夫婦喧嘩はもう懲りた
書籍5巻のリクエストより♪
ヴィオラ切れを起こした旦那様、凹んでますw
「まさかヴィオラが出て行ってしまうなんて思わなかった」
「はあ」
「丸三日もヴィオラに会ってない。ダメだ、ヴィオラが切れてきた。足りない」
「…………」
ヴィオラが本館を出て行ってしまってから三日目。
ヴィオラ切れを起こしたサーシスが、自分の書斎で、今回の夫婦喧嘩についてロータス相手に愚痴をこぼしていた。
自分の執務机に力なく突っ伏すサーシスを、ロータスが呆れ半分で見下ろしている。
「実家に帰られてしまうかと思った」
「そうでございますね。別棟でようございました。そういえば以前、大奥様が『別棟はプチ家出に最適』だと奥様に言っておられましたのを思い出されたのでは?」
「まさかの母上の入れ知恵〜!」
は〜は〜う〜え〜!! と、ピエドラにいる前公爵夫人向かって唸り声を上げるサーシス。
「入れ知恵がなければご実家に帰られていたかもしれませんよ?」
「ぐっ……」
母上、入れ知恵ありがとうと思い直すサーシスは弱っているからか意外と素直。
「ご実家でなくてよかったではありませんか」
「……まあな。でもせっかくすぐに謝りに行ったのに門前払いを食らってしまったぞ! あれは悲しかった」
サーシスは門前払いを食らった日のことを思い出す。
侍女から『奥様は当分別棟で過ごされるそうでございます』と言われた時の衝撃ったら……! 思い出し、グッと拳を握って涙をこらえる。
「別棟では、女ばかりで楽しく過ごされているようでございますよ」
そんなサーシスを見て見ぬフリをしたロータスが愉しげに報告する。
「なんだと!?」
「ご飯なども、自分たちで作って食べているようでございます」
「なんだと!! ヴィオラも料理したのか?」
「ええ、奥様はメインのお料理を作って侍女たちに振舞われたようでございますよ」
「マジか! 僕だってヴィオラの手料理を食べたことないのに……! くそう、羨ましすぎる!! 僕もヴィオラの手料理食べたい!」
「それはこれから先いくらでもチャンスはございますからそう焦らなくても」
「そうだな」
「ちなみに、とても美味しかったそうでございます」
「ぐぁぁぁぁ!! ムカつく!!」
ロータスがアマリリスから聞いた感想を告げると、悔しげに顔を歪ませるサーシス。
「こほん。それより何より今は仲直りすることの方が先でございます」
「そうだよ。そうなんだよ。でも肝心のヴィオラは全然別棟から出てこないし。それに、門前払いを食らった身としては、どうにも行き辛い」
もう一度門前払いを食らったら、完全に凹む。立ち直れない。
そんなヘタレオーラ全開のサーシスに、
「そこは私どもがなんとかいたしますから、旦那様は、奥様にお会いしたらちゃんと謝るんですよ」
ロータスが優しく諭す。
「ガキじゃないんだから、そんなこと言われなくてもわかってるわっ!」
「これに懲りたら、もうちょっと大人になりましょうね」
「…………はい」
ありがとうございました(*^ー^*)




