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ヴィオラに会わねば!

本編121~122話目の裏側。

こうして旦那様はお茶会の話題を知って、飛んで帰ったのでした。

 オーランティアのバカどものせいで最近屋敷に帰るのが遅くてならない。


「大体、こっちに連れてくる人数くらいちゃんと把握しろよバカどもが」


 一人悪態をつきながら王宮の廊下を足早に進む。

 向こうの人数が二転三転しているせいで余計な仕事が増えた。つーか、そういう調査は新生特務師団がやれっての。僕たちはその任務から解放されたはずなんだけど?

『引き継いだばかりですからねぇ、仕方ないですよ』と、ユリダリスも苦笑いしてたな。

 帰りが遅い、なのに出仕も早いの二重苦で、最近起きているヴィオラに会ってない。ヴィオラが寝てから帰り、まだ目の覚めぬうちに屋敷を出る。あ~もう、圧倒的なヴィオラ不足だ!! ……まあ、こっそり寝顔は見させてもらってるけどな。それくらいしないとヴィオラ欠乏で発狂してしまう。ロータスに冷たい目で見られても気にしないぞ!!

 オーランティアめ。さっさと来てさっさと帰ってもらおう。


 僕が書類を手に、陛下と会談しているだろう兵部卿の元に急いでいると、廊下の向こうからアルゲンテア執政官――セロシアがこっちに向かって歩いてくるのが見えた。

 向こうも書類を手にしているから、どこかの部署に行くところなのだろう。


「よお、サーシス。最近忙しそうだねぇ」

「おかげさまで忙しすぎて気が狂いそうだ」

「不機嫌オーラがバンバン出てるな」

「ほっとけ」


 すれ違うところで立ち止まったセロシアに声をかけられた。


「不機嫌な理由はアレだろ。奥さんと最近すれ違ってるからだろ?」

「はぁ? 全然違うし。最近忙しすぎてちょっと(・・・・)会話ができてないだけだ」


 僕は『ちょっと』というところを強調して言った。すれ違ってるんじゃない、決して!


「それだよそれ~! お前、オーランティア王女との縁談の話、奥さんにしてなかったんだって?」

「ちょ……! お前がなんでそれを知ってるんだよ?」

「隠し事はよくないよな、うん、よくない」

「隠し事っていうか、ヴィオラの余計な心配をかけたくなかったから話さなかっただけだ。それにこの件は広まる前に揉み消されてるし、もはやなかったことも同然だ」


 隠し事じゃねぇよ。ヴィオラの耳に入れるような案件ではなかったから言ってなかっただけで……まあ、本音を言えば、縁談を聞いたヴィオラの口から『では私と離縁して王女様をご正妻にお迎えください』って言われそうで怖いからだけどさ。

 って、なんだよ、その目! セロシアが珍しく心配そうな顔をするから、なんか無性に気になってきたじゃねぇか!


「今日、バーベナがうちでお茶会やってたんだけど」

「ああ、らしいな。ヴィオラが呼ばれて行ってるはずだけど」


 先日のアルゲンテア家の夜会で仲良くなった(?)ヴィオラとバーベナ。早速お茶会の招待が来たと、ロータスが言ってたな。それが今日だったか。

 そこで何があった?


「うん、来てた。そしてそこでオーランティアの話になったらしくて」

「なんでそうなる?」

「そりゃ知らん。で、まあ、オーランティアがフルールに来るって話になって、王太子兄妹の縁談の話になって、王女の相手が最初お前だったってことがバレたわけだ」

「……なんでそうなったのかよくわからん説明だが、とにかくヴィオラに僕と王女の縁談のことが伝わった、ということだけはわかった」

「ならいい。バーベナは奥さんが縁談のことを知ってると思って話したみたいなんだけどな、知らなかったらしくて、話を聞いてショックを受けてたそうだ」


 バーベナぁ~!! 余計なことをしゃべって……!! ……じゃないな。人のせいにするのはよくないな。そもそも僕がヴィオラにこの話をしていなかったことが原因なんだから……。


「奥様の顔色が変わったっていってバーベナも心配してたんで、後はフォローよろしく!!」

「はぁぁ?!」


 そう言うだけ言って、セロシアは廊下の反対側へと歩いて行ってしまった。


 ちょ、爆弾投下するだけしといてそれかいっ!!


 今日もヴィオラの寝顔しか見れないかもなんて弱気なことを言ってる場合じゃねぇな!

 何が何でも起きてるヴィオラに会って話をしないと……!

 とりあえず今日はさっさと仕事を終えて帰るぞ! ヴィオラの懸念を取り除かないと。

 ……あ、でも、僕と王女の縁談を聞いて心を痛めたってことだよな。ということは、ヴィオラは少なくとも『離縁して~』とは思ってないってことだよな?

 ああもう、今はそれどころじゃない。早く帰って、ヴィオラに会わねば……!


ありがとうございました(*^-^*)


焦ったバーベナ様から『こういうことがあったのでサーシス様にフォロー頼んで!』との伝言がきたので、セロシア君が旦那様の耳に入れたのでした。

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