見つかるかもしれないなと思いながら帰ってきたのだけど。


 んん??


 何気なく見たエントランスに隣接する部屋。人影が見えるな。ああ、使用人が掃除してるのか……って、えっ!?


 ガラスを磨いているお下げの若い使用人と目が合った。その途端、使用人が驚いた顔になる。


 ……今のはヴィオラ……か!?


 え? いや待て僕。あれはお下げでお仕着せを着た使用人だ、ヴィオラじゃないだろ?

 第一ヴィオラが使用人みたいなことをするはずないだろう、バカだな僕は!

 でもなぜか目が離せなくてそのままその使用人を見ていたら、向こうはしれっと視線を外してどこか、部屋の中に消えようとしている。


 ん? おかしいな。普通の使用人ならそのまま仕事を続けるよな。……まさか?


 やっぱり引っかかるところがあって、僕は屋敷の中に駆け込んだ。

 

 他の部屋に隠れた可能性も捨てきれないけど、もし本当にヴィオラなら寝室に着替えに上がるだろうと考えた僕は、エントランスで待ち構えることにした。

 するとやっぱり、お仕着せを着たヴィオラが姿を現したのだった。



 びっくりした。あまり顔には出さなかったけど、ものすごくびっくりした。

 うちに来て、時間の過ごし方がわからなかったから、使用人に混じって掃除洗濯してたって……。うちの奥さんの思考は、結構ぶっ飛んでると思う。普通の貴族のご令嬢とは全然違う思考をしてると思う。華やかな暮らしをすることを望まないし、むしろお金を使うことは罪悪かのように考えてる時もある。そういうところもかわいいと思ってしまう僕は、かなりヴィオラにハマってるんだろうな。


 でも。


「え? だって私の場合、いつお役御免になってこのお屋敷を追い出されるかわからなかったでしょう? せっかくだから超一流の使用人さんスキルを習得しておこうって思って。そしたら手に職、いつでも働きに出れます!」


 無邪気な笑顔でそんな凹むこと言わないで!!

 確かに結婚当初はそんな感じだったけど、もう、今更、ヴィオラを手放すなんてありえないんだから!!

「僕がヴィーをお役御免にするわけないでしょ! むしろ日に日に大事に愛しくなっていくっていうのに! 冗談でもそんな悲しいこと言わないでください!」

「きゃー!!」

 ヴィオラをぎゅっと抱きしめた。

 そんなことを言う子には、もっともっと僕の愛を分かってもらわないといけないようだね!




 お仕着せを着て掃除洗濯するのだって、別に悪いことをしているわけでもないんだし、外部に漏れさえしなければいいんじゃないかなと思う。屋敷のもの以外にはバレてないようだし……あれ。じゃあ僕は屋敷外!? あ、これ以上考えると凹むからやめとこう。

 ロータスたちだって今まで黙認してきたんだし、これからもヴィオラが機嫌よく過ごしてくれるならまあいいか。

 びっくりしすぎたせいか、僕までヴィオラ思考になってる気がする。

 しかも、


「これからもサーシス様が帰ってきたときに、気持ちよく過ごせる家を目指して頑張ります!」

 

 なんてかわいいこと言われちゃったら、ダメって言えないでしょ。


ありがとうございました(*^ー^*)

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